山下修さんのレビュー一覧
投稿者:山下修
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匠のたくらみが町工場も日本もアジアも救うんです。
2002/09/29 17:30
これからの日本の物作りのあり方を示唆
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中国へは進出しないと言う。中国でなければ、夜も日も明けぬ時勢に、酷なことを言う会社である。
俄然我々は、この日本で生き残って行くための方策を考えねばならないが、それはあまりにも大きなテーマで身に余る。しかし、生涯一技術屋たらんとする目からそれを見るに、やるべき事は明白に見えてくるのである。
いつの頃からか、日本の製造業では大量生産の技術のみがもてはやされてきた。重箱の隅をつつくような品質管理、自虐的なコストダウン、夜を日に継いで身を削る思いで効率を追い求め、出来上がった生産システムは簡単に中国やその他のアジアの国々へ移される。
結果は何が残ったのか。効率を追い求めるがあまり、職人の技は捨たれてしまった。いつからこの様な事になってしまったのか。
豊かさと引換に失ってしまった何かを取り戻さなければならない。そういう意味で我々のやるべき事は、明白なのである。
その一は、原点に帰る。日々の創意工夫はもとより、道具立や、作り方や、作る意識までも原点に帰る必要性があるのではないか。我社の社是でもある「?」の実線こそが、今一番大事なことなのである。
その二は、仲間との互いの協力であろう。今の言葉で言えば、アライアンスである。これからは、互いの加工技術を組合せ、新しい物作りの仕方を作り出す事が肝要である。そしてそれは、次々と生み出されなければならない。その為には、物作りのための濃密な人間関係が何としても必要なのである。利益は追い求めなければならないが、それは全てでは無いと言う事を認識する必要があるのではないか。
そして第三には、ユニバーサルデザインに見られるような、メーカーや物作り主導の考え方では無く、消費者や最終ユーザーの求めに最も合致した物作りの工夫をする事である。
設計者の独走や、「物作り、物作り」の大合唱は、もうすでに過去の遺物にしなければならない。
その意味でこの本は、我々物作りに従事する者にとっては代弁者であり、読者の方々には、これからの日本の物作りのあり方を示唆している書物であろう。
【株式会社 篠崎製作所】
1973年創業。微細・精密・高精度、好きです。作ります。レーザー(エキシマ、UV-YAG、CO2)と機械加工の可能性に挑戦します。
http://www.snzk.co.jp
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