関本博英さんのレビュー一覧
投稿者:関本博英
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賢明なる投資家 財務諸表編 企業財務が分かれば、バリュー株を発見できる
2001/11/08 19:52
訳者まえがき
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本書には、投資家の皆さまが財務諸表の数字を賢明に読み取れるようになってほしいというグレアムの願いが込められている。決算期の新聞に添えられているあの分厚い会社の成績表から、キラリと光るバリュー株を見つけることも不可能ではないからだ。
ネットバブルの崩壊に続き、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センタービルを襲った衝撃的なテロ事件の影響で、日本をはじめ世界の株式市場は底なしのドロ沼に陥ったかのようである。こうした総悲観の相場の下で、グレアムのいう株式の「本質的価値」と「バリュー投資」というものをじっくり考えることはけっしてムダではないだろう。
グレアムは言う。「株式投資の成否は未来にならないと分からないし、われわれ人間が未来を正確に予測することはできない。しかし、その会社の現在の財政状態と過去の業績について正確な情報を得ることができれば、その会社の将来の可能性を判断することは可能である」
株式投資で利益を得るには、一にも二にも売買技術の向上であろう。しかしそれに加えて、グレアムのいうこうした証券分析の価値にも目を向けるならば、株式投資の魅力はいっそう増すだろう。グレアムも言っているではないか。「(株式市場が)エキサイティングなことだけは、長年投資に携わってきた私が100%保証する」(『賢明なる投資家』パンローリング刊)。
株式市場の実践家にとって、本書が投資の楽しみと利益の両方を得るための手掛かりとなれば幸いである。
なお、本書に資料として掲載されているアメリカの会社の財務諸表を読む場合には若干の注意が必要であろう。それらの財務諸表は日本の会社の場合ほど整然とは統一されておらず、記載項目の種類や順序などは会社によってまちまちである。またアメリカの財務諸表の大きな特徴は、前年度との比較形式が重視されていることである。
掲載企業や数字の古さにはあまりこだわらず、その根底に流れているグレアムの思想をくみ取ってほしい。巻末の「財務用語」は、グレアムの最高傑作である『証券分析』(パンローリングから近刊予定)や『賢明なる投資家』を読む際に役立つだろう。半世紀以上にもわたってアメリカの投資家の間で読み継がれているこれらの古典から得るものは必ずや大である。
本書の翻訳の機会を与えてくださった後藤康徳氏(パンローリング社)、編集・校正の労をとっていただいた阿部達郎氏(FGI)、ステキな装丁で本書を仕上げてくださった江畑雅子氏には心よりお礼申し上げます。
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