波多野絵理さんのレビュー一覧
投稿者:波多野絵理
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アルファベット
2000/11/15 05:38
21世紀の子供たちに
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21世紀の国際化時代に活躍されるお子さんたちに、英語が楽しく学べる我が社のビデオセットはいかがですかぁ」という電話が、しょっちゅうかかってくる。ウチのチビーズは就学直前なので、すっかりそういった勧誘のターゲットなのだ。
ご丁寧に、近所の知り合い親子の名前も調べてあって、「ジュンくんのオタクも、百合香ちゃんのオウチも、御買上くださいました」とくる。しかも、「オトクなキャンペーンセット価格」って、ソレ、新車が買えてしまうじゃないか。
「垂れ流しのビデオは好きじゃない」「保育園に通っているのでビデオを見る時間がない」(帰宅後は私のドラクエの時間だ)と、正直に断ってもダメ。「無料サンプルをお送りしますのでぜひ」「ご返却いただかなくても結構ですから」四の五のいわずに買え!!ということである。そこで切り札を出す。「ウチはもう、パソコン学習させてますから」。
それがこの「アルファベット」であることはいうまでもない。
「国際的に著名なチェコの芸術家の原作をもとに」「美とエスプリの国、フランスのデジタルクリエーターが」「日本のNHKエデュケーショナルのプロデュースで作った」「2000年ボローニャ ニューメディア賞その他多数の賞を受賞してしいる晴らしいソフト」なんですよ、と概略を説明するのである。ここで、たいていのテレフォン・アポインターはあきらめてくれる。
だが、私は、あえて言わなかったが、このソフトの真価はそんな「冠」だけにあるのではない。
パソコンが、もっともパソコンらしく使われるのは、こういうメディアをプレイしている時ではないだろうか。素材はアルファベット26文字だが、そいつらが、あなたの声や、マウスの動きや、キーボードのタイピングで縦横無尽に変化し踊り、音を奏で、飽きずに躍動するのである。どんなものよりも強力に、インタラクティブ(双方向)を実感する瞬間だ。
子供たちは自分が操作して、永遠に続く変化をつくり出せることを直観で理解する。手元のマスウや目の前のキーボード操作で、大人が思いもかけなかった動きや変化やリズムを生みだす。自分がこのソフトを素材にしてどんどん新しい遊び方を発見していく。我が家の3人のチビーズは、同じ画面でも3人が3種の動かし方をして楽しんでいた。一人がしたことを別の一人がくりかえしながらチガウやり方をどんどん工夫して、3人でケラケラ笑いながら、「じっくり」「集中して」楽しみ続けた。問題に答える達成型のソフトなら、5分もやれば、飽きてしまうというのに。
今ではすっかりカタカナやヒラガナと同じレベルで馴染んでいる。
アルファベットの正確な発音が聞けて(しかも、スゴク楽しげ)、手元のキーボードの刻印との関連を、黙っていても発見する子も多い。ただし、同じプロジェクトスタッフが手がけた前作『まよなかのおしばい』に比べると、アルファベットという記号を扱うだけに、グッと抽象的なので、より年齢の小さい子供には、前作を親と一緒に遊んでから、といったステップを踏んで、こちらを体験させてみるといいと思う。どちらも感受性をフルに刺激する、マルチメディアを堪能できる質の高い作品だ。
21世紀の子供たちには、こんなソフトこそがふさわしい。
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