日経流通新聞さんのレビュー一覧
投稿者:日経流通新聞
2000/11/10 21:15
2000/10/24
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ブランド・エクイティという概念の登場により、マーケティング戦略におけるブランドの重要性が再認識されている。著者はマーケターが直面する2つの疑問、すなわち、ブランドが異なるということは消費者にとって何を意味するのか、マーケティング活動への消費者の反応がブランド知識によってどのように影響を受けるのか、に対する包括的かつ一貫性のある理論と実践的な処方せんを提供している。
本書は米国の名門ビジネス・スクールで採用され好評を博したテキストの翻訳で、700ページを超える大著である。マーケティングの基本を習得された大学院生やスペシャリストにお薦めしたい。その分量および質の高さから、まさにブランドに関する百科事典と呼べるものかもしれない。その意味で、索引がないのがとても残念だ。(昭)
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
2000/11/10 21:15
2000/10/31
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将来を約束されていた貴族クロポトキンはロシア皇帝の怒りを買い、政治犯刑務所に送られた。しかし同志の協力で見事に脱走し、その体験から「人間はもともと協力的」という社会観を身につけたという。
本書は、このエピソードから始まる。ホッブスにならい「万人の万人による戦いで優れたものが勝つ」という適者生存説がファシズム、社会主義を含め1845年から1945年まで1世紀の思想を支配していたという。この不幸を永遠に放逐するには、「人間は本来、自己利益を追求する存在ではなく、本能的に道徳を求める」という罪のない嘘(うそ)を教育することだと指摘している。
裏切りゲームの実験で最も裏切る確率が高いのは経済学部生だという。「なるほど、教育が重要か」と思わず納得させられる怪(!)著である。(助)
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
紙の本空き店舗絶滅作戦 商店街賑わいづくりのポイント50+10
2000/10/21 00:18
2000/3/7
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おそらく著者にとっても「空き店舗絶滅」などというのは二の次、三の次の話である。狙いはむしろ、単なる「モノ売り屋」となってしまった商店街が、それぞれ存在意義を創造するための考え方を示すことにある。だから、図表を多用し、販売戦略を紹介しているからといって、決してマニュアル本ではない。個々の商店街に応じた具体策ではなく、商店街が「顧客の生活課題を受信し、さらにその解決の機会を作る」という出発点に立てば、どういうアイデアが生まれるのかを教えてくれる。
本書はいわば、顧客の視点で商店街再生を考えに考え抜き、実践してきた著者の発見を体系化したものであり、商店街の「考えるヒント」である。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
紙の本私の広告術
2000/10/21 00:17
2000/3/21
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企業の意思決定で科学的マーケティングが重視される今日でも、広告には合理的計算が及ばない部分が残る。そこでは感性や創造性が問題になるだけに、一般論としての成功法はないが、本書ではそれを承知で広告のトップランナーたちに自分独自の広告作法を語らせている。
92年出版の講義録「広告大入門」の一部を再録した形だが、抜粋された24人は今日まで10年近くも新旧交代の激しい業界の第一線で活躍し続けている。時間に試されて生き残った者の方法論という意味で貴重だろう。広告制作の共同作業では、あるディレクターとデザイナー、コピーライター、あるいは個性的なクライアントとの出会いがしばしば画期的な作品や流れを作り出すことを改めて実感させられる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
2000/10/21 00:17
2000/3/28
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本書は、サービス経済化の進展に伴う経営のサービス化に関する理論的な枠組みの提示と、その枠組みに基づいた先進的な実践事例の分析を通して、サービス経営の本質的な理解と今後の課題や展望を明らかにすることを目的としている。
経営のサービス化は単にサービス業者の経営を意味するのではなく、むしろ製造業者にとって重要であるという。企業と顧客のインターフェースという観点から考えると、製造業では、顧客から見た企業間競争の焦点が製品の属性など「モノ」から「サービス」にシフトすることが経営のサービス化の本質であると指摘する。新しいビジネス・システムを構築する際のヒントになる事例が豊富である。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
紙の本想うことが思うようになる努力 ドトールコーヒー成功の原理・原則
2000/10/21 00:17
2000/3/28
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38年前、ブラジル帰りの「理想以外は何もない」青年が興した企業が、今、日本を代表するコーヒーショップ・チェーンになった。圧倒的なおいしさと徹底した顧客満足を追求し続ける著者の経営哲学とビジネスの軌跡がつづられた本書は、外食産業に限らず、生活産業すべてに通じる原理原則が満載である。
ビジョン(想うこと)をビジネスに結実させる(思うようにする)努力を積み重ねることは、客だけでなく、働く人や取引相手たちをも幸せにしていく過程でもある。不況下で仕事への自信を失いつつある経営者や中間管理職にとって、商品やサービスに関して妥協を許さない著者の言葉の数々は、頼もしい応援歌のように聞こえるのではないだろうか。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
紙の本「町おこし」の経営学 ケーススタディー・地域経済活性化 官と民の新たな関係
2000/10/21 00:17
2000/4/4
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景気が低迷するなか、工業団地を造成し企業を誘致する形での重厚長大型の地方経済振興策は困難になっている。むしろ、いま注目が高まっているのは、住民と行政が一体となり、地域振興にかかわっていく住民参加型の地域活性化策だ。本書は、町おこしコンサルティングのグループが手がけた地域活性化の事例を基に、望ましい町おこしのあり方を提言している。
成功事例におけるポイントは、やはり都市の活力をいかに取り入れるかである。補助金の効果的活用による情報基盤の整備、明確な地方行政目的の設定、都市部の民間企業などとの人的交流に基づく人材育成などがその柱となる。地域おこしの方法に苦慮する人たちに、指針として一読をお薦めしたい。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
2000/10/21 00:17
2000/4/18
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経済の分野では、年を重ねてからでは恥ずかしくて人に聞けないことがいろいろある。本書は「だんご3兄弟」のヒットで一躍有名人になった佐藤氏が経済学の素人として抱いた疑問の数々を、第一線の経済学者、竹中教授にぶつける対談形式の入門書。佐藤氏はある意味で大変なぜい沢を味わっているわけだが、それを読者に(イラスト付きで)見事に還元してくれる。
小学校で起きた牛乳ビンのフタ集めブームと貨幣の類似性、税金とやくざの「みかじめ料」の共通点など、具体的で身近な例を挙げて経済学の発想を示し、欧州の通貨統合やアジアの経済危機を論じて現実社会での経済問題を解説する。イラストや語り口で油断しているうちに、経済学の基本を理解させられてしまう。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
紙の本マネジメントの先覚者
2000/10/21 00:17
2000/4/25
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エクセレント・カンパニー、リエンジニアリング、コア・コンピタンス——。いずれも、一世をふうびした革新的な経営用語である。本書は、このような新しい経営の考え方を提唱した先覚者42人の業績とその思想をコンパクトに紹介している。しかも、経営学説史の教科書のように難解ではなく、興味深く読める。
マーケティングの第一人者、コトラーは、自由市場経済を擁護するフリードマンとケインズ派経済学者のサミュエルソンの相反する理論に失望し、経済学をあきらめ、ハーバード大学の大学院で社会学を学んだなどといった面白いエピソードも豊富。情報革命が進展しても、人間が主役となるマネジメントの原理は不変であることに驚かされる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
紙の本ミッション経営のすすめ 自社発展と「より良い世の中」の実現
2000/10/21 00:17
2000/5/2
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かつての日本的経営は家族経営ともいわれ、会社=家族という意識がモラルを高めた。しかし、企業活動が社会にどう貢献するべきかの意識は、バブル崩壊後のメセナ縮小に象徴されるように、必ずしも根付いていない。本書は、こうした社会的使命感を持って活動する企業こそが21世紀を担う企業だという問題意識でまとめている。
仏典の英訳をホテルなどに無料配布している精密測定器のミツトヨの例、排ガス対策を徹底する自動車メーカーのように業務そのもので社会貢献する例……。アプローチは様々だが、こうした公的活動の蓄積によって社会的使命感を持つ企業が増えることで、市民セクターと連携し、21世紀に向けて草の根レベルから社会を変えていくことが期待される。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
2000/10/21 00:17
2000/5/9
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外資系のバリバリ営業マンがコミュニティー活動に目覚めた。それも義憤から……。高い住宅ローンを抱え、家庭もそっちのけで滅私奉公するサラリーマンが多く住まうベッドタウン。家に帰ればバタンキュー。ローンを返し終わったら、余生を楽しむ気力はとっくにうせている。
こんな地域に愛着がわくか。コミュニティーも子供もちゃんと育つのか。この自問から出た結論がNPO(非営利組織)法人を作り、コミュニティーを活性化させようという「無謀な試み」。友達のだれもが「やめとけ」と言うからなおさらムキになる。そんな元営業マンが「みんな仲良くポンポコポンポコ」とはやし立てながら、インターネットを利用して巧みにNPO法人を設立するまでの楽しい奮戦記。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
2000/10/21 00:17
2000/5/23
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経営学における実証主義的研究と解釈学的研究は、対話不可能な状態にあるとされる。本書は意図せざる結果を探究することで、両者が対話可能となるよう狙った研究書である。一般に実務家は日々の仕事に追われ、なかなか経営理論を思いつかない。こうした状況を打開するため、「経営学者は言われてみれば『なるほど』と思うような理論を組まなければならない」と主張する。
その例として、柔軟な取引システムの方が、固定的な取引システムよりも技術転換のタイミングが遅れる可能性があるという柔軟性の罠(わな)などを紹介している。やさしいテーマを扱ったものではないが、興味深い豊富な事例を読むだけでも、今日の経営学の抱える問題点と今後の進むべき方向を知ることができる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
2000/10/21 00:17
2000/5/23
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通貨危機を迎えるまで、アジア経済の活況は新しい時代の到来のようにマスコミによって伝えられていたが、一転してその基盤の脆弱(ぜいじゃく)さが論じられたのは記憶に新しい。議論の多くは国際通貨基金(IMF)の役割を含め、グローバルな金融システムの功罪に焦点を当てた。それはもっともなことだったが、本書は「アジア通貨危機後の議論で一番欠落していたのは、その舞台となったアジア地域の工業化の歴史とその特徴である」との問題意識から、通貨危機に至るまでのアジアの工業化の流れをたどる。それは日本企業、特に製造業が戦中・戦後にアジアで果たした役割の検証でもある。日本が作り上げた生産システムの特徴と通貨危機との関連を推察すると興味深いものがある。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
紙の本ドン・キホーテの「4次元」ビジネス 新業態創造への闘い
2000/10/21 00:15
2000/5/30
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89年に150坪の売り場で5億円の売上高からスタートした「ドン・キホーテ」は、今や22店舗、1000億円の売り上げを目指す成功事例の典型になっている。本書では安田隆夫社長が、時間軸をプラスした独自の「4次元の手法」を中心に、成功をもたらした様々なノウハウを述べている。
徹底的に商品で売り場を満たす「圧縮陳列」、常に売り場に目新しさを追求する「サムシングニュー」などドン・キホーテならではの手法はいくつもあるが、やはり中核はナイトマーケットの開拓だろう。酒場や風俗関係が多かったナイトマーケットに果敢に挑戦し、住宅地の府中店(東京・府中市)でも午後6時から午前2時の間に売り上げの53%を稼ぎ出している。ナイトマーケットの可能性を考えるうえで、本書は特に参考になろう。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
2000/10/21 00:15
2000/6/27
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マーケティングのテキストに比べて、広告やコミュニケーションのテキストが翻訳されることは少ない。特に大学院レベルの本格的なテキストが翻訳されることはまれだ。監訳者も指摘しているように、600ページを超える本書の記述は理論的かつ厳密で、一読して簡単に理解できるものではない。しかし独自の理論的枠組みから一貫性のあるプランニング・システムを提供している点は本書の優位性といえよう。
つまり本書は幾人かの著名な学者の理論を切り張りしたようなテキストではない。昨今、注目されている統合型マーケティング・コミュニケーション(IMC)におけるブランド・コミュニケーション戦略を立案するための具体的な指針を提供してくれる。その点で価値ある一冊といえるだろう。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000