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東方雅美さんのレビュー一覧

投稿者:東方雅美

5 件中 1 件~ 5 件を表示

吉井和哉の㊙おセンチ日記

2000/11/20 20:06

吉井和哉の(秘)おセンチ日記

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 イエローモンキーがメジャー・デビューしたのは1992年。デビューしたての頃は、彼らのことを知っている人も当然少なかった。その頃から、ボーカルの吉井和哉が『ロッキング・オン・ジャパン』に連載していたのが、この日記だ。

 まえがきで、「ゴーストライターはいません」と彼自身が言っているように、この本には吉井でなければ書けない言葉がギッシリ詰まっている。

 電車で耳にした女の子の会話にムッとしたり、歯医者に行っておびえたり、ボーリング場で足に合うシューズがあるかドキドキしたり(かなり足が大きいらしい)…。吉井和哉が見たこと聞いたこと、そして思ったことがストレートにぶつかってくる。怒ったときは怒ったと言い、感動したら涙を流す。こと音楽に関しては、その熱血漢ぶりがすごい。

 語り口が巧みなこともあるが、そのストレートさにはなぜか引き付けられる。3年半にわたる記録だから、イエローモンキーが成長していく過程を追体験できるのも興味深い。

 この日記は、イエローモンキーがかなり有名になってきた1996年で突如終わってしまう。あとは音楽から感じとって欲しいということなのだろうが、いまやドームでライブをやるようになった吉井和哉が何を考えているのか、

 また彼自身の言葉で語ってほしいような気もする。
(東方雅美・bk1ブックナビゲーター/ビジネス・ライター)

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山崎まさよし

2000/11/20 19:50

山崎まさよし

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 山崎まさよしがどこから来たか——それを知りたければこの本を読めばいい。そのくらい『山崎まさよし』には、彼の過去から現在までが凝縮されて、詰まっている。

 山崎は、横浜の桜木町に住んでいた。山口から上京してデビューする前の、1年半ほどのあいだだ。アルバイトをしながら音楽を作るという生活をしていたものの、「とにかく暇だった」彼は、横浜をよく歩いたという。この本で執筆者は、山崎と一緒に彼の散歩コースをたどる。

 そして山口県防府市。山崎が、小学校から上京前まで過ごした街だ。ここでは彼がアルバイトをしていた洋風居酒屋や中ノ関港、通っていたライブハウスなどを巡る。この2つの「ゆかりの地」巡りは、たくさんの写真と山崎のコメントで構成されている。その土地で過ごしていたとき、何をしていたか、どんな気持ちだったかが語られる。

 それだけではない。この本には、彼が子供の頃に書いた絵や、デビュー当時のアーティスト紹介文、プロモーション用のCD、ギターコレクション、山崎が自分で撮った自室の写真、97年末の渋谷公会堂でのライブの様子などなど、山崎の過去から現在までの断片が、いろいろな形で並んでいる。

 だから、これを見れば山崎が経験してきたこと、歩んできた道を少しだけ共有できる、そんな気持ちになる。桜木町のパートでは、デビュー前の彼の寂しさや不安な気持ちまでが伝わってくるようで、ちょっと切なくなったりもする、かもしれない。

 音楽を聴くのに、それを演奏しているアーティストのことをどれだけ知る必要があるのかは分からない。だが、山崎のうたが生活に根ざしているものだけに、この本を読んで彼のことを知れば、また別の角度から彼の音楽を聞けるのではないだろうか。
(東方雅美・bk1ブックナビゲーター/ビジネス・ライター)

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月とキャベツ 写真集

2000/10/09 00:33

月とキャベツ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『月とキャベツ』。篠原哲雄監督によるこの映画を知っている人は、あまり多くないかもしれない。だが、山崎まさよしのファンにとっては、特別な意味を持つ映画だ。なにしろ、彼が主演した唯一の映画なのだから。

 この映画が撮影されたのは1996年。山崎がデビューして、まだ1年も経っていない頃だった。

 山崎演じる「花火」はミュージシャン。自分のグループを解散してから田舎にこもり、ひとりキャベツを育てている。そこに花火のファンだというヒバナ(真田麻垂美)があらわれる。ヒバナと夏を過ごすうちに、花火は再び音楽を作りはじめる…。(もちろん話はこれだけでは終わらない。最後には意外な展開が待っている)。


 『piece of paper on moon and cabbages』は、この映画の印象深いシーンを石津昌嗣が撮りおろした写真集だ。映画の幻想的な雰囲気をそのままに残しながら、花火とヒバナをとらえている。いつもどこか寂しげなヒバナ、遠くを見ているような花火…。ページのところどころには、ヒバナの花火に対する思いがつづられる。

 映画では一瞬にして通り過ぎてしまう花火やヒバナの表情、花火が暮らす部屋の黒板に書かれた文字などを、この写真集ではじっくり見ることができる。映画を見ていない人でも、写真を一枚一枚たどっていけば、映画の雰囲気を味わうことができそうだ。そして、デビュー間もない頃の山崎の姿も、いま見るとかえって新鮮に映る。

 映画の公開からしばらく経ってしまっているせいか、この本は一般の書店ではなかなか見かけることがなく、手に入れるのが難しい。そのためか、ここbk1では隠れたベストセラーになっているらしい。


 なお、この映画の主題歌となった『One more time, One more chance』は、山崎がデビュー前に作っていた曲だ。映画の企画は、山崎とはまったく関係のないところで考えられた。(山崎はオーディションに誘われ、そこで選ばれて出演することになった)。それなのに、歌の内容と映画の内容が偶然とは思えないほどに合致している。もともと、『月とキャベツ』と山崎は、巡り合う運命にあったのだろうか。『One more〜』の歌詞は、この写真集にも、山崎の自筆(らしい文字)で記されている。
(東方雅美)

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山崎まさよし「NIGHTS WITH ONE KNIGHT」

2000/10/08 16:33

NIGHTSWITHONEKNIGHT

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 1999年11月14日、群馬県中之条町からスタートした山崎まさよしのライブツアー『ONE KNIGHT STAND TOUR』は、翌年の3月末まで続いた。合計55回のステージに立ったのは、山崎まさよしただ一人。バンドもコーラスも何もない、弾き語りツアーだ。『NIGHTS WITH ONE KNIGHT』は、音楽誌『BRIDGE』の編集者が、4カ月にわたってツアーを取材し、制作したものだ。

 観客にとって「ライブに行く」という行為はわずか数時間のものだが、アーティストにとってライブは、長い流れの中にある。会場に入り、リハーサルをし、本番のステージがあり、打ち上げをし、次の会場に移動する。会場によって音響がまるで違ったり、体調の良いときも悪いときもある。この本では、そんなアーティストにとってのツアーの日常や、その中で見せる山崎のさまざまな表情を、多くの写真と文章で描いていく。ライブという一瞬の芸術が作られていく過程をあらわしているという点でも、貴重な本だといえる。

 ツアー中、筆者は山崎に何度もインタビューをする。「なぜ音楽を始めたの?」「ライブって何?」といった根源的な質問から、「今日の演奏はどうだった?」という話まで。山崎は真摯に、音楽という言葉にしにくいものを説明しようとする。その言葉をたどっていくと、彼の音楽に対する思いや考え方が、だんだんに伝わってくる。言葉の端々にあらわれる山崎の本質が音楽にも現れている、(だから彼の音楽は彼にしか作れない)ことも感じられる。

 『ONE NIGHT STAND TOUR』で山崎まさよしは、「弾き語り」という言葉からイメージされるものをはるかに超えてしまうほど、多彩な演奏を見せた。ライブ終盤の武道館公演や広島の最終公演でも、ステージで新たな挑戦をしていたという。ツアーは終わっても、彼のストーリーはまだまだ続いていく。この本はそんなことを示唆しているようだ。
(東方雅美)

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スチーブンソン教授に経営を学ぶ

2000/10/29 17:30

「予測可能性」という切り口で経営学上の流行語や新手法を切っておりシンプルで分かりやすい

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 この本のテーマは「予測可能性」だ。なんだか難しそうに聞こえるが、本の中身は決して難解なものではない。予測可能性とは、つまりは「先がどうなるか分かること」くらいの意味だ。これが個人にとって、また経営においてどれだけ大切かについて、著者のスチーブンソン教授が、まさに語りかけるように詳しく解説してくれる。
 本書がユニークなのは、「予測可能性」という一つの切り口で、経営やさまざまな経営手法を見る方法を提供していることだろう。さまざまな経営学上の流行語も新しい手法も、「予測可能性」という一点から切っていく。だからシンプルでわかりやすい。

 解説の仕方もユニークだ。淡々と説明するのではなく、非常にたくさんの例やたとえ話を挙げながら話を進めていく。原題の「Do Lunch or Be Lunch」もそのようなたとえ話の一つで、ジャングルでトラに出会ったとき、食うか(Do Lunch)食われるか(Be Lunch)を、とっさに予測しなければならないというところから来ている。
 「予測可能性」が話の中心になっているから、じつは本書には「経営そのもの」についての話はそれほどでてこない。しかし、さまざまな経営学の潮流に惑わされそうになったとき、方向性を見失いそうになったとき、指針の一つとなってくれそうな本だ。

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