大原 里麻子さんのレビュー一覧
投稿者:大原 里麻子
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コンピュータ・トレーナー実践ガイド わかりやすく効果的なトレーニングのために コンピュータに強い人から教える人へステップアップ
2000/12/28 12:15
企業におけるIT教育の現場で悪戦苦闘している「コンピュータ・トレーナー」のための実践的な指導書
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企業がIT化を進めるためのユーザー教育の現場では,実にさまざまな問題に直面する。受講者のレベルがばらついており個々の対象者のレベルに合わせるのが難しい,システムそのものがそもそも使いづらくできておりインストラクタでさえ使いこなせない,受講者の中にシステムへの嫌悪感を抱く人もいる——などだ。それでも企業はIT革命に乗り遅れないためにユーザー教育を推進しなければならない。それも,多くの時間と手間ひまをかけずにである。本書はこのようなユーザー教育の現場に立たされ悪戦苦闘している「コンピュータ・トレーナー」のための実践的な指導書である。同時に,企業における教育・研修計画を企画し実施する立場の人々にも必要な知識が濃縮されている。
何より特徴的なのは事例が豊富なことだ。「ある製薬会社では327人の営業員に,ノートパソコンを携帯させ,どこででも事務処理ができるようにして,事務作業の停滞を解消することを計画し,全営業員にデータベースソフトの使い方について研修することになった。ただし営業員は貴重な業務時間を割くのだから研修は効率的に行わなければならない」,「ある書店では全国への事業展開を進める中で書籍の在庫管理が大きな問題になり,旧式の在庫管理システムを交換しようとしていた。しかし,システムのトレーニング担当者は少なく,教室で教える時間を最小限にしなければならなかった」,「ある会社では5人の役員に電子メールシステムの基本を教え,秘書の手を借りずともメールの送信,受信,印刷ができるようにすることにしたが,彼らは多忙なので使える時間は2時間だけである」——。
どの企業も多かれ少なかれIT教育を短い時間で,効果的に実施しなければならないという課題に直面している。さまざまな課題をどのようにクリアして,最も効果的な教育研修を実施するのか,本書が示す指針には1つ1つうなずかされる。
日本全体が世界規模のIT化の潮流に取り残されるのではないかという不安感もあり,IT教育の必要性については声高に叫ばれているが,企業が事業戦略の中でIT教育研修を推し進めている例は非常に少ない。具体的な行動に踏み出すことを躊躇している理由の1つは,どのように教育研修を進めて行くか,研修の効果をどのように評価するかという方法論が見えていないことである。このような暗闇状態から一歩でも踏み出そうとする人たちは本書を読むことによって必ずや勇気づけられることだろう。
(C) ブッククレビュー社 2000
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