mihoさんのレビュー一覧
投稿者:miho
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コンピュータは、むずかしすぎて使えない!
2000/12/15 15:54
プログラマの人へ
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コンピューターについて書いてあることは分かるのだけれど、コンピュータの何について書いてある本か、条件反射的に考えてしまった私がいたせいもある。
なぜなら、多少大きい書店のコンピュータ関連の本屋に行けばMicrosoftExcelだの、Wordだの、さらに自分がきいたこともないソフトやハードの仕様書らしい本が、それこそバージョン違いでずらずら並んでいるのが常だし、新しいソフトが出ればそれを使えるようになる為に本屋に行く、ごく当たり前のことだからだ。
私達は無意識のうちに、コンピューターが難しいことは当然だと思っているし、知らないことは恥ずかしいと思っているし、だからこそ知っていることはある意味ステータスになったりもする。狂犬を飼いならしたような快感を覚える瞬間だ。しかしそれは同時にコンピューター主体、コンピューターに支配されることを受け入れている。そして、出来ればそれを見て見ぬフリをしていたい。だって、いろいろ習得したことは、とても時間がかかって、苦労したのだから。こうして分かりにくいソフトやハードを受け入れ、また生み出していく一連のプロセスが、こんな一般人(例えば私のような)の身の上にも成り立っている。
しかし、この本はその表題が訴えている通り、「そんなことはおかしいんだ!」と主張している。誰もが知っているけれど、問題が大きすぎて目を背けてきた事実である。著者は、かの有名なVisualBasicの生みの親、アラン・クーパー。(それはそれでなんとも皮肉な話だけれど、それは善意で取っておく。訳者もそう言っていた。)
この問題の根の深さをあらわしているかのように、本編の前半部、約半分の膨大なページが、プログラマがつくる「分かりにくいソフト」についての痛烈な批判に費やされている。
「プログラマはやたら機能群を入れたがる。分かりにくくてしょうがない。ユーザーは、分かりやすくてシンプルなものを好む。それが操作デザインであり、今求められていることだ」これは耳が痛い。よかれと思って付ける機能は、多くが無駄だ断言されているからだ。
私はまだ最高で何千行のオーダーのプログラムしか書いたことがないけれど、私が日常に何万行ものプログラムを書く人間だったなら、発狂しそうな事実だ。それは見返りくらい期待してもよさそうなほど、本当に大変な作業だと思うからだ。しかし悲しいかな、現実はシビアである。
しかし後半では今求められているもの、「操作デザイン」の方法論と具体例について詳細に書かれてある。前半で頭を真白にされた「プログラムに取り付かれた人間」にも優しくて、その労力が独りよがりにならない為のHow toである。ここを読むと著者の経験の豊富さと、なにより視点の大きさに本当に驚かされ、だからこそ納得せざるを得ない。
最後に私の母のエピソードと共に。彼女は50の手習いでExcelを会社で使っている。分からないことがあるとしょっちゅう電話をかけてくるが、電話で解決することはほとんどない。私が説明しても、「端から2番目のボタンを押して、とかいう風に言ってくれないと分からないじゃない!」と叱られてしまう。このことは、相当な時間を使ってソフトの使い方を覚えていかなければならない事実を物語っていると思う。そういう意味で私は早い段階でこの本に出会えてよかったと思っている。母のような人にも優しくあるべきなのだということを、肝に命じておく為に。そして是非、プログラマにこの本を読んで欲しいと思う。
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