山田岳／書評家さんのレビュー一覧
投稿者：山田岳／書評家
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紙の本老博奕打ち
2001/04/24 14:41
帯に書いてある「窓際同心」とはちゃいます
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ＮＨＫの金曜時代劇を見ていらい、居眠り紋蔵いうたら舘ひろしのお顔がうかびますねん。「居眠り」いうのんは、ぐうたらとちごて、とつぜん眠りこんでしまわはるお病気。本人はぜんぜん眠たいおもてへんのに、気をうしなうように眠りこんでしまわはるんです。こんなお方に十手もたすわけにいかへんさかい、物書同心、いまでいう裁判所と検察庁の書記官みたいな仕事をしてはります。
この本でシリーズ５冊目。さいしょのころは奇病のために軽うあつかわれてはった紋蔵はんも、今ではすっかり「あいつに頼んだら解決の糸口をみつけよる」と、あてにされてはります。そのわりに正義の味方づらしいひんのが紋蔵はんの魅力。ひきとって育ててはるお子（いきさつは「密約」を読んでや）がバクチにはまりはったんで、胴元の親分はんに「引越して子どものまえから消えてくれ」ととっぴょうしもない直談判にいかはります。当時もバクチは現行犯やないとお縄にはできまへん。
そのうえ紋蔵はんは十手もちやおまへんさかい、お願いしはるんです。ごじぶんは官舎住まいやさかい引越せへんいうて。親分はんには、なんとも虫のいいお願いにきこえはったやろな。そやのに、親分はんはトラブルをかかえはって「解決してもろたら引越す」言うはめにならはります。そこで紋蔵はんが知恵を出さはって、すべてはまるう解決。こないな調子で一話完結のおはなしが８つ、のってます。けっして、帯に書いてある「窓際同心」とはちゃいますねん。
（山田岳／書評家／2001.4.25）
紙の本佐助の牡丹
2001/04/20 20:42
シリーズ２５冊目。いままで読みはったことがのうても、ちィっともかましません
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ひゃ〜びっくり。インターネットで「御宿かわせみ」を検索さしてもろたんですけど、それがまたぎょうさんおますのやわ。１００じゃ、きかへん。それだけファンがぎょうさんいてるってことやろね。
今回の「佐助の牡丹」はシリーズ２５冊目。いままで読みはったことがのうても、ちィっともかましません。大川（隅田川）沿いにある船宿かわせみの女将が、るいはん。その亭主で、幕府の軍艦操練所にかよってはるのが神林東吾はん。おふたりとも世話好きやさかい、なんやかやと揉め事や相談事がもちこまれはります。それを東吾はんが薬師の麻生宗太郎はん、同心の畝（うね）源三郎はんらと解決していかはりますのんえ。テレビとおんなじの一話完結連続時代劇どすなぁ。（サイトにはＮＨＫ、テレビ朝日等で、だれが、るいや東吾を演じてはったかまで出てはりました）
平岩せんせは水仙、牡丹、冬の桜と草花をものがたりの小道具につこうてはって、それがまた読んだあとに、くっきりと心にのこりますんえ。植木市、蚊帳売り、水売りと威勢のいい江戸っ子のかけ声がきこえてくるようなところもよろしおす。軍艦操練所の東吾はんと宿屋の女将るいはんがなんでいっしょにならはったか、気になりはるお方は、どうぞ旧作をお読みやす。それが「はまった」ってことどすえ。
（山田岳／書評家／2001.4.20）
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