biei4さんのレビュー一覧
投稿者:biei4
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夜回り先生と夜眠れない子どもたち Yomawari‐sensei 2
2004/11/06 03:26
子どもを信じることの大切さ
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
繁華街の夜回り、夜中の電話やメール応対など、何故に彼(水谷修先生)をここまで行動させるのか。しかも命がけで…。
それが最初に私が疑問に思ったことである。
彼のそのエネルギーの根源が、この書物を読んで少しずつ見えてきた。
1つ目は「魚は腐るが子どもは腐らない…」というくだり。他の教員とのやり取りのなかで、「子どもを腐らせているのは大人の責任だ」と強く反発したことに対して、自らがその証明をするためではないかと思われる。
それは彼自身が育った環境の中に垣間見ることができる。
寂しかった子どもの頃に必死に親を信じていたことを、今度は自分が先生という立場で子どもを信じようとしているところにあるのではないかと思う。
まるで自分は子どものころ親に愛されていたんだ、という実感を何度も何度も確かめようと、必死にもがいているように感じる。
1つ1つの子どもとの出会いを通して、その親がうまく伝えられなかった愛を、彼は代弁しているのだと思う。
多くのケースが彼を通して、非行に走ってしまった子どもと親との絆を1つ1つ丁寧につなぎあわせようとしている。
2つ目は「子どもは受けた愛の数が多ければ多いほど、非行から遠ざかる…」というくだり。
子どもは親を選べない、しかし子どものことを思わない親はいない。でも多くの親は子どもへの愛情表現が下手だったり、中途半端なものや自己満足で終わってしまい、そのときどきの子どもの本音とのコミュニケーションが上手くかみ合わない。子どもの頃には見えない親の気持ちも上手く伝えられない。
子育てをしなければいけない親自身が、しっかりとした愛情のもとで育っていないがうえに、子どもへの愛情の注ぎ方が分からない。
その愛情の注ぎ方を彼は伝えているのだと思う。
親の愛情のかけ方は中途半端であったり、自己満足で終わったりしてはいけない。下手くそであってもよい、でも精一杯の力を振り絞った、全力投球でなければいけない、と彼の叫びが鳴り響く。
この本は非行に走っている子どもだけでなく、子どもを持つすべての親に、メッセージと警告を与える書物である。
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