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オレンジマリーさんのレビュー一覧

投稿者:オレンジマリー

173 件中 1 件~ 15 件を表示

野菜の長所を生かして最高の健康体を。

22人中、22人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

私はアメリカで栄養学を学んでいるので、当然習う食材もアメリカで手に入るものばかりだし、注目されている食材もアメリカからの視点。ちょくちょく和食ならではの食材も登場してくるけれど、生で肉や魚を食べる事には抵抗を持つ教授も多々居る。豆腐や蕎麦はこっちの栄養学でも注目を集めているようだけれど、やはり大根やその他の日本ならではの野菜の効果を個人的に知りたいと思って本書を買ってみた。

まず、本書の活用の仕方が説明されているので、迷う事無く読むことができるのに対して好印象だった。そして、詳しい野菜の説明や調理法、保存法や栄養価、更には食べ合わせによってどんな効果があるのかが明記されているので素人目にも分かり易いと思う。青果物は旬に摂ってこそ本領を発揮するので、その時期が記されていることも良い点だと言えるでしょう。

例えば、大根だったら一種類の写真だけでなく、色んな地方の色んな大根の写真が載っているので、自分がどの大根を食べているのかもきちんと分かる。以前、レストランで『えびいも』という芋を見た事があったけれど、京野菜って事しか知らなかった。いったいどんな野菜なのかなって思っていたんだけれど、本書で紹介されていることには驚いた。例えば、どこかに旅行して料理を楽しむにしても、単に『えびいも』って認識するのではなく、後ででもいいと思うけれどその野菜をもっと知る事によって料理の深みが増すし、楽しさも増すと思う。

本書は『からだにおいしい野菜の便利帳』の続刊なので、最初の本も手にとってみようと思う。疲れを感じたら、疲労回復の効果のある食材を最大限に生かして、腸の働きを高めたいならそれに合った食材を探して身体を芯から労わるのも大事なことだと思う。自然の中で育った野菜を最大限に活用して、その恵みを健康へと繋げよう。

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紙の本グラスホッパー

2010/01/29 13:45

やがて一点に…

16人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 初めての伊坂幸太郎さんの書籍。兄から『ゴールデンスランバー』が面白い、と告げられて書店へ急いだけれども在庫が無く…目についたのが本書だった。だけどまさか、殺し屋の物語だとは思わず…読み始めてすぐに驚くこととなった。

 元教師の『鈴木』、首吊りをさせる『鯨』、ナイフを扱うのがプロである『蝉』、ただならない気配をかもし出す、人を押して殺す殺し屋の『押し屋』、それに毒を盛って人を殺めると言われている『スズメバチ』。それぞれが個性を持ち、特徴があって読みやすい。それに、物語は鈴木、鯨、蝉の三人の視点から主に描かれているが、きちんと分けられているので迷うことはない。私は単純な読者なので、そういうメリハリがないと混乱することがしばしばあるので有り難い点だったと言える。

 まず、物語の進行で頻繁に不意を突かれる。「あ、そうだったんだ」というちょっとした驚きの連続である。それがまた、小気味良かったりする。それに、上記の登場人物が各々、違った場所で動いている。うまく説明できる自信がないけれども、みんないかにも偶然が重なって一点に集まっていくような雰囲気が見事である。蝉の話に焦点をあてるならば、正に気まぐれ一つでそこまでたどり着いてしまったということ。蝉の気まぐれが事の発端になり、他のみんなもまたそれぞれの事情によって特定の場所に集まってくる。

 ただ、蝉が一家を殺害するシーンには嫌悪感があった。去年、人間生物学を受講していた私にはありありと、その様子がイメージできて厳しかった…。人が轢かれる瞬間の描写、実際に目の当たりにしているような感覚になるくらいだ。でも、それを覆す面白さが本書にはある。終盤では、電車の中で読んでいる時に手に汗握ったこともあった。

 どこのページだったかは、残念だけれども覚えていないが動物の中で自らを死へ追いやったりするのは、人間だけだという部分でひどく考えさせられた。他の動物は自ら死を選ぶことなどないし、むしろ本能的に生き抜こうとしている。弱肉強食の中で行きるしかない。感慨深い部分もあり、文句なしの一冊だと言える。

 伊坂幸太郎さんの本を手にした読書家さんたちは、口を揃えて「やめられなくなるよ」とか「かなり面白い」といった事を言う。自分も実際に触れてみて、確かにそうだなと得心がいった。そしてすでに手元には『ゴールデンスランバー』があるので楽しみで仕方が無い。

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紙の本からだにおいしい野菜の便利帳

2009/11/06 13:39

本当に便利な一冊。

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 日本に居る兄から、ようやく送られてきた待望の一冊。栄養学に励んでいる私にとって、野菜に含まれている成分や性質などを知る事は大事なこと。心から楽しみにして待っていた。

 まず、多彩なビタミンの説明に感心です。私の場合は、立ち仕事なのでよく足が浮腫んで、しかも冬になると足の指先が冷える末端冷え性なので、どういった野菜が効果的なのかを学ぶ事には心が躍った。意外な野菜が効果的だったり、私はまだ習っていないビタミンUやPといった新顔も登場し、何度も読んで色んな情報を吸収していきたいと思った。

 便利だなと思ったのは、旬の時期も明記されていること。なぜ、冬のほうれん草の方が夏のそれよりも甘みがあるのか、という理由。枝豆はどうしてアルコールとセットのように人々は頼むのかという事。知らない事も多く、新鮮な心持で読めた。そして、調理例や保存方法は当たり前の事で、主婦や栄養士を志す人たちには重宝される一冊だろうと思う。

 野菜や果物のほかに、豆類やスパイス類、それにキノコ類も記載されている。思わず驚いたのは数々のドレッシングのレシピが載っていたこと。自分で作るドレッシングはそこまでバラエティに富んでいないし、その野菜には合う味があったりするので自ら開発しようという冒険もしないので、そういう例を与えてもらえるととても有り難い。意外な材料が含まれていたりするし、面白みがある。

 もう一つ、野菜の日本での歴史が載っているのも面白いと思った。例えばサツマイモは江戸時代に伝わってきて、しかも痩せた土地でもきちんと育つので、飢饉の頃なんかは大いに人々を支える食材だったのだという。野菜や果物の背景も興味深い点だと言えるでしょう。なぜ、ジャガイモの芽を食べたらいけないのかという理由も特に考えた事もなかった。ただ、母に食べると毒だから、と幼い頃に言われた記憶だけが佇んでいたので、どんな成分が毒素になるのか、そういった知識も身に付けられる。

 自分の肉体的な問題や、内蔵の状況に応じた食生活を送るのには欠かせない一冊である。整腸効果のある食材や食べ合わせ、血糖値の調整、女性には有り難い食材などが整理されているので本当に便利だと言える。これからも何か疑問に思ったら、本書を開いては検索していくことでしょう。

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紙の本容疑者Xの献身

2010/06/10 03:08

天才数学者の無償の愛と天才物理学者の友情。

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書を手にする前に、面白そうだと思って映画を先に観ていたので天才数学者の石神のイメージは、どうしても堤真一さんでした。驚いた事に、本書に登場する石神のイメージが、堤真一さんの迫真の演技と見事に一致する。通常、書籍が映画化するとやはり書籍の方が面白いというのがパターンですが、映画も書籍と同等に面白いので凄いと思う。もちろん、役者さんの演技によるところが大きいけれど、ここまで書籍に沿って造り上げられた映画というのも珍しいのではないでしょうか。

 さすがは直木賞受賞作と言ったところで、トリックは最後の最後まで分かりませんでした。なぜいつまでも警察は花岡靖子に疑いを持ちつつ、一向に犯行へと繋がらないのかと思っていたほどだった。元夫から逃れていた花岡靖子に想いを寄せていた天才数学者の石神が、完全犯罪を企てる。全ての動きが、石神の思惑通りというのも少々怖いほどでした。高校で数学を教えながら、次なる計画を立て、花岡母娘にすべきことを入念に指示していく中、同窓生である天才物理学者の湯川が目の前に姿を現した。

 湯川は石神の才能を認め、理解している。だからこそ、ふとしたことをきっかけに裏を読み取り、自分なりに真実を追求していく。同窓生である刑事の言うことがヒントになったり、石神の言動がきっかけになったり、少しずつ真実はその輪郭を現していく様子が最後まで分からないのが凄い。読み進めている間は何かを掴んでいるんだろうな、くらいにしか思えない。石神が張った罠にまんまと引っかかってしまった刑事とは違い、些細な事で事件の真相は手ごわいと気付いていた湯川。天才数学者と天才物理学者の知恵比べのようでかなり楽しめる。

 自分をストーカーに仕立て上げ、完璧なまでに花岡母娘を救おうとした石神の無償の愛には涙する人も多いでしょう。そんなふうに、愛する人の幸福を心底願い、自分を犠牲になんてできるでしょうか。そういう純粋さが痛いほど伝わってくるので、本書のタイトルに頷けます。ああ、そういう意味で『献身』なんだな、と全て納得がいきます。タイトルの意味が、クライマックスで明かされるのも粋だなぁと感服です。そして、そのまま石神の指示通りに生きていけば、全ては平和にその先を生きていけるだろう花岡母娘。けれど、湯川の石神への友情がまた凄いなと思う。才能溢れる友人を失いたくはない思いもあるだろうけれど、それ以上に石神の想いに気付き、ただただ愕然とした湯川である。心打たれるストーリーだし、トリックも実に巧妙なので盛大な拍手を送りたい一冊でした。

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冷凍庫を活かし、経済的な健康に良い食事を食卓へ。

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ぶらりと書店へ寄った時に発見した一冊。
開いてみて、すぐに「買おう!」と思った。

よく、ゴボウを買おうとすると長いのが2本ついてきたりして、そんなに使わないんだよなぁ…何に使おうかと考えていくうちに干からびちゃったり、アオカビが生えてきちゃったりする。カボチャも同様だった。丸々一つ買っても、使わないといけないな~って思っているうちに傷んでしまう。

炊き込みご飯も、どうせ炊くならたくさん炊いて冷凍しておこう!と思ってラップに包んで冷凍しても、表面が乾燥したり冷凍焼けしたりしていた。そういうものなんだと諦めていたんだけれども…。

コロッケやハンバーグも手間がかかるので多めに作ってラップを巻いて冷凍しておく。だけどいざ後日、コロッケを揚げようとするとパチパチ油がはねてはパンクしてしまったりして、油の温度は充分だったはずなのに何故だろう?と疑問に思っていた。

その解決策や原因が、本書に事細かく記されているので目を丸くしたのだ。そうなんだ、そうだったのかと得心いく事柄の連続である。

自分も大学で栄養学を学んでいるので、著者である岩崎啓子さんの他の著書にも注目してみようと思う。色々学べるからだ。

安売りしている肉類をたくさん買って、小分けにして切り方を変えたり、予め味付けをしてから冷凍しておくことで、忙しい平日の調理時間の削減にも大いに役立つというアイディアには驚いた。下味付けた状態で冷凍して、後日使う時にはこういう調理例があるという紹介も有り難い。解凍方法も記されているので、得た知識を正しく活用することが可能だと思う。青果物や肉類の他にも、パスタであったり、更にはケーキも冷凍できるコツも載っている。

毎日、節約しながらお弁当を朝早くに作って通勤しているという方々から、冷凍方法が良く分からない方々、一人暮らししているので自炊しても余った時にどうしたら良いかと考えあぐねている方々に、是非手にとって欲しいと思う一冊です。食費の削減には良い第一歩にも繋がるのではと本気で思う。倹約しつつ、健康的な食事を拵える事が可能になる。

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紙の本A型自分の説明書 正

2008/06/19 23:23

A型ですけど、何か?

14人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 また可笑しな本が登場したなぁと本書を手にとってみた。血液型で人の性質の判断なんてバカバカしいと思う人も多々いると思う。けれどいくつもの研究結果として、顕著に各血液型の傾向が分かれるという。私は自分なりの統計学で、やはりその違いを見てきたように思う。では、自分は一体どういった傾向なのだろうか?それを知るには興味深い一冊である。

 よく言われる事。「生真面目だね」「頭固いね」「肩の力を抜け」その頻繁に出てくるヒトからの言葉もまた、本書には登場してきたので驚いた。自分の傾向が、たった一文で一つ一つ面白おかしく描写されると笑いが漏れるというものである。だから、電車の中で読む事はお勧めしない。また、表現の仕方がギャグのように響くので笑いを誘う。目からウロコの項目もたくさんあった。『ああ、そうかもしれない、そうだった』

 細かい心理までピシャリと当たっていた項目がいくつかあった。内心、確かにそう思っているフシがあるなと妙に納得してみたり。団体行動での傾向や、仕事・恋愛の傾向。事細かに分析してあると感心する。他の血液型のも読んでみたいと思ってしまうほどである。

 本書の最後の方には、童話に出てくる登場人物たちがA型だったらどういう対応をするか、という滑稽なページがある。「ヘンゼルとグレーテル」「北風と太陽」「ハーメルンの笛吹き男」「金のオノ、銀のオノ」「シンデレラ」「ウサギとカメ」「おおかみと七匹の子やぎ」「赤ずきん」「桃太郎」などなど。どのケースも有り得そうで、可笑しかった。

 私の場合はO型の血も入っているので、ところどころ当てはまらない項目があったにせよ、実に95%以上は本書の項目に頷けた。人にはそれぞれ個性があって、みんながみんな血液型が一緒だからって同じ傾向であるとは定義できないにしろ、本書はエンターテイメント的役割を果たしてくれた。自分を知る、内観する一つの道具として使ってみるのも悪くないかもしれない。

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紙の本利休にたずねよ

2011/02/12 03:55

茶の道に点在する美の数々。

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

知人に、もの凄く面白いと勧められて借りた一冊です。私よりも数倍は読書している兄も結構前に読了しているので、興味はずっとあった本だったのは確かです。そして、寂しげに花をつけた一輪がカバーにあるのがまたしんみりとした心境に誘ってくれます。でも、馴染みが無い花、何のお花なんだろう…と思っていたら終盤で理解できました。しかも本書は直木賞受賞作。期待は大きく膨らんでいきました。

始まりは、千利休が切腹するその日。あれ、いきなりそこから始まるなんて、一体…?と疑問を抱きながら活字を追っていった。恥ずかしながら、千利休についての知識は茶人であったことくらいで、いつの時代の人か、どういった人物だったのかという事は全く知らなかった。読み始めてすぐに分かったのは、茶道の表千家や裏千家は千利休の千家からきているということ。自身の浅学さに赤面でした。高校で日本史を勉強せず、世界史を専攻したことをいささか後悔しつつ。

まず気になったのは、進行の仕方。時間が遡っていっている。初めてのパターンだったので、少し戸惑いつつも面白みは増していった。利休の美を見極めるその眼は鋭すぎて怖いほどだと思った。お花を生ける竹にしても、節の位置から形、全てに眼が行き届く。茶道というのは、お茶を点てるだけかと思っていたけれども奥の深さに驚かされる。お茶を点てている時に耳に入る音や雰囲気、匂い、風景、心情、立ち居振る舞い。おもてなしする相手が一番心地よく、落ち着ける空間を見抜き、準備をする。そして心を揺るがすようなお料理や茶菓子。侘び茶の中にも凛とした鋭い美がある。530ページ余り、本当に多くを学ばせていただきました。

読んでいくうちに目立ったのは、物欲が豊富な豊臣秀吉。貪欲だからこそ天下が取れたのかもしれないけれど、その露になった物欲は見苦しい場面もあった。利休が目利きしたもの、石灯籠が欲しい、香合の入れ物が欲しい、茶碗が欲しい…。黄金の茶室はちょっとセンスがよろしくないと思ったり。そうして登場人物の好みや趣味、個性がしっかりと描写されているのが面白い点でした。ただ、一部の女性が単なる美の一部や道具、もっと遠慮せずに言えば玩具のように扱われていたのは不憫でなりません。

千利休の生き様、感服です。そこまで己の信ずる美に執着し、追求するというのは困難なことではないだろうか。だからこそ、千利休が作り上げた茶の道は、何百年も受け継いで来られて現代も多くの人に愛され、敬われ、親しまれているのかもしれない。茶道は経験したことがないけれども、味わってみたい気持ちが湧いた。美学を曲げずに秀吉と対峙した千利休、天晴れです。

宮部みゆきさんのあとがきまで、きちんと楽しめた一冊でした。あんまり再読はしませんが、本書はまたいつか、今度は逆から読み進めてみたいと思いました。謎が多い千利休の自刃、深い背景があります。

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調味料の隠されたチカラ。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 世界にはそれぞれ、その国特有の調味料がある。日本を代表する調味料は、味噌、醤油、みりん、山葵、七味唐辛子などなど。それらも、どこかの国の調味料をヒントに生まれていたり、いろんな調味料の背景や歴史までもが記載されている。本書を読み終えて、色々な調味料の定番を超えた使い方を吸収できるし、機会あれば是非、試してみたいレシピも面白いと思った。

 まず、我が家の冷蔵庫に長い事眠っている甜麺醤やコチュジャン。一体、中華料理以外でどうやって使ったら良いのか…と正直困っていた。しかも、両方味噌のような感じなので、どんな料理に活用できるのか全くアイディアが浮かばない。更に、どういった特性があるとか、違いすらも曖昧だった。本書では、細かくそういったことを説明している。味噌を使った料理ならば代用して使える、とかインスタントラーメンに少量使えばワンランク上の味を楽しめる、とかいった情報が満載である。

 ココアに少量の胡椒、と書かれていたことには正直ぎょっとしてしまったけれど、実際味を想像してみるとスイカに塩、といった組み合わせのように胡椒の味でココアの甘さが引き立つ上に、ピリリとして悪くないかも、と思った。著者は栄養士でもあるので、栄養学的な視点からのアプローチもあってなかなか感慨深いものがある。寒い日の、胡椒入りのココアで身体を温めるのも有りかもしれない、と説得力もあると思う。

 更に、聞いたことはあっても実際馴染みの無い調味料の勉強にもなるので、いつかお目にかかった時には使い方を想像できて面白いかもしれない。海外旅行先で目にした調味料、実はそういった過程で作られたのか~、とかそういった歴史が刻まれているのかという知識があれば、旅の刺激も増えるというもの。地元の人々がどういう風に使っているのかを知らないと、滑稽に映るものだから豆知識として予め知っておくと良いかもしれない。

 著者の簡単レシピもいくつか紹介されているので、料理が苦手な男性でも一気に読めてしまう一冊だと思う。堅苦しい文学、といった文体でもないし雰囲気でもないので、気楽に電車での移動中なんかにサラッと読めてしまう。みりんにもそんな種類があったんだという事も知らなかったし、なぜ和食は調味料を『さしすせそ』の順番に加えるのかを知らなかったので、良い勉強になった。ただ母に昔、さしすせその順に入れなさい、と言われて何故か考えたこともなかった。その理由が明らかにされているので和食の理解を深めるきっかけにもなる。調味料の性格や働き、食材との相性も分かるので主婦の方々に限らず料理人にも面白い一冊だと思う。

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それぞれの正義。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

400ページ以上もある本書を、半日で読破してしまった事には自分でも驚いた。夢中になって、地下鉄での移動中も重たい本書を持ち運んで読み耽った。本多氏の、期待の一冊である。

ただのいじめられっ子ではなく、相当ないじめられっ子を要に展開されていくストーリーである。おぞましいいじめっ子だった畠田が、輝かしく楽しいはずのキャンパスに居た時の主人公の衝撃、手に汗を握ったくらいだ。不意に助け舟があり、主人公の生活は瞬く間に変わっていった…。

等身大の大学生活が描かれ、有り得そうな事件に有り得そうな設定。一物語としてではなく、もっと近いところから読める。弱いと決めてかかっていたのは主人公本人だけで、実はいじめ抜かれた先に得られた強さが買われて不思議な部へと導かれる。主人公が導かれた部は、キャンパスの平和を保ち続ける事。いくつかの事件を解決し、主人公はこれまでに無かったような歓喜を知る。仲間、友達、恋愛、先輩、希望、正義…。

上中下で言うと、下のカテゴリーに入る家庭で育ち、そのやるせなさや不公平さに食いしばる。人間の自然体ではないだろうか…。誰だって、自分の属さない世界は眩しく見える。奇麗事ではなく、もっとお金持ちだったら、由緒ある家庭に生まれていたら、もっと顔立ちが整っていたら…世界が違っていたかもしれない。誰しもが抱え得る感情を、包み隠さず主人公は訴える。大学進学にも苦労するような家計…。大多数の人の身に覚えがあるだろう。多くの人が共感できる感慨を、主人公は惜しげもなく表現している。

日本に限らず、世界中にそういう感情を抱いて、悔しい思いをして生活している人々は大勢いると思う。けれど、自分なりに懸命に生き抜いている。本書の主人公はそれを事細かに、そしてリアルに宿している。今属している世界から、どうやって出世していけるか考えあぐねている人だって、多いだろう。それがゆえに、法的に間違った方向へ向いてしまう人もまた、然りである。

人に手を差し伸べるもまた勇気、そして正義の一つであるけれど、踏み止まり、自身が身を置くべき場所を見極めるも勇気であり、正義の一つでもある。主人公が抱えていた葛藤全てにリアリティが感じられ、そして他人事としては考えられないものだった。社会的にさして強くも無く、けれど決して負けんとするその姿勢。自殺であったり、無差別殺人であったり、悲惨な報道が絶えない社会の奥底の一部であろう人間の心情が汲み取れる。そしてそれが深刻に重過ぎず、小説らしい軽やかさを滲ませているのは、本多氏の能力の証だと思う。展開や言葉遣いに吹き出しつつ、現代社会を自分なりに考えて読めた一冊だった。

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痛いところを突く本。

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 え!?
 まず最初に発した言葉である。本書を読み始めて間もなく、私は驚愕した。眼で追っていく全ての事に、身に覚えがあったからだ。それはもう、痛いほどに。

 学校で友達が本書について話していた。その奇跡のような本は事実を述べていて、またこれまで理解しようにも不可能であった異性の心理が理解できるというのである。私は彼らの話を半信半疑で聞いたがやがて、驚きを隠せなくなっていった。記憶をたどればたどるほど、深く納得でき、そしてその当時見えなかった裏を見る事ができた。我慢できなくなり、その日のうちに私は本書を購入した。急速に、仲間の間で本書は流行していったのだ。

 女性のみなさん、身に覚えがないだろうか。恋人に愚痴をこぼしている時、彼に解決策を与えられて逆に腹が立った経験。彼に話を聞いて欲しくて色々話しているのに、彼が話を聞いてくれないと不満を持った経験。また、彼と2人で道に迷ってしまったときに、誰かに聞こうよと提案をしたが彼は機嫌を悪くしてしまった経験。これらのコミュニケーションの擦れ違いには、ちゃんと原因があるのである。
 そもそも女性と男性では根本から考え方が違う。当然のことだが、ちゃんと一歩一歩経過をたどってみると心から納得できるのだ。
 なぜ感情のぶつかり合いが起こるのか、男女それぞれの立場から検証してくれているのが本書である。
 あの時自分が言った一言で相手が気分を害してしまった彼の心境は、こうだったのか。
 あの時ああ言ったがために口論が激化してしまったのか。
 自分の失敗ではないと思っていたことが、失敗だったりするのだ。
 あるシチュエーションで、彼がどんな心境なのか、自分はどうしたら良いか、問題点とタブー、解決策を授けてくれる。本書を慎重に読んで吸収し、実際に生かせている友達は何人もいる。
 女性が持つ心理、男性が持つ心理、お互いが理解し合って思いやっていけば、きっとこの上ない関係を築けるだろう。年老いても手を繋いで買い物に行けるようなほのぼのした穏やかな関係になれる可能性がある。
 本書を何度も読み返し、自分の人生の役に立てたいと思う。理解できなかったことが今理解でき、私はすっきりしている。

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紙の本終末のフール

2010/03/30 07:54

日々の営み。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 小惑星が地球に衝突して、滅亡するという宣告を受けてから5年後の設定で物語りは展開されている。人々は慌てふためくのに疲れ、それも無意味なことだと気付き、小康状態にある。やり場の無い怒りや恐怖心を、他者にしかぶつけることができずに暴漢と化したり、無闇に人を殺したり。本書を読み進めて行くうちに、それは起こりうることかもしれないな、と思ったりした。

 本書はいくつかの短編から成っているけれど、どこかしら繋がるものもあって構成が面白いと思った。そして、各ストーリーのタイトルが韻を踏んでいるのもユーモアではないか。身内を亡くし、残された時間をいかに過ごすか考える者、あと数年で地球は終わってしまうと言うのに新しい生命の誕生に悩む者、色々だ。マンションの屋上に櫓を建てて、大洪水に飲み込まれる世界を見届けようと言う滑稽な考えを持つ人、食糧を販売するお店が次々と閉店していく中、営業を再開した店長。どれも、本当に有り得そうに感じるほど自然に描かれている。

 伊坂幸太郎さんの書籍はこれで2冊目だけれど、共通しているのは人が殺される時の描写が妙に生々しいこと、終始面白さが存在しているのでこれといってクライマックスと呼べるシーンがないこと。先が気になって、読み続けていたら物語が終わってしまった、という感覚が私にとっては斬新である。人々の内情の描写も長けていると、敬服しています。

 もしも自分が実際にそういう状況に立たされたら、どんな道を選択するだろうか。本書の登場人物たちのように、前向きに生きる事を選ぶことができるだろうか。終末がテーマの一冊だというのに、失望という言葉とは若干離れているような雰囲気がある。みんなそれぞれ、淡い希望を持ったり、己の信念から行き続けようとする姿が、なんだか凄いなと思った。

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紙の本ニシノユキヒコの恋と冒険

2009/03/16 05:28

ニシノユキヒコにまつわる十の話。

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

まず最初に興味深いと思ったのが、主人公であろうニシノユキヒコが最初の話『パフェー』でこの世を去ったという事である。
常に付き纏う寂しさから逃れられず、死して尚、寂しいと訴えかけるニシノユキヒコ。
そんな彼と関係を持った幾人の女性達も寂しさと隣り合わせだったりする。

絵に描いたような、筋金入りの、言葉が適切でないにしろ正直に言って『女たらし』であるニシノユキヒコの周囲には、常に女性の影があり、それを時には隠さず生涯貫き通す。
そこに不快感を覚えた女性もいれば、特に気にしない女性もいた。
十人十色とはよく言ったもので、十人それぞれが違った形でニシノユキヒコと時間を共にしている。ある時は既婚者で子供もいたり、ある時は自分の上司であったり、ある時は同学年の子であったり、ある時は海の家でナンパした子であったり、またある時は大学の先輩である。
出会いだとか付き合い方、別れ方もそれぞれで、登場人物たちの心理や行動なども個々で、面白い点だと思う。

十の話の中で、ニシノユキヒコは成長を遂げていく。
中学生だった頃から、この世を去る五十過ぎるまでの生涯。
つかみ所のない、悲しい過去を持ち合わせる、何故だかとても女性を惹きつけるニシノユキヒコは、終始謎の存在だ。

ニシノユキヒコは特別男前でもなければ、セックスが格別に巧いというわけでもないが、女性はひっきりなしに寄って来るのだ。
ニシノユキヒコが身に纏うどこか負を思わせる雰囲気が惹きつけるのか、彼の女性を手繰り寄せる技が優れているのか、またはその両方なのかは断言できないが、とにかく女性が寄って来る。

特に印象深かった話は『ぶどう』である。
そこでニシノユキヒコはこの世を去るのだが、最初の『パフェー』とも繋がり、川上弘美の技量にも感心したところである。いくら経験を重ねても、ニシノユキヒコには超えられない、解することができない何かがあった。それも生涯を通して。そしてこの世を去る直前直後でさえも、女性との接触を忘れないところはとても彼らしい点だと思う。

もう一点、面白いと思った点を挙げたいと思う。
それは十の話で共通する点なんだけれども、全ての女性は自ら別れを示しているのだということ。要するに、ニシノユキヒコは最後は女性達から距離を置かれ、去られているのだ。
女性を心から愛せないニシノユキヒコはまた、自身を心から愛してくれる女性にもめぐり合っていない。そうなりかけた事は何度かあっただろうに、一線を超えることはない。

儚く切ない、ニシノユキヒコにまつわる、交情を持った女性の視点から描かれた十の連作集だ。語り手が女性側であるのも一風変わった点であり、本書の主人公はそんな十人の彼女達の記憶から成り立ち、恋をし、冒険を重ねていく。そんな作風も本書の魅力だと言えるだろう。

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紙の本姑獲鳥の夏 文庫版

2004/10/15 15:21

モノクロの世界より。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 本書を兄に手渡された瞬間、微かな疲弊が過ったし、微かな落胆があった。本書の厚さに対してである。飽きっぽい性格のため、分厚い本というのはなんとなく避けて生きてきた。これまで読んで心から長かった、と思うのは谷崎潤一郎の「細雪」である。数冊に分かれていればまだ救いようがあったのに…などと思いながら沈んだままの気持ちで読み始めた。
 第一印象は、純文学的な文章だなと思っていた。古き時代に使われていた言葉・漢字が登場した。また教養深い作者なのだろう、本当に多くの歴史的書物の名前が目についたし、常人では絶対に届かないような観念が知的に響いてくる。
 なんだ、そうなのか、それもそうだと納得しっぱなしであった。
 そして中盤で私は気付いた。分厚さを感じさせない、全く先の読めない小説に出会ったのだと。元々推理やら理数やらをするようにはできていないのが私の頭だから仕方ないが、誰の言動がおかしいのか、京極堂や他の連中が何を言わんとしているのかが理解できず、心穏やかではなかった。
 みんながみんな疑わしく思えていたし、主人公ですら信頼を欠くであろう行動をとっていた。そして何よりも、真実は何なのか。
 途中、仏教や陰陽道の話が出てきたので、ああ、そういう系の本か、と考えていたのに最終的にその事自体はあまり重要でなかったりした。
 とにかく予想をことごとく砕いてくれる、頼もしいストーリーで敬服です。
 ひどく論理的で、かつ合理的で参りました。
 急展開で物事は解決に向かいますが、そこも順を追っていて気分が良かった。中には不自然な点があったりして、面白味に嘘っぽさが混ざったりするような本がありますが、本書はほぼ完璧です。
 京極堂の話が、とても深く興味をそそるものでした。それに関口くんが忘れっぽいという設定も良い点ですね。ちょっと抜けてる主人公の視点で語られるからこそ、読者をひきこむのかもしれません。
 京極夏彦は初めて手にしましたが、これからも読ませていただこうと楽しみにしています。

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紙の本初ものがたり

2010/04/08 04:41

江戸の町人の暮らしと旬の香り。

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 こういうお話、大好きです。お武家さんのような、格式高い人が中心に描かれると読み進めていても遠い存在のような気がして、なかなか物語に入り込めないんだけれど…中心には、裕福ではない町人がいるので旬の鰹を買うのもなかなか大変だという暮らしぶりは、身近に感じる。現代に暮らす私達には、冷蔵庫もあるしスーパーマーケットでは旬の食材が安く売られているので買うのが大変、というのは松茸や元々高値の魚介類くらいではないだろうか。けれど、江戸に暮らす町人は、商いをしつつも日々を行き抜くのがやっとで(大きなお店を覗いて)そういう暮らしぶりには共感できることも多く、面白い。
 本書の中で、季節は巡る。その描写も細かく、工夫が施されているので分かり易く、季節感がリアルに伝わってくる。衣替えや、旬の白魚、柿、鰹の登場。短編集から成り立っている一冊だけれど、登場人物は通じるものがあるので飽きずにささっと読めてしまう。
 特に興味を持ったのは、美味しい料理を提供する稲荷寿司屋の親父だ。そういう屋台、実際にあったら行ってみたいと思う。なんせ、稲荷寿司だけでなく、寒い夜にはすいとん汁や蕪汁、鰹や鮭なんかの旬の食材も巧く調理して出すのだ。しまいには、お酒の担ぎ売りと組んで、お酒も出すしお菓子まで出してしまう、天晴れな稲荷寿司屋だ。その親父は、不思議な人なので岡っ引きの親分にそれとなく助言したり、事件の解決の糸口を不意に垂らしたりするのがまた面白い。
 事件も、色恋が深く関わっていたり、表沙汰にはされたくない家の事情が絡んでいたり、心痛むところも多々あるけれど全体的にきちんと解決したり、良い方向へと向かっていったりするので良かった。
 宮部みゆきさんの時代小説は、だからクセになる人も多いのでしょう。細部もきちんと描写されているので、なるほど、と納得することも多いし想像力が大いに刺激される。私なんか、語彙力まで養っています。月代なんて、読み方も意味もしらなかったけれど、宮部みゆきさんの時代小説で知ることができたくらいです。これからも読みたい宮部みゆきさんの時代小説はいくらでもあるので、楽しみ。

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紙の本孤宿の人 下

2009/12/31 04:32

人が見る御仏。

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 引手を目指していた宇佐の身に起こった突然の変化で幕を閉じた上巻から、宇佐のその後で幕を開ける下巻。匙の舷洲の思惑により、涸滝の屋敷へと奉公に上がった『ほう』のお屋敷での暮らし。町役人の渡部の切ない想い。全てが同時に流れ、進んでいく下巻である。

 特に目立っていたな、と思ったのは『死』である。藩の抱える裏事情を嗅ぎ付けて、浅木家の謎に迫っていた渡部の上役のその後、丸海を襲う大雷害、守護神の力の停滞により起こった暴動、敵討ち。上巻では複雑な想いを抱えつつもひっそりと息を潜めていた人たちが、下巻では動きを見せて意外な結末を迎える。雷鳴や雷光の描写、そこにいる丸海の人々の恐怖心が細かく、鮮明に想像が出来た。途中で和尚さんの宇佐へ向けられたお説教もあり、自分自身がお寺で聞いた和尚さんのお話が彷彿として蘇った。

 中でも、『ほう』が幼いながらに必死に考え、捕らわれの身である加賀様から手習いを受けながら少しずつ成長を見せる様子は印象深い。舷洲を始め、同じく匙の砥部、加賀、宇佐、数人の御牢番、調理場の人たちに案じられ、さりげなく手を差し伸べられながら己の道を見出し、向かっていく。加賀様から二度、『ほう』という字を授かるけれど、二度目に授かった時にはさすがに目頭が熱くなるものがある。その字に、なるほど、と得心がいく。

 町役人、渡部一馬の行動に愕然とした。上巻から引きずってきた想いだったので、その瞬間は読者としてもせいせいした部分は多少なりともあるけれど、渡部一馬のその後にこみ上げるものがある。そして物語の始めの頃にしか登場しない琴江だけれど、その琴江の心境も明かされるのですっきりする。なんて切ない、身分の差だろうと思った。江戸時代には、恋愛結婚というのは珍しく、お家のための婚姻が多かったと聞いた。きっと自分の想いに従えず、苦々しく自分の心と決別した人も多いことでしょう。そういった時代背景を考えるのも、本書をより楽しむための点の一つと言える。

 多くの人が亡くなり、心が沈んだ状態で物語の終盤を迎えるけれど、沈みっぱなしで終えるわけではなくて救いがあるのが良かった。個人的に、救いようのない悲しみを伴う物語は好きではないし、読後感に耐え難い。宮部みゆきさんの表現力、読む都度思い知るけれども今回もやってくれたなという感じです。あまり同じ本に手を伸ばさない私だけれど、また数年後に今よりも成長した自分が読んだら感じる事も違ってくるのだろうか、と興味も持てた一冊です。人が成長していく過程で、柵も増えていくし純真さを忘れてしまったりするけれど『ほう』のように無心でいることは重要なことだと思う。

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