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渡辺順子さんのレビュー一覧

投稿者:渡辺順子

29 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本あかちゃんのうた 改版

2000/09/01 15:51

赤ちやんには、絵本の読み聞かせの前に“言葉がけ”をたっぷりと!その手がかりにまずはこの1冊を。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ふんふん なくひと だあれ おしっこ したひと だあれ のび のび のび のびいいあんよ・・・」(おむつを替えるとき)

 「おひさま こんにちは ちいさなあんよが こんにちは おひさま こんにちは ちさなおしりが こんにちは まあるいぽんぽも こんにちは おてても ばたばたこんにちは・・・」(日光浴のとき) と言うように、夜、眠りにつくまでの赤ちゃんの1日の、さまざまな場面での言葉がけが綴られています。絵は赤ちゃんを月齢の違いも描きわけるといわれた岩崎ちひろさん。親も子もゆったりとした、幸せな思いにつつまれる“言葉がけ集”ともいえる絵本です。 

 私は出産を控えているご夫婦の両親学級や、妊婦の母親学級そして誕生後のゼロ歳児の親を対象にした、保健所などでの絵本講座では、まずこの1冊から始めています。

 赤ちゃんが胎児期と0歳時代に、もっとも求めているもの、それは、お母さんとお父さんの優しい声です。美しいひびき、リズムをともなうそれぞれの国の“母国語”からその子の人生は始ります。日本の赤ちゃんなら“日本語”からです。その折々の場面で、お腹の赤ちゃんに向かって、語りかけるところから始めみてください。出生後はもっと豊かに、赤ちゃんのつぶらな瞳を見つめて、言葉がけをしてあげてほしいと願っています。その時期の親たちに対するメッセージと、具体的ヒントに富む貴重な一冊です。

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紙の本おとうさんあそぼう

2000/10/02 14:25

お父さんは読み聞かせで「心のおっぱいを」!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「おとうさんの あしのうえに ぼくが のって、えっちら おっちら。」「たかい たかい」「するりと おりて、おんぶ」、といった具合に「かたぐるま」「ひこうき」「きしゃぽっぽ」と、どのページもお父さんと子どもとの、ほのぼのとした体ごとのふれあいがいっぱい。読み終わったら即、やってあげたくなりますし、なによりも子どもの方が、主人公のくま君になった気分で、お父さんにすがって来るでしょう。

 日頃、子どもとどう関わってよいのかわからない、というお父さんが多い中で、この一冊はヒントになっています。もちろん、ラストにはお父さんに抱かれて、絵本を読んでもらっている場面もあります。お父さんたちには、“読み聞かせで育児参加”を、とよびかけています。おっぱいはお母さん、お父さんには読み聞かせで「心のおっぱい」をと。

 出産を控えた夫婦対象の講座では、必ずリストアップしている絵本です。出産後の楽しみにもなっています。実際にやってあげられるのは、1歳過ぎからの内容が多いのですが、赤ちゃん絵本の読み聞かせ、ことばがけは、胎児期からOKです。育児が本当に楽しみになります。

 この“くまくんの絵本”はシリーズでこの他に8冊あり、どれも親にも子にも繰りかえし読まれています。3,4歳になったら同じコンビによる「くまたくん」シリーズ(あかね書房)をおすすめしています。この二つのシリーズは保健所文庫の基本図書です。

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紙の本うたえほん

2000/09/01 16:18

言葉がけと同じく赤ちゃんが喜ぶものそれは両親の肉声による“わらべ唄、童謡”。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ぞうさん」「どんぐりころころ」「しゃぼんだま」「こいのぼり」「むすんでひらいて」「うれしいひなまつり」「ゆき」など26曲が、つちだよしはるさんのほのぼのとした絵で、楽譜もついた絵本仕立てになっています。なによりも、この日本の四季折々の自然や行事、暮らし、日本人のこころが、詩となり、曲もつけられて歌い継がれて来た歌ばかりですから、歌ってあげている親自身も、心癒されるひとときになっています。

 かつては赤ちゃんにとっての初めての歌は、子守唄でした。都市化、核家族化の今日では、“テレビ子守り”が問題になって久しい。子守唄を歌ってもらわなかった人たちが、今その二世代目を育てています。子守唄は馴染みが薄くとも、わらべ唄、童謡は幼稚園時代に歌っていますから、この1冊を保健所文庫などで、おすすめしますと、懐かしそうな表情になって借りて帰ります。お腹の中にいる時から、パパになる心の準備としてもどうぞ歌ってあげてください! 生まれたあとも、親の肉声第一でと願っています。CDやカセットなどは副的扱いをしていただきたい。この時期赤ちゃんにとって、最も幸せなものは、親の声に包まれることなのです。耳からの愛をたくさん注いであげてください。

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紙の本もうおきるかな?

2001/06/01 20:11

おねんね時代の赤ちゃんに、読むだけでなく“言葉がけ”として試してください。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ねこ ねこ よくねているね」「もう おきるかな?」最初の見開き場面ではお母さんねこと子ねこが幸せそうにねています。次の場面では「あー、おきた!」。気持よさそうに伸びをしている親子のねこ。次をめくると「いぬ いぬ よくねているね」「もう おきるかな?」「あー、おきた!」と、次々りす、くま、ぞうの親子がそれぞれの本来の生態にそって、寝る起きるの姿を描ききっています。どの動物たちも、それぞれの毛並の感触も感じるくらい、みごとです。

表紙は眠っているうさぎ、裏表紙は「あー、おきた!」とつい読んでしまいそうな、うさぎの親子のおきがけの、あくびをしているポーズが描かれています。絵本は本文だけでなく、表紙から始まって裏表紙まで語り、描かれています。とくに大人は見落としがちな裏表紙こそ、子どもはしっかりと読んでいます。画家の心をキャッチするのは、子どもたちの方が数段上手だ、といつも感心してしまいます。

「もおうおきるかな?」「あー、おきた!」。このことば、実は“おねんね時代”といわれる0才の赤ちゃんにとっては、日に何度も日本語のひびきとして、ここちよく聞いています。子守唄のように、日常の実際場面では、お母さん方も自然体で声にしてみてください。

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紙の本おたんじょうび 改訂版

2002/04/26 15:56

赤ちゃんが初めてめくって楽しめる絵本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

満1歳のたんじょうびをお祝いするために、車がご馳走をつぎつぎと運ぶ絵本です。

文字なし絵本ですから、読み手が自由に言葉をつける楽しさもあります。たとえば月齢が3〜4ヶ月でしたらすべてのページを「ぶうぶうとまんま、これもぶうぶうとまんまだね」とめくって読んであげると良いでしょう。やがて、離乳食が始り、ヨーグルト、いちご、ビスケット、ぶどう・・・・と食べたことのあるものが登場している場面では、具体的に食べ物の名前で読んであげると良いでしょう。

どれも本文が表紙と同じハードなつくりになっているため、赤ちゃん自身が手にとってめくっても、破れる心配もありません。また、この時期はなんでも口にもっていきますが、噛んでもなめてもだいじょうぶなように、安全な素材で作られているとのことです。保健所文庫では赤ちゃんに人気の絵本はこの三冊もそうですが、四つ角が歯型だらけです。

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紙の本しまふくろうのみずうみ

2001/08/02 20:35

絶滅の危機にある今、しまふくろうの生活のドラマをとおして、人間の生き方をも問いかけているようです。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

えぞ松の樹林におおわれた北の湖に、静かに夜のとばりが降りる頃、しまふくろうの親子が、エサを求めて飛んできました。父親は湖面に浮かぶ流木にとまって、じっと魚が現れるのを待っています。「ピッ!」 お腹をすかせたヒナの声が響きわたります。「そのとき、つきのかげが かすかにゆれて、さかなのはねるおとがしました。」(本文) 

しまふくろうのおとうさんは舞い上がり,狙いをつけ、音もなく近づくと、鋭いつめでしっかりと魚を捕らえて、母子の待つ枝に戻ります。湖面では三日月に照らされた波紋が、大きく大きくひろがっていきます。やがて、しらじらと夜が明ける頃、小鳥たちが鳴き始め、また湖の1日が始ります。

作者はあとがきで「深夜くりひろげられる、しまふくろうの生活のドラマは、太古から変わることのない、いきものの真剣な姿です。」と、少年時代の体験と郷愁の念をこめて述べています。さらに「しまふくろうは、仲間でもあり、生き方を教えてくれる、先生なのかもしれません」と記しています。アイヌの人たちにとっては、コタンを守る神様として崇められてきました。しかし、いま無謀な森林伐採で、絶滅の危機にある巨鳥でもあります。

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みんなで生活している地球。けっして人間だけのものではない

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 長崎県諫早湾の最後の水門が閉められたのは1997年4月。あれから3年。干潟で暮らしていたムツゴロウたちの生活は大きく変わりました。変わったというより、人間によって変えられてしまったのです。太古の昔から多様な生命を育んできた諫早干潟。「海をかえして!」という生きものたちの叫びは叶えられず、むなしく空にすいこまれてゆきます。

 頭の中にはかつてのいきいきとした干潟の姿を思いうかべながら、瀕死のムツゴロウは最後につぶやきます。「きっと、くる。しおは、みちてくる・・・・。きっと、きっと・・・」最後の最後まで、人間たちが海の水を止めるようなことをするわけがない、と信じているのです。なのに、干潟ができるまでにかかった六,七千年もの長い年月を、人間は一瞬にして奪いさりました。

 この地球は、人間だけのものではありません。そこに住む生きものたちが互いに支えあいながら生きているのです。けして無意味な存在の生きものなどいないのです。人間たちが、人間だけのことを考えている暮らしを見直し、共存する道を選ばなければ、いつの日が自然界から大きなしっぺ返しをくらうことになるでしょう。子どもだ
けではなく、多くの大人たちに読んでもらいたい絵本。

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いままでありがとう!心のともだち

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「セールスマンの死」など、劇作家として有名なアーサー・ミラー。この作品は彼がはじめて子どもむけに書いたお話です。

 だれもが子どもだったころ、親以外にいつも自分のそばにおいておきたい心のかよえる「物」があったのではないでしょうか。それは人によってクマのぬいぐるみであったり、うさぎの枕だったりします。さびしいときや悲しいときにそれをぎゅっと抱きしめると、なぜかほっとできる。そんな安心できる存在をみなさんもお持ちではありませんでしたか?

 主人公のジェインにとってはピンクの赤ちゃんもうふ、「もーも」は生まれたときからの友達。はじめはふんわりしてあったかいもうふも、ジェインの成長とともに古くてぼろぼろになってしまいます。それでも大きくなったジェインは、新しいもうふになじむことができません。小さくなって体にかけることもできなくなり、窓辺においておいたもうふから、ある日ことりが糸をひきぬき巣穴にもっていってしまいます。
 その姿にジェインは一瞬かっとなりますが、もうふをことりの赤ちゃんのためにゆずってあげたのだ、と思うと心もはればれしてくるのでした。

 子どもが成長する過程で経験する、大切なものとの別れ。「ジェインが心の中でもうふのことを思い出すと、もうふはまたジェインのものになるんだよ。」というお父さんとの話も心に残ります。子どもが大切に使っていたものは、古くなったからといって「もう、これは汚いから燃えるごみにしましょ!」などとはきっと言えなくなりますよ。

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紙の本14ひきのひっこし

2001/04/17 15:28

14匹それぞれの年齢、個性に応じて助け合って生きる姿から「家族とは?」と考えるきっかけにも。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

おじいちゃん、おばあちゃん、両親、そして10匹の兄弟姉妹という三世代の大家族が大自然を舞台に四季折々、さまざまなテーマでいきいきと展開される“14ひきシリーズ”、その一冊です。引越しがテーマのこの絵本では、天敵であるいたちや、ふくろうから幼い子どもを守り、急流の中、向こう岸へと渡る。家族一丸となって無事引越しを終えるまでは、子どもも、読み手も身が引きしまります。14匹それぞれの年齢や個性に応じて、力を出しあい、助け合っている姿から、ふと「家族とは?」と考えさせられる一冊でもあります。

大家族、一見それは、核家族時代の現代には現実離れと、思われるるかもしれませんが、読んでもらっている子どもたちは、10匹の年齢のどれかに自分を当てはめて、その登場人物のしぐさをじっと追ってみています。

文は紙面の下に1行のみ簡潔に表現されているだけです。でも、それぞれ14匹のその場その場での気持、動作が実に細やかに描かれています。読み手もしばらく、絵を読み込んでから、次をめくってほしいと思います。文をこえて絵が語っている絵本の場合は、ただ文字を読んでつぎつぎめくるのではなく、子どもと語り合うのも楽しいものです。わが子の内面成長が見えてきます。

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紙の本編みものばあさん

2001/02/16 13:57

どうしてみんないっしょに暮らせないの?

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 作者のオルレブ氏は、ポーランドのワルシャワにユダヤ人の子として生まれた。第二次世界大戦がはじまると、父親は軍医としてソ連軍の捕虜となり、母親はドイツ軍に銃殺されている。作者はアンネ・フランクも亡くなったベルゲン・ベルゼン強制収容所に収容され、そこで十四歳のときに終戦をむかえた。

ある町に一人のおばあさんがやってきて、毛糸でスリッパや家、さらにふたりの子どもまで編み、毛糸でできた子どもたちと楽しい生活を送っていた。生き生きと飛び跳ね、いたずらもする子どもたち。しかし、そんな子どもたちを学校や社会はけして受け入れようとはしなかった。「毛糸の子どもだ たいへんだ! 編んだ子どもは おことわり!」と。

そこで、おばあさんは毛糸であんだヘリコプターに乗って、国の都に住む大臣に会いに行く。しかし、ここでも「この国に編んだ子どもはおことわり」と拒絶されてしまうのだった。おばあさんは結局、毛糸で編み出したすべてをほどき、町を去っていく。

一見、毛糸で生活のすべてのものを編みだして暮らすという、その発想の豊かさに気をとられがちであるが、いつの時代にあっても、自分たちとは異なるものを排除しようとする大衆心理や異文化への無理解を、わかりやすい絵と文で表現している絵本。

これは、ユダヤ人として迫害された作者の経験とけっして無関係ではない。

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紙の本月夜のみみずく

2001/02/07 12:24

静まり返った月夜の冬の森、ふくろうに会うために、歩きつづける父と娘。願いがかなった瞬間の感動が伝わる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーーーう」わしみみずくに会いに行く、幼い娘と父親。みんなが寝静まった、冬の夜。月の光と雪あかりの中二人の影が進む。はるか遠くで汽車の汽笛が聞こえてくる、それにあわせるように牧場の犬たちの遠吠え、さらに、めくるごとにきつね、うさぎ、ねずみ、ことり・・・森の生きものたちも見守っています。
やがて黒々とした松の木陰に覆われた、森の奥深くまできた、そのとき 
「とつぜん おおきな木の影から みみずくのかたちした影が ふわりと はなれ」(本文)、二人の頭上をおおきな羽を広げて飛び、目の前の枝に止まりました!
「1分間かしら 3分間だったのかしら ああもう100分くらいに おもえたわ あたしたち じっと みつめあった」(本文)。
みみずくに会いたいな、会えるかな?と思い続けてきた願いが、いま、現実にかなった。その瞬間の感動が伝わってきます。“心の時間”は、時計の時間では測れません。だれもがそれぞれの人生で、嬉しいとき、悲しいとき、いくども体験する「時間」です。
とくに子ども時代には、この作品のような“わくわくする時間”を、一つでも多く体験させてあげていものです。

1988年度コルデコット賞受賞作品であり,日本では5年生の教科書にも取りあげ
られています。

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紙の本あそぼうあそぼうおとうさん

2000/11/24 15:30

お父さんがお山になったり、遊園地のでんしゃやすべりだいに・・・・

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この絵本は1993年、「父の日」のプレゼントの意味をこめて、“お父さんと子どもの遊び集”として発行されたものです(「かかくのとも」6月号)。現在、傑作集としてハードカバーで発行されていますので入手可能です。

登場人物は、お父さんと4人の子どもたちです。年齢は、ハイハイの赤ちゃんから、2歳、4歳、6歳と思われる年齢幅ですから、聞き手もその幅で楽しんでいます。

全国からアイデアを集めてつくられたようです。ですから屋内外、実に様々な遊び集になっています。

“のぼろう やまに”では、お父さんはあぐらをかいて座っているだけで、もうお山にされてしまいます。「てっぺん めざして さあ しゅっぱつ」と登り始めます。
お父さんもわが子の年齢にあわせて、中腰、立ち上がるなどをして、より高いお山になります。下山の場面もダイナミック。つぎの“おこのみしょくどう”のコーナでは、さらに「にぎりずし」「さんまのひらき」「ほっとけーき」「おつけもの」と、愉快な父子の遊びが描かれています。どんな遊びになるのか想像してみてください。
そのうえで、どうぞこの絵本を手にとってみてください。そして、それぞれの家庭でも、これをヒントに親子で作り出していただきたいと思っています。きっと、子ども時代の忘れられない思い出として、いつまでも心に残ることでしょう。

(渡辺順子/乳幼児研究家)

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紙の本雨、あめ

2000/07/28 15:53

雨の日の体験を、存分にさせてもらえた幸せが満ちあふれている絵本。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「雨の日は家の中で遊ぶこと」と決めこんでいる日本の母親たちとは、根底から違うなあと感じた一冊です。

子どもにとって、絵本の読み聞かせ以上に大切なこと、それは五感をフルに活用した“実体験”です。この絵本は、“雨の日”の体験を存分に楽しんだ、姉弟の喜びを語っています。同じ生活空間でも、晴れの日と雨の日では全く別の場所かと思われるくらい変わります。大雨の場合は、あっという間に、くぼ地には池ができ、地面には川ができ、くもの巣には一面に水滴がつき、雨水のたまった地面には、雨脚が無数の波紋を描きます。どの場面も、子ども時代に体験した懐かしい風景ばかりです。

いつの時代でも、子どもたちに興味ある体験を、いきいきと堪能することを保障したいものです。

この絵本では二つの場面が心に残りました。一つは外から帰った後、おやつの時間にお母さんに体験報告をしている場面。もう一つは夜、お父さんも加わった、夕食時での家族の会話場面です。この日の話題は当然、二人の子どもたちの昼間の雨に関する体験だったことでしょう。家庭とはそれぞれの、その日の新しい体験、発見を語り合い、共有することにあるのではないでしょうか。そのような一家団欒の日常からも、“聞く、話す”という力が、培われていくのではないでしょうか。文字なし絵本ですが、この家族の賑やかな会話が聞こえてくるようです。

(渡辺順子/乳幼児教育研究家)

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紙の本アンジュール ある犬の物語

2001/11/22 17:21

「あなたには“アンジュール”してませんか?」

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 子ども以上に、大人に見てもらいと作者バンサンは思っているのではないだろうか。
 
 車の窓から放り出され、走り去る車をもうぜんと追いかける犬。犬が追いかけてきていることを知りつつも、飼い主は決してスピードをゆるめることはせず、車は小さく小さくなり、やがて犬の視界からはまったく見えなくなってしまう。

 冒頭からラストまで、一切文字はない。なくても、作者の力強くスピード感のあるデッサンだけで、十分作者の意図する気持ちが伝わってくる。犬が懸命に飼い主の車を追いかけるとき、“車を止めてあげて!”と思わず叫びたくなる。人間はこれほどひどいことをしないと信じたいが、動物の飼い捨ては現実におこなわれている問題である。

 それでも犬は車をさがして歩き、においをかぎ、あちらこちらをさすらい歩く。信頼を裏切るというのは、ほかの動物たちには無い、人間特有の行為なのかもしれない。野良犬となったその犬は、やがてひとりぼっちの子どもと出会う。お互いに、心の居場所となる出会いにめぐりあえたことで、冒頭の怒りもかすかな希望へと変わる。

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紙の本つきのぼうや

2001/09/27 20:41

またおいで、月のぼうや!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 たて35センチ、横13センチというかなり縦長の絵本。その本の形が空の高さを表現し、月のぼうやが空から地上までやってくる、ゆったりとした浮遊感を感じさせてくれる。

 おつきさまは、ある日ふと、地上を見ると池のなかにもうひとりのおつきさまを見つけます。それが気になったおつきさまは、つきのぼうやをおつかいにだすのでした。ふんわり空から地上におりてゆくつきのぼうや。うっかり星をけとばすと、その星は流れ星となり飛んでゆきます。そして、もう一人のおつきさまがいるかもしれない池の中へとびこむと、たくさんの魚たちがよってきました。さて、つきのぼうやは池の中で何を見つけ、おつきさまにどんな報告をすることになるのでしょう。

 毎晩私たちの地上を照らすお月さま。そんなお月さまにも、広い空でひとりぼっちなのではなく、こうしていたずらっぽい顔をした、ぼうやがいるのだと思うとなんだかうれしくなってきます。空から地上へ、そして海へもぐるまでの間に、さまざまな自然現象や動物たちとの出会いを北欧出身の作者が独特なやわらかい線で表現。思わずつきのぼうやに会いに月へ行ってみたくなります。

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