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小林一郎さんのレビュー一覧

投稿者:小林一郎

2 件中 1 件~ 2 件を表示

不良のための読書術

2000/11/08 17:16

達人はゴダール式に本を読んでいる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 吉岡実(1919〜90)の詩を愛読している。吉岡は詩集『サフラン摘み』(1976)以降、自作の詩に数多くの他人の文言を引用した。わたしは詩集『薬玉』(1983)に頻出するフレイザー『金枝篇』を岩波文庫で読んだ経験から、吉岡の引用は永江朗さんのいう「ゴダール式読書法」(本を適当に開いて20〜30ページ読むこと)によって選びとられたものだと睨んでいる。「不良」でなければあんなすごい詩が書けるわけないじゃないか。筑摩書房で永年宣伝広告を担当した吉岡は、書籍の新聞広告の達人で(臼田捷治『装幀時代』に拠れば「三八の吉岡」と異名を取った)、業務上、自社の出版物をゴダール式に読まざるをえなかった(在職中のインタビューでひと月に読む本は1冊と答えていたのは、最初から最後まで読んだ本のことか)。私はこれを第二章の終わり(50ページ)まで読んで書いている。著者のススメに逆らって、本書を奥付まで読みとおすことになるだろう。

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樹の花にて 装幀家の余白

2000/11/08 17:47

装幀の余白に書かれた五感の悦び

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 菊地信義は装幀をする。文章も書く。その装幀の要諦は『装幀談義』(筑摩書房、ちくま文庫)に詳しいが、写真も楽しかった『わがまま骨董』(平凡社)と並ぶ散文集である本書には、短文ながら味わい深い文章が収められている。第1部は「いつもの銀座で」のタイトルで、3年にわたって『銀座百点』に連載されたもの。第2部(小説ふうのものもある)・第3部(主に装幀に関するもの)は求めに応じて書かれた。親本の『樹の花にて』にはサブタイトルの「装幀家の余白」はなかった(本書は親本の組版を流用しているが、『銀座百店』等の誤植は訂正された)。このたび付された「余白へ」によれば、著者にとっての〈余白〉とはいまや〈装幀〉と同義のようだ。目や耳の悦びはときに官能的に描かれ(「ホンとの出会い」「深い声」)、銀座の食べ物がまた実にうまそうだ(「おみやげ」)。これだけ多数の本に触れているのだから書名索引を——というのは望蜀だろうか。

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