シダクニヒデさんのレビュー一覧
投稿者:シダクニヒデ
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ゲームの時事問題 夢のようだっだ「ゲームの時代」が終わる
2000/07/27 14:48
ゲームの時事問題
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日本のテレビゲーム産業は年間二兆円市場なんていわれるが、おちおちゲームばっかりやってもいられなくなった。
IT(Information Technology)なんて言葉があちこちでささやかれるようになって、テレビゲームの立場は変わってきたのだ。2000年以後に発売される家庭用ゲーム機は、のきなみネットワーク接続を前提とし、家庭内の新しいネットワーク端末として注目を浴び始めている。
プレイステーション2しかり、任天堂の新ゲーム機しかり、マイクロソフトの新ゲーム機しかり。ゲーム機の皮をかぶった新家電? テレビのまわりの覇権争い?
はたしてテレビゲームはITの先駆者なの? それとも踏絵なの? すぐそこにある変化は、希望? それとも絶望?
著者の平林久和氏(渋谷区在住)は、まるで自分の父親の世代に語りかけるように、今のテレビゲームがおかれた、複雑怪奇な状況をやさしく紐解いていく。その筆致が凡百の業界分析ものと一線を画しているのは、彼自身が実際にテレビゲームの制作や流通にたずさわっているから。
ただ危機感をあおるだけでない明確な志とビジョンが本書からじんわりとにじみでている。
(シダクニヒデ・ゲーム推薦家)
テレビゲームと癒し
2000/07/27 14:36
テレビゲームと癒し
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やれやれとこぼれるため息。状況は変わっていない。
この本が書かれたのは家庭用ゲーム機プレイステーションが発売されるあたり。今や、あの頃から数歩進化した家庭用ゲーム機が発売され、テレビゲームの映像も、質も大きく変化をみせた。だが、テレビゲームを取り巻く周囲の冷ややかな視線は変わっていない。状況は相変わらずだ。
たとえば昨今、若い犯罪者がでるたびに、その彼が遊んでいたテレビゲームソフトのタイトルが新聞の紙面を騒がす。あたかも、そのテレビゲームが犯罪を促進させたかのように。
だが、そんな思考停止に本書は疑問符を投げかける。
もし残酷な描写が挿入されたテレビゲームをやって、残酷な心を持った人間になるとするならば、人助けするテレビゲームをやれば、やさしい心を持った人間が生まれてもいい。
精神科医であり、この本の筆者である香山リカさんは臨床の立場から、冷静にそう語る。
テレビゲームが精神に及ぼす影響を分析した研究資料はほとんどないことを正直に告白したうえで、彼女は実際にテレビゲームを媒介に患者と触れ合いつつ、成果を重ねていく。真摯なその姿勢は、ゲーム好きならずともグッとくるはず。
(シダクニヒデ・ゲーム推薦家)
ゲームの話をしよう
2000/07/27 14:32
ゲームの話をしよう
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「いままでにゲームをやらない男とつきあったことあります?」
「わたしはそうだったよ、ファミコンのころは。(中略)『マリオ』やってたときは約束なんてすっぽかしてたもん。」(本書104Pより引用)
ムダ話、ヨタ話、ダメ話。テレビゲームを遊ぶのは楽しいが、遊んだ後に友だちと盛り上がるともっと楽しい。あっという間に話題がつながり、意気投合。どうしてこんなに楽しいんだろう!
本来、テレビゲームとはごく個人的なものだ。遊び手はモニターに向かい、ひたすらにコントローラのボタンを叩くことになる。映画のように誰もがひとつの物語を見るのではなく、テレビゲームでは、それぞれの遊び手が異なる体験を味わう。つまり、ひとつのゲームソフトがダイナミックな多様性を生み出す。てな感じが理由ってところか。
この本は、そんなゲームを題材とした会話だけを切り取った、リラックスしたインタビュー集。聞き手の永田泰大さんはゲーム専門誌、週刊ファミ通の編集者だ(現在はフリー)。彼とゲストの会話はゲームソフトの批評にとどまらず、ときにテレビゲームのビジネスや、ゲームを取り巻くライフスタイルにまで転がっていく。その脱線ぶりがとってもグルーヴィなのだ。
(シダクニヒデ・ゲーム推薦家)
東京ヘッド New edition
2000/07/18 22:51
東京ヘッド
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指先の格闘技と言った人がいた。
あるいは思考と反射のコロシアムとも。
93年、ゲームセンターに登場したアーケードゲーム『バーチャファイター』。肩で息をしながら対峙するふたりのキャラクターが、殴り合い、つかみ合い、投げ飛ばし合う。このゲームに多くの人々がハマり、我を失うほど夢中になった。そして優れたプレイヤーは、まるで格闘技のチャンピオンのように称えられ、鉄人と呼ばれていった……。
本書は93年から95年にかけて、新宿のゲームセンターから全国へと広がっていく『バーチャファイター』のムーブメントを、熱く煮えたぎるような筆致で描いたドキュメントだ。まあ、お金で何でも買えてしまうような昨今、テレビゲームに人生を狂わすほどのお金をつぎ込むというのは、結局ヤクザにもエリートにもなりきれない愛すべきボンクラたちなのだろう。
しかし、「たかがゲーム」「しょせん遊び」といった、陳腐な言葉ではこぼれ落ちてしまう何かが、本書にはあふれている。90年代、たしかに天使たちはここにいた。
今は天使はどこにいるのだろう。
(シダクニヒデ・ゲーム推薦家)
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