金原 瑞人さんのレビュー一覧
投稿者:金原 瑞人
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紙の本ジークの魔法のハーモニカ
2001/07/12 20:00
力の抜けたユーモアが魅力
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ある日、ブタのジークは通りでハーモニカをひろった。毎日毎日練習して、あるとき家族の前で曲を吹いてみせた。みんなはすごいといって、大喜び……と思ったら、たちまち眠りこんでしまった。そんなことが何度も続いた。なんて礼儀知らずな! ジークは、食べ物をつめこんだバッグとハーモニカを持って家出した。
川をいかだで下る一人旅。やがて、ジークは自分のハーモニカの音で、シラサギや船の乗客が眠ってしまうことに気がつく。これは魔法のハーモニカなんだ! それなら、家出なんてするんじゃなかった。けれども、いかだは流されていくばかり。上流へは進まない。
陽が沈みかけ、ジークはいかだを岸につけようとした。すると、3匹の犬が手伝ってくれて、大助かり……と思ったら、3匹の態度が一変した。「ウッヒョー。これ見ろよ。クッキーだぜ」3匹の悪ーい犬たちは、ジークの食べ物もハーモニカも全部取り上げた。「ぶたコマにされたくなければ、おとなしくしてな」ジークは後ろ手にしばられてしまう。さて、ジークと魔法のハーモニカの運命やいかに!?
アメリカの人気絵本作家、スタイグの絵本。笑いのツボを刺激する言葉と絵が、そこかしこにちりばめられている。なんてったって、犬の「あねご」が「さよならソング」をハーモニカで吹いてしまうのだ。うまい具合に力の抜けたユーモアに、こちらの肩の力もどんどん抜けていく。なかでも注目したい点がふたつある。まずはジークの表情。得意げな顔、怒った顔、泣いてる顔、喜んだ顔。くるくる変わる表情のなかに、どこかとぼけた味があって笑いを誘う。そして、木坂涼訳のハーモニカの音。「ブーカ、ブーカ」「ズルーカ、ブブーカ、ブーブラ・ブー」そして最後に「プワ〜」。
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