いばこさんのレビュー一覧
投稿者:いばこ
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高村光太郎詩集 改版
2004/04/27 21:55
ゼームス坂に行ったので読んでみました。
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大田区にあるゼームス坂というところに、取材に行った。
その坂は、もともと急な坂で、そこを行き来する農民が大変そうだったのをゼームスさんが見て私財を投げ打ってなだらかな坂にしたということから名付けられたそう。だが、その坂を有名にしているのはそんな小話ではなく、高村光太郎の「智恵子抄」で智恵子がレモンをガリリと噛んだ病院がある場所だからである。
というわけで、読んでみた。
小学校か、中学校以来である。当時読んだ時は、レモンと言えばワックスのよくかかったサンキストで、みょうにテカテカして、べたべたして、とても皮のうえから齧るような物でなく、ニガソウとか、病人がそんなんしたらあかんわ、とかそんなふざけたというか、率直な思いしか浮かばなかったのだが、今読み返してみると、その美しさとか、飾らなさとかをひとことひと言に感じる。
「智恵子抄」のなかに、「あなたはだんだんきれいになる」というのがある。
「をんなが附属品をだんだん棄てると どうしてこんなにきれいになるのか
…見えも外聞もてんで歯のたたない 中身ばかりの清冽な生きものが 生きて動いてさつさつと意欲する 」
光太郎の智恵子へのふかぁい愛情がひしひしばしばし伝わってくる。
智恵子が精神をわずらって、死へ向かう途中の頃だろう。智恵子は、切り絵の才能が開花して、つぎつぎと切り絵の創作に励んでいたという。さつさつと意欲するという躍動さと、附属品を脱ぎ捨てて子どものような清冽さ。死へ向かうなか、智恵子の病気からくる衝突があってもなお、智恵子を思う光太郎の目線が暖かくて、暖かくて…。
「時々内心おどろくほど あなたはだんだんきれいになる。」
飲んだ次の日、夜更かしした次の朝、自分の顔を見て年を感じる今日この頃。そんなことじゃないんだと思いつつ、だんだんきれいになっていく、相手を内心驚かせるほどだんだんきれいになれないものかと思うのだが…。
兎にも角にも、相手探しが先。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ango/3261/
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