永島実結さんのレビュー一覧

１００％プラスの人生なんてない

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　美輪明宏さんの著書やトークでたびたび登場する「正負の法則」という言葉が浮かびました。経済力と将来性のある男性の妻となり、子供も授かり、平和で穏やかな日々を過ごす一方で、変わり映えのしない日常に退屈や不満を募らせていく薫。自らの力で主任という肩書きを手に入れ、その後リストラにも屈することなく独立、社会的成功を収める一方で、独り身の寂しさや将来への不安を感じずにいられない乃梨子。自分の選択は正しかったと思いたい一方で、自分が持っていないものを持っている相手を羨んでしまう２人の姿が細かいところまでリアルに描かれています。専業主婦としての人生にも、独身で現役で働きつづける人生にも、プラスの面とマイナスの面がある、１００％プラスの人生なんて恐らくどこにもないのだから、その時々の自分の選択を、自分が今生きている人生を肯定してみてもいいのでは？　そんなメッセージを感じ取れる作品です。