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ヒラノマドカさんのレビュー一覧

投稿者:ヒラノマドカ

8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本戦士志願

2000/12/13 01:47

機転とハッタリで傭兵団の提督に。宇宙冒険SF!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。


「あなたの前向きの姿勢ってやつは、そのうちついてくる者をみんな崖っぷちに追い込むんじゃないのかな」といって言葉を切った彼の顔に笑みが広がった。「落っこちる途中で、みんなに空を飛べると信じ込ませるだろうがね」


 マイルズ・ヴォルコシガンは17歳。万年躁状態の明るいぶっ飛んだ性格と、よく回転する頭脳、素晴らしい機転と、次々に飛び出す口からでまかせの嘘、その場限りのハッタリの数々。誰にも負けられないという高いプライドと、一途な正義感で、周りの大人たちをだまくらかし、人心を掌握し、あっという間に数千人の傭兵団の提督になり大活躍する。故郷では兵隊にすら慣れなかったのに。

 身体的な障害と、やたらと立派な家柄のせいで、超巨大なコンプレックスの塊を抱えた少年が、悩み葛藤しながら、自らの手で未来と勝利を勝ち取る正統派成長物語。主人公のマイルズ君がひたすら熱くて、魅力的。架空の傭兵隊の提督として資金集めに奔走する傍ら、恋に悩み、嫉妬に傷つき、挫折し、戦い、乗り越えていく様には、とにかく元気になれること請け合いの、血沸き肉踊る宇宙冒険SF。

(ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/)

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紙の本バラヤー内乱

2000/12/13 01:17

「母は強し」を前面に押し出した展開

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 先進的なベータ植民惑星から、後進国バラヤーに嫁いできたコーデリア。幼い5歳の皇帝の摂政となった夫アラールと共に、息子マイルズの誕生を待ちわびていた矢先、毒ガステロに巻き込まれる。胎児は人工子宮に移され一命を取り留めたのだが、今度は首都で帝位簒奪の内乱が巻き起こり、人工子宮が人質になってしまった。コーデリアは独断で首都に乗り込む決意をする。果たしてマイルズを取り戻すことが出来るのか!

 《マイルズ・ヴォルコシガン》シリーズを読んでいる方には既にお馴染みの感が強い“ヴォルダリアンの帝位簒奪”事件だが、今回のコーデリアの活躍は本当にすごい。さすが、ビジョルド、女性の作家らしく、「母は強し」を前面に押し出した展開。戦闘の真っ最中に部下同士の結婚を取り持とうとやきもきしたり、いきなり臨時の産婆になったり、ボサリの出生の秘密が明らかになったり、裏の展開の細かさに圧倒されてしまう。こういうのがビジョルドの持ち味なんだろう。

 そして、マイルズが障害を持つきっかけとなった毒ガステロも語られる。シリーズ読者であれば、そこに既刊とのちょっとした矛盾を見つけることになる。それ自体は非情に些細なことなのだが、シリーズ全体の深みがぐんと増すのは間違いなし。番外編的な作品かもしれないが、是非読んでもらいたい。

(ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/)

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紙の本天空の遺産

2001/09/26 22:15

敵国で陰謀に巻きこまれたマイルズが、美女を守るため、探偵として活躍

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 敵国セタガンダ帝国皇太后の葬儀のため、従兄のイワンと共に母惑星エータ・セタを訪れたマイルズ。惑星バラヤーの貴族・ヴォルとしての単なる外交訪問だったはずなのに、惑星に到着した途端、謎の老人の襲撃に遭う。マイルズは侵入者が残した奇妙な棒を手掛かりに、上司には内緒で、闖入者の正体を突き止めることを決意する。しかし、その裏ではセタガンダ帝国を揺るがす巨大な陰謀が渦巻いていたのだ。バラヤーの名誉と、自らの身分の安全と、ホート貴族の超美女を守るため、マイルズは探偵役を買って出るが……。
 マイルズ主役の長篇としては、5年ぶりの新刊。作品内時系列では『戦士志願』『ヴォル・ゲーム』の2年後にあたる。宇宙はなし、傭兵隊もなし、軍もなし、アクションは控えめの謀略サスペンス風探偵小説である。
 今回は、かつてバラヤーと20年にわたる戦争を経験したセタガンダ帝国の、謎に満ちた社会や文化が明かされる。特にセタガンダの発達した遺伝子工学が、既に「文化」である様が面白い。より優れた子孫を残すことは勿論、無性の従僕を作り上げたり、芸術の手段としても普通に活用されている。社会的にも科学的にも後進的で、昔ながらの偏見や道徳観を根強く残すバラヤーとは対照的だ。
 そのバラヤー人でありながら、自由なベータ人でもある文化の混血児マイルズの目を通して、社会固有の道徳観の対立を描く時、ビジョルドの筆致は特に冴え渡る。時には辛辣な皮肉も交えながらも、常にユーモアと好奇心に満ちていて、既存の価値観にとらわれないマイルズの案内だからこそ、読者もありのままのセタガンダを楽しめるのだ。
 さらに、今回は社交界が舞台とだけあって、美男子イワンがその大モテぶりを遺憾なく発揮。その脇で事件解決のために奔走するマイルズとの漫才も健在だ。振りまわされる上司も、相変わらずお気の毒。
 久々の期待を裏切らない1冊。この続きも早く読めますように……。


(bk1ブックナビゲーター:ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/ 2001.09.26)

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紙の本無限の境界

2000/12/13 01:41

《マイルズ・ヴォルコシガン》シリーズ中篇集

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 《マイルズ・ヴォルコシガン》シリーズの中篇集。マイルズの強さと優しさが、良くも悪くも前面に出た作品群。

 マイルズが国守代理として行なった初めての裁きは、奇形殺しだった。後進的な惑星バラヤーでも違法にも拘わらず、未だに先天的障害児の間引きが公然と行なわれているのだ。自らも身体的な障害を抱えるマイルズが、それに挑む「喪の山」の他、悪徳商館から遺伝子操作された囚われ人を救出する「迷宮」、身一つで送り込まれた収容所から、一万人の捕虜と共に大脱走する「無限の境界」の3篇を収録。

 マイルズの内に秘めた怒りが見え隠れする。マイルズは、自らも障害や葛藤を抱えているために、似たような境遇にある人物に会うと、抱え込んでしまおうとする。この性格は基本的には良い物なんだろうが、時として自分の容量を超えた物を抱き込み、自分の立場さえ危うくすることもありうるのだ。それでもマイルズは抱えようとする。その姿が痛々しい。

 これはやはり惑星バラヤーのヴォル(貴族)であること、“犠牲と奉仕の精神”がその身に染みついているからなのだろうか。まあ、大きな物を抱えるたびにマイルズ自身も大きくなっていくんだけどね。『親愛なるクローン』の前日談。

(ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/)

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紙の本親愛なるクローン

2000/12/13 01:29

苦悩するマイルズの姿が切ない

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 宇宙傭兵団デンダリィ隊の謎の提督マイルズ・ネイスミス。その素顔は惑星バラヤー帝国軍中尉マイルズ・ヴォルコシガンなのだが、その二重生活が地球のマスコミによってばらされそうになってしまった。とっさに「ネイスミスは私のクローンだ!」と嘘をついたマイルズだったが、本当に自分そっくりの偽者が現われて大慌て。一体地球でどんな陰謀が蠢いているのか。

 今回のマイルズは、それこそコントのようにデンダリィ隊とバラヤー帝国軍の制服を着替えながら一人二役を演じ続ける。だが、片や中尉、片や提督。どちらの方がより自由で、より大胆で、より“マイルズらしい”のか……というと、当然デンダリィ隊のマイルズ・ネイスミスなのだ。でも、それはマイルズにとっては所詮架空の仮の嘘の自分でしかない。時間と人々の関係によって造られた“自分”の姿に苦悩し、ふと、家族や過去を持たないクローンを羨ましく思ったりする姿が切ない。


「どうしてバラヤーのいいなりになっているの?」
「それがぼくにくばられた手札だから」
「誰がくばったの? わたし、いやだわ」
「いいんだよ。たまたまぼくにとっては、そのくばられた手札で勝つことが重要なだけだ。だからそれでいいんだ」


(ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/)

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紙の本名誉のかけら

2000/12/13 01:23

マイルズシリーズを読んだ後に番外編として

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 マイルズの両親アラール・ヴォルコシガンとコーデリア・ネイスミスが出会う物語。風変わりなラブストーリーである。

 学術調査のため訪れた惑星で突然バラヤー軍の襲撃に遭ったコーデリア。一命を取り留め、部下に反乱を起こされたバラヤーの軍人アラールと共に、奪われた宇宙艦を取り返すことになる。長いハイキングを共にするうちに淡い恋心が芽生えたのだが、ほどなく互いの惑星に別れる二人。しかし二人は敵国の軍人同士として、再会する。

 物語の中心はバラヤー帝国の陰謀に満ちたヴォル(貴族)の世界。老皇帝に見込まれ、ヨゴレ仕事を押し付けられたアラール・ヴォルコシガンを、コーデリアの異文化の目から奇異に書き起こす。

 一応ロマンス色が強いのだが、コーデリアが30代、アラールも40代という取り合わせで、お互い過去に恋愛で痛い経験をしているせいか、なかなかそちらでは盛り上がらず、色っぽさには欠ける。のだが、マイルズ・ヴォルコシガンの両親だけあって、破天荒な割に実直で、一本気なのはそのまま。対してヴォルのお家騒動の陰険なことといったら……。後のマイルズの世代にも色濃く影を落とす出来事が語られるのだが。

 本国ではこれがビジョルドのデビュー作らしいが、マイルズシリーズを読んだ後に番外編として読む方が楽しめる。

(ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/)

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紙の本ヴォル・ゲーム

2000/12/13 01:51

皇帝とマイルズが宇宙で大冒険

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 20歳になったマイルズ・ヴォルコシガン。士官学校を出た最初の任地で早速しくじり、今は特殊な外見を利用して、機密保安庁でスパイの任に就いていた。そこでも上司とはぐれてしまい、そこで出会ったのが、なぜか奴隷として囚われている若きバラヤー皇帝グレゴール・ヴォルバーラ25歳。彼もまた、悩める青年だったのだ。

 5歳で帝位につき、20歳で実権を握ったグレゴール。でも、結局自分は首相や大臣達の操り人形なのではないか……? と思い悩んで、家出を決意。挙げ句に奴隷。気持ちはよくよく分かるけど、それはものすごく傍迷惑。皇帝にもしものことがあったら、国内の問題は勿論、外交問題や戦争にすらなりかねない! というわけで、マイルズはなんとか皇帝を無事バラヤーに帰そうと奔走するのだが、行く先々であらわれるサド女とサド男に行く手を阻まれてしまう。

 というわけで、マイルズ・ネイスミス提督が再登場。他人の手に渡っていたデンダリィ傭兵隊を取り戻し(もともと嘘で乗っ取ったものだけど)、本国では一介の少尉であるにも拘わらず、艦隊を指揮して大活躍する。

 たまたま皇帝に生まれついたばかりに、あらかじめ決められた将来と、いらない労苦を背負い、自由に恋愛もできない可哀相なグレゴールが、マイルズと共に本物の危険を自らの機転でくぐりぬけ、自信をとりもどすまでのお話。ビジョルドの優しさが感じられる傑作。

(ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/)

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紙の本自由軌道

2000/12/13 01:21

清く正しいジュブナイルSF

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 自由落下状態の理想的な労働者として人工的に産み出された、下肢の代わりにもう2本の腕を持つクァディの子供たち。ところが、採算が合わないとされた彼等は、所有する企業によって抹殺されることになる。技術担当教官として衛星に派遣されたレオは、クァディを守るために立ち上がる。

 4本の腕を持つクァディの少年少女たち、その造形が素晴らしい。想像するととんでもなくグロテスクなのだが、物語の中で彼等が無重力状態の衛星を文字どおり飛び回る姿は本当に生き生きしている。だが、それは人間の奴隷として、労働するために授けられた機能であり、企業にとってはただの道具にすぎない。閉ざされた空間で限られた人間を相手に育って来たこともあり、素直で疑うことを知らない無邪気な子供たちだが、最も悲惨なのは、その運命を悲惨だと気付かれることすらない境遇そのものだ。レオはそれに憤り、何とかクァディたちに生き延びる道を開こうとする。

 そこは生まれながらに技術者として訓練されて来た子供たち。様々な困難に、手持ちの技能を駆使して切り抜けることになる。しかも基本は、ひたすら溶接。宇宙空間で突貫工事を繰り広げるクァディ達の姿、是非少年少女達に読ませてみたい。清く正しいジュブナイルSF。

(ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/)

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