ino−vさんのレビュー一覧
投稿者:ino−v
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アマゾン・ドット・コム
2000/12/15 15:21
さすが、リーダーは違う
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ネット企業として抜群の知名度を誇るアマゾン・ドット・コム。創業者ジェフ・ベゾス氏の自伝も待ち遠しいところだが、起業に至るまでの助走段階から会社が次第に大きくなっていく過程がこの本で描かれており、多くの人にとても参考になる本である。
ベゾス氏は「ビジネスモデル」ありき、の経営者である。書籍ビジネスにもともと絡んでいたわけではない。ただし、ソフトウェアのプログラミングや部門を統括する経験を若くして積んでいる。起業に踏み出す直前にいた会社では市場調査の結果、インターネット事業を手がけるには書籍販売がよいと主張した。却下されることがなければアマゾン・ドット・コムが生まれなかったとのことだ。
書籍販売の可能性に魅惑された氏は、雇われの身から企業家になることを決意。入念な分析の末にシアトルに会社を設立、優秀な人材を確保するために走り回った。設立当初はお金をかけずに会社を運営しようとしたことがうかがえる。
そして何よりも注目に値するのは「不測の事態に備える」という発想がうかがえるところである。ここらあたりが日本の並の企業との違いではないだろうか。
時代もまさにアマゾン・ドット・コムを後押し。オープンソース・ソフトウェアでプログラムを書いていったことも後にシステムを拡張するのに役立っている。
「品ぞろえ、利便性、価格」にこだわる。軽くてシンプルなデザインを頑なに守り続ける。書評を充実させる。基本は顧客重視のサービス。同社の考え方にあらゆる企業は学べるはずだ。個人的な体験では注文した書籍が届かないということがあったが、連絡したらすぐに速達便を送ってきた。既存客を大事にする企業であることを実証する例だと思う。
著者の書き方にはアマゾン・ドット・コムへの思い入れがあるようだ。だが、偏った見方をしていないというのが私の印象である。ベンチャー・キャピタルとの駆け引き、不始末に対する苦情とそれへの対策、一時つけた高株価への各方面からの見方など幅広く取り上げられている。
欠点としては、「利益を計上していない企業」という日本の読者も自然に抱く疑問が解消されないことがまずあげられる。また電子出版に対する取り組みが見られないことも残念である。
とはいえ、事業をこれから立ち上げようという人間や、顧客に喜ばれるサービスをするのに何が必要かを知りたい者にとってはよいケーススタディだと思う。また、消費者の立場から見ても評判のサイトを「作りこむ」難しさが垣間見えて楽しい。自費出版とアマゾン・ドット・コムが結びつくというような思わぬ発見もできる。この本が多くの人に抵抗なく理解されるようになれば日米逆転の希望も見えてこようというものだ。
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