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彦坂 暁さんのレビュー一覧

投稿者:彦坂 暁

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紙の本

当代きっての論客たちが50年間の科学の進歩を踏まえて生命科学の今後の発展方向について論じる

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 1944年に物理学者シュレディンガーが書いた『生命とは何か』は、科学の歴史において最も影響力のあった書物の一つだ。シュレディンガーは物理学、とくに量子力学や熱力学の立場から「生命とは何か」という大問題を考察し、「遺伝子は非周期性の結晶である」、「生物は負のエントロピーを食べて生きている」などの魅力的な命題を提出した。多くの科学者がこの著作に影響を受け、分子生物学という分野の発展の起爆剤になった。
 本書は『生命とは何か』のもとになったシュレディンガーの1943年の講演の50周年を記念して行われた講演会の記録である。目次を見れば分かるように、物理学から古生物学まで様々な分野から、当代きっての論客たちが50年間の科学の進歩を踏まえて生命科学の今後の発展方向について論じている。シュレディンガーの思想に対する評価も各人様々であり、なかにはかなり批判的な立場をとる者もいる。たとえばスティーヴン・ジェイ・グールドは『生命とは何か』を当時の論理実証主義的な「科学統一運動」、そしてその背景にあった当時の「モダニズム」的世界観の一つの表現として読むべきだと言い、モダニズムの問題点がシュレディンガーの本にも貫かれていると論じている。スチュアート・カウフマンは自己組織化理論の観点から、シュレディンガーの「非周期性結晶」は、生命にとって必要条件でも十分条件でもないと論じている。
 様々な分野の論客が生命科学の将来を展望するという本書の企画は魅力的である。しかし同時に、すでにこれらの論者たちの著作を読み、かれらの生命観や科学観についてよく知っている読者にとっては、本書は食い足りないかもしれないとも感じた。本書は良くも悪くも彼らの思想のダイジェスト版であり、興味を持った著者についてさらに深く読んでいくための、きっかけとして使うべき本なのだろう。

<目次>
第一章 序、生命とは何か ——それからの五〇年
    マイケル・P・マーフィー&ルーク・A・J・オニール
第二章 二〇世紀の生物学のうち何が生き残るだろうか
    マンフレッド・アイゲン
第三章 『生命とは何か』 ——歴史上の問題として
    スティーヴン・ジェイ・グールド
第四章 人間の創造性の進化
    ジャレド・ダイアモンド
第五章 発生:卵は計算可能か、あるいは私たちが天使や恐竜を生み出すことができるか
    ルイス・ウォルパート
第六章 言語と生命
    ジョン・メイナード・スミス&エールス・サトマーリ
第七章 タンパク質なしのRNAあるいはRNAなしのタンパク質?
    クリスチャン・ド・デューブ
第八章 『生命とは何か』 ——シュレディンガーは果たして正しかったか
    スチュアート・A・カウフマン
第九章 心を理解するためになぜ新しい物理が必要か
    ロジャー・ペンローズ
第十章 自然の法則は進化するか?
    ウォルター・ティリング
第十一章 生体において期待される新しい法則:脳と行動のシナジェティクス
     J・A・スコット・ケルソー&ハーマン・ハーケン
第十二章 無秩序から秩序へ:生物学における複雑系の熱力学
     エリック・J・シュナイダー&ジェームス・J・ケイ
第十三章 回想
     ルース・ブラウニツァー
訳者あとがき
講演者・寄稿者
索引

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