青山まりさんのレビュー一覧
投稿者:青山まり
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部屋と下着
2001/04/11 15:42
とにかく、足元をみつめたくて・・・
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「とにかく、足元をみつめたくて・・・」
大手企業に勤めていた友人が、いいお給料をもらっていたにも関わらず、30歳で会社を辞め、今、貪るように写真を撮っている。撮るものは、土(大地)の写真ばかり・・・。 6年間もつきあっていた彼氏は、実は二股を掛けていて、他の女性と結婚し、職場でも、配置転換があり、自分に向かない部署に異動させられたという。
人は、ときに他人に振り廻されたり、仕事に振り廻されたりするものだ。
疲れきって帰ってくるところ・・・それが自分の「部屋」に他ならない。そこでは、誰に振り廻されることもない。唯一、ありのままの自分になれるところだ。
服をハンガーに掛けることもできないほど疲れきったなら、足元に散らかしたまま眠ればよい。食器を片づける体力もなくなったなら、しばらくそのままにして、音楽を聴いたりビデオを観たり・・・と、自分の好きなことに興じたっていい。
誰にも気兼ねすることはない。だってそこは「私の部屋」なのだから。
「部屋と下着」・・・この本は、プロのモデルではない、素人の女の子が自分の部屋で下着姿で普段しているような姿勢で写っている写真が70人ぶん収められている写真集である。そこにあるのは、彼女らのさりげない「日常」。床に寝っころがりながら、アルバイト情報誌を見ていたり、美容体操をしていたり、冷蔵庫の前でペットボトルをガブ飲みしていたり・・・。
中には、足の踏み場もないほど床が物で埋めつくされている部屋もある。けれどそれが彼女の日常であり、現実だ。そして、その写真全てにありのままの自己と対峙しようとしている著者の鋭い視線を感じる。
自分探しをしているのは、この著者だけではない。私も無意識のうちに、この70人の中から自分の姿を探していた。
おもしろいことに、この本は、全ての写真にプロフィールがつけられており、それぞれの女の子の部屋へのこだわりや下着へのこだわりについてが書かれている。それが、この70人ぶんの写真の中で自分の姿を探し出すのにいい手がかりとなっている。
「部屋と下着」・・・この本は、一見、写真集。しかし、熟読すれば、文芸書よりもはるかに具体的に「自分探し」をさせてくれる、なんとも楽しい本とも言える。
(青山まり/ブラジャー研究家・エッセイスト/2001.04.11)
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