風に舞う髪さんのレビュー一覧

誰もが出来そうで出来ないこと

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　みずからの人生に悔いを残したくない。
　この思いは誰にもある。
が、多くの者はしがらみに縛られつづけるか、あるいはただためらって、永久にその機会を逸してしまうのではなかろうか。
　５５歳の著者は、いま行かなければと思い立つやいなや、会社に辞表を提出し、にわかバックパッカーとなって一人旅へ出てゆく。その爽やかな心意気にまず度肝を抜かれるが、ベトナムを振り出しに、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー、インド、パキスタン、イラン、そしてゴールと定めたトルコのイスタンブールまで、危険もあろうに、これまでの人生で得た知恵と行動力をフル稼働して国境を越えて行く姿には感動を覚えてしまう。
　著者が目にするもの、心に響くもの、そして接する人々への温かな態度と柔らかな感受性に女性の私はなにより共感した。
　５０歳を過ぎた人には、ぜひ一度読んでもらいたい本である。