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保森千枝さんのレビュー一覧

投稿者:保森千枝

12 件中 1 件~ 12 件を表示

今年のバレンタインデーは手作り料理で彼の心をゲット!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 もうすぐバレンタインデー!心わくわくする歳でもないけれども、愛する人への愛の告白だけじゃなくて、夫や友人、父親とか大切な人への日ごろの感謝を伝えるには良いきっかけとなるとっても便利なアニバーサリーですよね。

 私が初めてバレンタインデーに好きな人へ告白したのは中学2年の時。ハート型のアーモンドチョコ。勇気を振り絞った健気な告白は、無残に玉砕!小さな胸はズタズタに。やっぱりこのチョコレートは安っぽかったかなぁ…。ってそういう問題じゃないでしょう。その後はチョコレート&手編みのマフラー(今考えるとすっごくセンス悪い)、メルヘンチックなアップリケのついた座布団(徹夜して作ったのに、恥ずかしくって使えないって言われちゃいました)、手編みのセーター(サイズが小さくって頭が入らなくて、一度も着てもらえなかった。というより着れなかった)などなど、失敗も数々。
 だけれども、少し成長して、そうだっ!彼の心を掴むには、やっぱ食べ物でしょうとハタと思い、早朝から母に手伝ってもらって、なんといきなり3段重のお弁当。彼の車で郊外へドライブ。見晴らしの良い場所の東屋でジャジャ〜ンと広げたお弁当(ほとんど母作)に感動の嵐。陥落!愛する人、大切な人の「うまい!」の一言が聞きたくて、私の料理への探求が始まったのは、バレンタインデーがきっかけでした。

 手作りの手料理は心もこもっているし、何より食べたら消えてしまうところが良いんですよね。手作りのセーターとかもいいけれど、後で処分するかどうか迷ったり、それで捨てられなくてとっておいたら後々トラブルになったりしてね。

 ということで、今回ご紹介する本書は愛する人たちの心をつかむ暖かなメニューが満載です。おふくろの味的なおそうざいや定番メニューなどのどれもがちょっとしたアレンジを加えたおしゃれな創作料理です。著者は若い頃、お金がない、でも美味しいものを食べたい。そんな時冷蔵庫にある限られた材料を駆使して料理を作るうち、様々なアイディア料理が生まれたということです。そして結婚してからは愛するご主人や友人達のために「うまい!」といわれる料理の研究に励んできたそうです。

 たとえば、ご主人の大好物のカレーは市販のルーを2種類混ぜて、コクの秘密はコンビーフ。そして欠かせないのがにんにくとしょうが。残り物のひじきの煮物や牛肉のしぐれ煮を入れた和風コロッケやポテトサラダをそのまま丸めて作った簡単コロッケ。残ったおかずはとりあえずなんでも春巻きの皮で包んで冷凍しておいて、いつでもお酒のおつまみに。あまった筑前煮を細かく切って酢飯に混ぜたおまけの一品はパーティーでも喜ばれそう。どれも簡単ながら当たり前でないレシピです。

 「おかずまわし」や「豪華に見せる盛付」のテクニックもとても参考になります。冷蔵庫にあるものだけで考えるのって、思いがけず面白いお料理ができたりして楽しいですよね。本書は著者のご主人の好物ばかりというだけあって、愛情いっぱいのレシピ。喜んでくれる人がいるから、お料理って楽しい。おかずの使いまわしといっても、普段のおかずとは一味も二味も違います。お祝いに、おもてなしになど特別な日のための、心温まる「くどき」の料理です。

 恋人同士、夫婦、家族でけんかしてしまって気まずくなった時でも、美味しそうな料理を前にすればなんとなく仲直りしてしまう、そんなことありませんか?時に、料理って不思議な力を発揮することがありますよね。彼の喜ぶ顔が見たいから、普段と違うアニバーサリーメニューを作ってみませんか?彼の「うまい」の一言があなたをお料理名人にしてくれるはず。

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紙の本村上信夫の西洋料理

2001/02/15 11:54

7000種類の料理をマスター!!ウソみたいだけど本当の話

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 著者は帝国ホテルの料理顧問。14歳で料理の世界に入り、パリのホテルリッツなどでの研修を積み、勲四等、黄綬褒章、フランスインターナショナル・ドゥ・ガストロノミーなど数々の賞を受賞しています。本書は著者が20数年前、家庭の主婦向けに西洋料理の極意を紹介したものを新しく改訂したものです。

西洋料理が日本に初めて登場したのが16世紀中頃で、長崎のオランダ屋敷からもたらされたとか。当時は限られた人だけが口にしていた高級な西洋料理も今では当たり前のように一般家庭の食卓にのぼるようになりました。ハンバーグ、クリームシチュー、オムレツ、ロールキャベツ、グラタンなどそれぞれの家庭の味がありますよね。でも、家庭で作る西洋料理の種類も定番と言うか種類に限りがあります。レストランに出るような本格的な西洋料理を作るとなれば、手間のかかるブイヨンやら手の込んだソースなど、ちょっと面倒。でも、実はそれが簡単に出来るとしたら?基本をマスターすれば7000種類もの料理が出来るんだとしたら? そんなばかなと思われるかもしれませんが、基本の料理の材料が変われば、入るお酒が変われば、かけるソースが変わればという具合に1つの基本を
しっかり抑えておけばあとは応用とセンス次第で何種類もの料理が出来ると言うわけなのです。体系づけて料理を組み立てていくことでレパートリーを増やす。合理的です。たとえば、基本のソースのホワイトソース、トマトソース、ブラウンソースの3つ。これをベースになんと700種類ものソースができるとか。たった3つでいいの?なんか楽勝って感じ。本書は基本を知ることで料理の幅を広げる「プロの極意」を教えてくれます。

本書は、料理を始める前に知っておくべきこととして次のことを挙げています。
「調理法の基本」…「炒める、蒸し煮、煮込み、茹で煮、揚げ物、蒸し焼き、ロースト、網焼き、グラタン」の9通りとそのコツ。
「材料にあった調理法」…肉ならその部位によって一番おいしくなる調理法を選ぶ。
「調理道具」…どんな西洋料理でもおまかせの揃えておくべき道具の紹介。
「酒」…必要なのは白ワイン、赤ワイン、シェリー酒、ブランデーの4本。その使い方と調理法5通り。
「香辛料の正しい使い方」…最低揃えておくべき香辛料5つ。

次に実践編では「肉料理の秘法」「魚料理の秘法」「野菜料理の秘法」「卵料理の秘法」「スープの秘法」「ソースの秘法」「サラダの秘法」「デザートの秘法」と食材別に項目を分けて具体的にレシピを紹介しています。その他に食材の鮮度の見分け方、旬の時期、部位によっての調理法と注意点なども詳しく解説。各項目の「プロのとっておきの料理のコツ」ではプロならではの、う〜んなるほどと思わせるテクニックが学べて、ものすごく得した気分です。これを知っているのと知らないのとでは料理の出来が断然違ってくるはず。注意点・テクニックといっても決して難しいことではなくて、説明を聞けばなるほどと思わせる必然性があって納得です。やっぱり料理は化学。ひとつひとつの作業にそうすべき理由があるんですね。そのほか、その料理が生まれたエピソードやついた名前の由来などの話は歴史や文化が垣間見えてとても面白いです。

とにかく、本書を始めから終わりまで読んでみてください。西洋料理の全体像がつかめます。そして、何も難しいことはないと必ず自信が湧くはずです。

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紙の本粗食のすすめ 秋のレシピ

2000/11/17 12:17

9月13日今日のおすすめ書評<後編>

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 シリーズ最新の『粗食のすすめ 秋のレシピ』では、お米をはじめ、さつまいもやじゃがいも、豆類、種実類が、秋という収穫のときを迎え、豊かな姿をみせています。さらに、さんまやさば、いわしなどの魚も脂がのって一段とおいしくなる季節。旬の恵みを上手に使ったシンプルなレシピが満載されています。これで春・夏・秋・冬と、日本の四季の粗食シリーズが揃ったことになります。

 日本は北から南へ寒冷地、温暖地、熱帯地それぞれの産物が、四季折々にそろっている恵まれた自然条件にあります。飽食の時代にあって貴重な「旬を知る」ということをいつの間にか忘れてしまって、知らず知らずのうちに食品添加物や化学調味料にまみれた食事にどっぷりと浸かってしまいました。「粗食」の「粗」とは「荒れ果てた」「細かでない」の他に「人工を加えぬ」という意味があります。本書がすすめる「粗食」とは「粗末な食事」ではなく、春夏秋冬の旬に目配り、安全で上質な食材を使い、その持ち味を損ねないよう丁寧に料理をし、時間をかけてゆったりとした気持ちでいただくということで、それが本当の意味での「ゆたかな食生活」とうことなのでしょう。

 最近ダイエットが原因で「過食や拒食」に陥ってしまったり、ファーストフードやインスタント食品ばかり食べている最近の若者は栄養バランスが偏っているため「切れやすい」「集中力がない」など深刻な社会問題になっています。「でたらめな食生活」が心と身体のアンバランスをひきおこしているのは否定できません。前著の「粗食のすすめ」と本書は心身を健やかな状態に保つための正しく健全な「食事」とはどういうものなのか、それをていねいに料理する心が食生活をどれほど豊かにしてくれるものなのかを真面目に考えるきっかけを与えてくれました。

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レストランキノシタでしか味わえない幻のレシピ集

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 本書はいま最も予約のとれにくいと言われる、フレンチレストラン「レストランキノシタ」のレシピ70品を紹介。長年、自分スタイルのフレンチを目指してきた著者が試行錯誤を重ねて生み出した料理は、余計な素材やスパイスを使わず、大胆でありながら洗練されいる。素材そのものの風味を最大限に生かしたいという姿勢が見て取れる。素材のコンビネーションと香りの使い方に繊細さが際立ち、時にアクセントとして少量使うエスニック系調味料も新鮮な感覚で創意に溢れていながら、決してフレンチの枠を越えていない。それでいて、日常的に食べたいと思わせる仕上がりとなっているのはさすが。

 美味しければジャンルを問わず、キノシタ流フレンチにアレンジしてしまう、奔放な想像力が最大の魅力だ。フレンチ風寿司飯に燻製アジをのせたものは寿司から、甘めのソースをまとったフォアグラをリゾットにのせたものは丼から思いついたと言う。

 前菜やスープは季節が感じられ、いかにも爽やかだ。次の皿への期待感が高まってくる。魚料理や肉料理は、ソースと素材と付け合せで独特な味わいを創り上げるクラッシックなものから、手をほとんど加えていない軽いソースで素材そのものの旨味を味わえるヌーベルなものまで、実に幅広い。デザートは表情が美しく、重すぎず、心地よい余韻とともにコースを締めてくれそうだ。

 フレンチといえば手間のかかるソース…この時点で腰が引けてしまいそうだ。本書ではフレンチでは欠かせない基本のブイヨン、フォン、コンソメなども当然使われているが、それよりもはるかに多くの料理に使われているソース類は、短時間で作れる簡単なものが多い。初心者にはハードルが高そうだが、手間のかかるソースなどは市販のもので代用する(全く同じ味にはならないにしても)などして、家庭で気軽にフレンチを楽しんでみたい。西洋料理の基礎知識がある方は、著者のセンスと料理の足し算引き算まで是非学びたいところだ。(保森千枝/料理研究家)

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紙の本エスプリ・ド・ビゴの12ヵ月

2002/03/13 18:15

ケーキのようでケーキじゃない…

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 菓子パンといえばすぐに思い浮かぶのは、デニッシュ、アンパン、メロンパン…。でも、本書で主役をつとめるパンはそんなんじゃないんです。

 四季折々の色鮮やかな果物や木の実で美しくデコレーションされたケーキ。見ているだけで幸せな気持ちになりますよね。ケーキのバイキングなんていくつでも食べられちゃう。でも、パン屋さんで季節を感じることってあまりないですよね。だけれど、それがあるんです。あたかもケーキと見まごうばかりの世にも美しく甘いパンが。
 フランスパンの神様と言われるムッシュ・ビゴが芦屋で開いた「ビゴの店」の銀座店の藤森二郎シェフは長年にわたり、パンにも季節のカラフルなフルーツなどを使い、彩りと華やかさを取り入れたいと試行錯誤を重ね、ついに見事なコラボレーションを実現。本書では月ごとに季節感溢れるレシピが満載。もうどれもこれも片っ端から頬ばりたくなるほど。パンとは思えない、でもケーキでもない、必見・必作・必食の傑作揃いです。

 ケーキからヒントを得てデニッシュ生地、パイ生地、ブリオッシュ生地などをベースに使っているものの、決定的に違うところが、生地作りにはイーストを使ったれっきとしたパンであること。今まで味わったことのない新感覚・新食感のパンです。バレンタインデーやクリスマスなど各種パーティーに集まる人々の今日のお目当ての一品になること確実です。

 本書ではレシピとは別ページにパン作りの全体の流れ、専門用語、基本材料、道具など、一通りの解説があります。でも、パン生地作りはその日の天候によっても微妙に左右される化学の世界。生地を仕込む手の感覚は作って実感するしかありません。そういう意味では本書は超初心者の方には少しハードルが高いかもしれません。失敗を恐れずに何度も挑戦してみて下さい。

 それぞれのパンが生まれるまでのエピソードやフランスの食文化などについてのエッセイも楽しめます。(保森千枝/料理研究家)

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裸の天才シェフ!!ジェイミー・オリヴァーの奇想天外な料理とは?

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 「全世界800万部ベストセラー」「弱冠25歳の天才カリスマシェフ」「BBCに出演中の料理番組20%以上高視聴率」と表紙の帯に踊る文字。まして、すごい美青年ともなれば買ってみたくなるのが女心。とは言え、食に関してはあまり良い評判を聞かれないイギリス人のシェフ、本当に美味しいのかどうか半信半疑。実はそんな不安を払拭したのがTV東京でOA中の「裸のシェフ」(BBCの日本語版、月曜日25:45〜)。その動きには無駄がなくシャープ。次々と料理を仕上げていく姿を目の当たりにして、数々の賛辞に確信がもてました。素材の組合せや盛りつけは繊細でモダン、ときに大胆で奇抜と躍動感に溢れています。
 本書中、「楽しく作って・楽しく食べる」ことがもたらす人生の潤いや料理への情熱を、まるで友人か恋人にでも語りかけているようなエッセイはウイットとユーモアに富んでいて、その無邪気さも著者の魅力。語り口調で解説するレシピはりアルで、作ることの楽しさがストレートに伝わってきます。
 本書では、パスタ、リゾット、デザート、カクテルの作り方を紹介。手打ちパスタにまだ挑戦していない方でも、やってみようと思わせるほどの気楽さ。レモングラスやしょうが風味の詰め物入り生パスタは油で揚げた餃子風、茹でてライムジュースやコリアンダーのたれにつける水餃子風とエスニック系にアレンジ。イタリア風クルトンをパスタに、クリーミーなリゾットには炒ったアーモンドとパン粉をトッピングして舌ざわりと食感に楽しい変化を。デザートは簡単ながらも、著者ならではのこだわりと工夫で個性的に。カクテルは家庭で作れる手間要らずのおしゃれなメニュー。
 複雑なテクニックはいっさいなしのスピーディー・イージー・ナイスな料理は奇想天外。レシピ通り忠実に作ることに捕らわれず、インスピレーションで様々な食材や調味料を組み合わせる、その自由なスピリットこそを学びたい。(保森千枝/料理研究家)

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待望の第2弾!バッチリ目覚める朝食とは?

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 「ネイキッド・シェフ」(BBC放送の人気料理番組、テレビ東京で月曜25時45分から放映中)でも活躍中のイギリス人天才シェフ、ジェイミー・オリヴァーの待望の第2弾。イギリスでは、道ですれ違う人に「やぁ、ネイキッド!」なんて呼ばれるほどの人気ぶり。もちろん本当にネイキッド(裸)でお料理を作っているわけではありません。レストランのシェフがキリリと白衣を身に着けて作るような難しい料理ではなくて、家庭のキッチンで気軽に楽しく作ろうよ、そんな意味が込められているんですね。
 第1弾の「パスタ&デザート」でその個性的な料理に魅了された方も多いと思いますが、今回のテーマは朝食。朝忙しい時間にフライパン1枚であっという間に目覚める豪華なブレックファーストを紹介。ネイキッド・シェフの本領発揮です。幅広い材料と世界の調味料との不思議な出会いが生み出す料理は多国籍料理。枠にはまらない自由な発想に遊び心がいっぱいです。
 ブレア首相がイタリア首相を招いた昼食会のシェフを担当したというから、その腕前は折り紙付き。そんな著者の朝食とは…。
 彩りの美しいサラダには醤油、魚醤、オイスターソース、コリアンダー、ライムなどを使った変化に富んだドレッシング。チーズも加えてもうウサギの餌なんて言わせない。好みのフルーツに生クリームと氷を入れてミキシングしたスムージーは色鮮やか。寝ぼけた頭と胃を目覚めさせてくれます。複雑な専門用語やテクニックはなし。料理初心者でも絶対においしくできる、スピーディー・イージー・ナイスなブレックファーストです。でも、そこに著者ならではのちょっとしたエッセンスで他にはないとびきり元気印の朝食が味わえます。試してみませんか? 朝が楽しみになること間違いなしです。週末のブランチや軽い夜食にも向くお料理です。
 4月には「ジェイミー・オリヴァーのパーティー・ディナー」が出版予定です。乞うご期待!!(保森千枝/料理研究家)

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マンマの味は三ツ星。

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 「日本におけるイタリア2001年」記念出版である。「マンマの味は世界一!」と題した現地取材記事と、お馴染みダニエラ・オージックが作る「南イタリアのトマト家庭料理 レシピBEST60」が読みどころだ。食材メーカーのカゴメがシングル・スポンサードしているようで、後半にある、基本トマトソース、パスタ、ビネガーなどの食材紹介コーナーはあくまでカゴメの商品が中心。この部分はちょっと宣伝臭いけど、情報として参考になるし、それ以外の記事とは連動していないのでさほど気にはならない。

 本書でダニエラ・オージックはホールトマト缶、カットトマト缶、粗漉しトマト缶、プチトマト缶や、フレッシュのプチトマト、ラウンドトマト、プラムトマト、完熟トマト、硬めのトマトなど様々なタイプのトマトを組み合わせ、巧みに使い分けている。前菜、パスタ料理、肉・魚料理、デザートのフルコースを60品。その多くは今や日本のレストランやイタリア料理本でも知られるポピュラーなものだが、それぞれに料理人のアイデアをプラスしたオリジナルな料理に仕上がっていてる。「なすのいわしサンドフライ−ぺペロンチーのソース」「トマトのフリット」「ロール状に巻いたピッツァ」などは目新しく新鮮だ。

 色鮮やかなトマトの赤、赤、赤のオンパレードが圧巻だ。南イタリアの陽光が伝わってくるような料理の数々は家庭料理ならではのシンプルさと暖かみに溢れている。見ているだけでお腹が鳴る。
 トマトだけに焦点を当てたところがこの本の最大の魅力だ。今更ながらその料理の幅広さに驚かされるが、せっかく色々なタイプのトマトを使い分けているのだから、各々のレシピに異なるタイプのトマトを使う必然性とかについて、料理人自身の解説が是非欲しいところだ。

 巻頭ではナポリ在住の5人のマンマ達(いずれも自他共に認める料理上手)とそのファミリーが集う賑やかな食卓風景を紹介。彼女達が家に代々伝わる南の料理に自慢の腕を振るう。ナポリ独特の“ズイ−ティ”という直径4〜5mmの穴あきの太いロングパスタは力を込めて半分に割る。2種類のチーズとトマトソースを混ぜたソースと茹であがったズイ−ティを和えて大きなキャセロールごと食卓にど〜んと出される。なんとも豪快で見るからに食べ応えがありそうだ。
 ピゼッリ(エンドウ豆)の甘味と白ワインの香りが溶け合うシンプルな煮込みは素材の味を堪能できる素朴で庶民的な料理だ。日本でもお馴染み「スパゲッティ・アッレ・ボンゴレ」はアサリではなくナポリ特産のテッリーニという小ぶりの貝を使う。アサリより良い出汁が出るそうだ。ナポリでしか味わえない味だ。ラードとカチョカヴァーロチーズと黒胡椒だけで味付けしたパスタは1600年代にナポリの露店で、手づかみで食べられていたというスパゲッティの原型。その味は絶えることなく今でも伝えられている。
 「人生の幸せは食にあり、食卓につく時こそが最高に幸せな瞬間」と言い切るファミリーのこぼれんばかりの笑顔が食べることへの満足感をストレートに物語っている。うちのマンマの料理がいかにおいしいか熱く語る家族達。賑やかな団欒の中心はマンマの家庭料理なのだ。口をそろえて「美味しさの鍵は愛よ」と語るマンマ達の嬉しそうな顔に貧しかった時代を経て今に至るイタリアの食文化の重みと変遷を感じる。昔ながらの伝統を守りつつも自分なりの工夫を凝らした我が家だけの“マンマの味”はレストランでは味わえない“三ツ星”なのだ。トマト先進地のナポリ人には頭が下がる。日本でも最近色々な種類のフレッシュトマトが出まわっている。それぞれ味や触感に個性があるので、料理によって使い分け変化を楽しみたいところだ。

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簡単!だけどボリューム満点!だけどヘルシー!後編

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著者が最も気を配っているのが、素材と調味料の吟味です。旬の食材の旨みを引き出すためには調味料ひとつにもこだわりがあります。お醤油は合成保存剤や人口甘味料を使用していない本醸造、みりんは飛騨産のもち米を原料に米麹と米焼酎で仕込んだ3年もの、酢や油もしかり。甘味に関してはほとんど砂糖を使わず、良質のみりんだけを使い、甘味を足すときは、はちみつか黒砂糖を少量補うだけです。素材の素直な旨みを味わうためには調味料もおろそかにはできません。著者の提案する「一飯一汁一菜」が決して精進料理のような“枯れた”ものではないということが、おわかりいただけたでしょうか。

 一方、マヨネーズやソース、ケチャップ山盛りで素材の味がどこにあるのかわからないようなファストフード感覚のごまかしの食事とは、素材の旬や素の味わいを忘れさせてしまう、実はとっても貧しい感覚の食生活だということを実感できると思います。でも、たまーに食べたくなりますし、時にはそういう息抜きも必要ですよね。

 著者が文中に語っている「料理の端々に自然な旨みやコクを味わう」の「端々」という言葉に全てが集約されている気がします。「粗食・健康食ブーム」で沢山の料理本が出ていて、創意工夫に富んだレシピを紹介しています。そのなかでも、本書は和だけでなく西洋、アジアのテイストも盛り込んだ飽きのこない献立になっているという点でもおすすめの一冊です。

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たかがサラダ、サレドさらだ

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 「ドレミの7音階の組合せに編曲を加えると一曲として同じ曲はないように、ドレミがサラダの材料でドレッシングが編曲とすれば、天文学的な数値のサラダができるはず」と語るのは、写真家で画家で文筆家の著者。食通で料理人としての評価も高く、『悦楽的男の食卓』『イタリア半島「食」の彷徨』『私が食べた朝食365日』など著書多数。
 
 本書は、著者が撮影・旅行した先々で味わった世界中の料理の中から美味しい「サラダ」だけを集め再現したレシピを、その出合いのエピソードと著者が撮影した美しい写真と共に紹介しています。

「うさぎじゃあるまいし、生野菜をバリバリかじるなんて」…なんておっしゃらずに。お酒に合うおつまみサラダ、メインディシュにもなるおかずサラダ、野菜中心でさっぱりしたサラダ、オリジナルの治風サラダと、「世界にはこんなにたくさんのサラダがあるの?」と驚くほどバラエティーに富んで個性的なレシピの数々です。野菜、魚介類、肉、チーズ、果物、パスタ、米など多種多彩な食材とドレッシングが奏でるハーモニーは、葉っぱばかりのサラダのイメージを変えてしまうでしょう。

 本書の素晴らしいのはレシピだけではありません。著者が撮影した料理の写真はその美しさに溜息が出てしまいます。瑞々しさと触感と香りまでもが写真を通して伝わってくるようです。盛り付けやテーブルセッティングには写真家で画家でもある著者の卓越した美的センスが光っています。そしてそれぞれの料理との出合いのシチュエーションやそれにまつわる楽しいエピソードなど、紀行文としても楽しめます。サラダは料理の中でも、もっとも即効性のあるもの。ルールを気にせず、その時々のインスピレーションで自由に作れば、自分だけの個性的なサラダが楽しめますよね。

 数年前、初めて著者の『悦楽的男の食卓』を手にした時、ダイナミックかつ繊細で野趣あふれる料理の数々に圧倒されました。そして、撮影・旅行で出会ったあるいはすれちがった世界中の人々との食を通じた様々な交流を綴った洒脱な文章。料理の素晴らしさもさることながら、他の料理本とは明らかに違うのが著者撮影の写真。柔らかな光と影、皿の周りにさりげなく配されたカトラリー、キャセロール,ワインのボトル、野菜や果実、ジビエや魚介などは、実は計算され尽くされていて、一枚の絵画を観るようでした。何より印象的だったのが「赤」。著者の写真の多くには、どこかに印象的な「赤色」があります。それは生肉の強烈な赤、野菜のはじけるような赤、ラグーソースの深みのある赤、ほの暗い灯りの暖かみのある赤、ナプキンやテーブルクロス、お皿の強烈な赤など、なぜだかドキドキするような赤色がエロティックでさえあります。「赤」は食欲だけでなく想像力をかきたてる不思議な色ということを、このとき初めて感じました。著者が食材や料理について語るときに、女性のからだに喩えることがよくあります。その描写も時としてエロティック。

 本書は食通で知られる著者が作るしっかりと美味しい料理本であり写真集であり食の紀行エッセイ集でもあります。魅惑的な「赤」の世界もお楽しみいただけると思います。

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おすすめコメント

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 イタリア料理の中に和の食材を巧みに利用していて、しかも和色に染まりすぎないところにセンスの良さを感じさせます。

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作るそばから食べちゃおう!

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 ナポリの方言で“フリイェンノ・マニャンノ”=“揚げながら、食べながら”という言い回しがあって、フライは揚げながら食べるのが一番おいしいよという意味だそうです(著者言)。そうそう…ほんとにその通り。子供の頃、料理をつまみ食いをすると「コレッ!お行儀の悪い」なんて叱られましたけれど、そんな母も何故だか天ぷらの時は違っていました。大好きなサツマイモの天ぷらを揚がるそばからつまましてくれるのです。「今夜は天ぷらよ」という時は、いつも台所の母のそばにぴったりとくっついていました。アツアツをフーフーしながら食べたのは忘れがたい思い出です。

 著者は「別にそれは天ぷらに限ったことじゃないんじゃない?」ということで、“フリイェンノ・マニャンノ”から“クォチェンノ・マニャンノ”=“作りながら、食べながら”という言葉を思いつきました。つまり、家庭だからこそ許される「つまみ食い」、できあがるそばからパクパク食べてしまえるほどに気軽なイタリア家庭料理を紹介しています。ご主人はナポリ出身のイタリア人。テレビや雑誌でもおなじみのパンツェッタ・ジローラモ氏。著者の作るイタリアンはご主人の実家で、義母に教わった「イタリアのおふくろの味」がベースです。そこに自分なりのアレンジを加えた料理やイタリア各地で味わった土地の料理なども紹介。

 どのレシピの説明もほとんどが5項目ほどでできるものばかり。つまり簡単!今や日本のスーパーで手軽に入手できる食材ばかりなので、手にとったら「あっ…これ作ろう」と思える気軽な料理というというのも嬉しいところ。メニュー自体に目新しさはないものの、ナポリのマンマの味の一端を知ることができます。

 そして、もうひとつの大きな楽しみがレシピのページに描かれた著者のイラストです。これがとってもユーモアに溢れていて、とにかく可愛らしいのです。今にもページから飛び出して踊りだしそうで、思わずふっと笑いがこみ上げてきます。お料理本なのにまるで絵本を読んでいるようで、何度もページをめくってしまいたくなります。なんでこんなに素敵な絵が描けるの?と著者のプロフィールを見て納得です。多摩美術大学日本画科卒業…なるほど〜。

 それぞれの料理には相性のいいワインも紹介。その他、ご主人とその家族やナポリで暮らしていた頃のエピソード、著者おすすめの便利な料理道具のはなし、イタリア食材のはなしなども楽しめます。殻つきのムール貝を食べる時、別の空の貝殻をカスタネットのように持って、つまむんですって。ご存知でしたか?こんな食べ方って、面白いですよね。なんだかイタリア通という感じ。お友達や恋人の前でさりげなく披露したら、結構感動されるかも。

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