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appleさんのレビュー一覧

投稿者:apple

6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

紙の本屍鬼 1

2004/08/03 19:45

人間と屍鬼

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『屍鬼』はただ怖いだけのホラー小説ではありません。「起き上がり」である屍鬼が登場する話ですから、もちろん怖くないはずがないのですが、では屍鬼とは怖いだけの存在なのか、と言われるとそうではないのです。人間を殺さなければ生きていけない屍鬼。にもかかわらず人を殺すことを躊躇ってしまう屍鬼。そして屍鬼に向けられる人間の憎悪。本を読んでいくうちに自分は人間の味方なのか、それとも屍鬼を肯定しているのか、だんだん分からなくなってくるのです。何をもって正しいとするのか、自分にとっての天敵を排除することは正義と呼べるのか、それはラストの人間と屍鬼との対決でますます難しい問題になっていきます。この物語は絶対的な正義が絶対的な悪を滅ぼすというような簡単な話ではないのです。
 また、私は外場村が大変リアルに描かれていることに驚きました。私の住んでいる所は少し外場村と似ていて、この本を読んで改めて実感したのですが、確かにムラ社会は本家・分家で繋がっていて、他所から人が入ってくることを好ましく思わない風潮があると思います。伝統的な風習や行事がまだ生きていて、それによって人々は結束しているのです。『屍鬼』では村人一人一人について丁寧に書かれているので、このようなムラ社会の様子がリアルに伝わってくるのです。
 たぶんこの本の始めの方で、展開が遅いなぁと感じてしまう人が多いと思います。主人公の書いている小説と本編の内容とがシンクロしていて、おもしろいのですが、いろいろな事件が次々と起こるというわけではないので、一巻での物語の展開がスローペースだ、と感じてしまうのです。しかしこれは村人一人一人にしっかりとした物語があるからです。そして物語が進むにつれてその一つ一つの物語が関連性を持っていることが明かとなり、まるでパズルをしているかのように、繋がっていくのです。
 長編小説なので、読むには時間がかかると思いますし、内容も怖くて、悲しくて、そして切ないという、決して軽く読み流せる本ではありません。しかし読み終えた後に心に残るものは大きいと思います。正しいとはどういうことか、正義とは何なのかということを考えさせてくれる本です。

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紙の本

紙の本蒼穹の昴 1

2005/02/23 03:23

読み出したら止まりません!

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『蒼穹の昂』、本当に感動しました。自分は良い本に出会えたと心から思える作品でした。

 ストーリーとしては貧乏な家に生まれた春児と科挙を目指している文秀の生涯を描いたものなのですが、彼らの周りの人々にもぜひ注目してもらいたいと思います。それは登場人物、一人一人に心に響く物語があるからです。彼ら一人一人のストーリーは、後半に描かれる時代の大きな移り変わりへと繋がっていきます。この物語の時代設定は清時代の中国。変法運動が叫ばれ、革命に今にも火がつこうとしていた清の末期です。西太后はもちろん、猿世凱、李鴻章、康有為など、実在の人物も多く登場します。しかし、小説の中では、明・清あたりの中国の複雑な歴史、民族の勢力など、分かりやすく書かれていて、大変読みやすくなっています。中国史は複雑でちょっと…、という方も大丈夫だと思います。

 特に長編小説の場合には最初の方が結構退屈で、途中で断念してしまったり、読むのにすごく時間がかかってしまったり、ということもあるのではないかと思いますが、『蒼穹の昂』においてその心配は無用でしょう。私はこの小説を読むまで浅田次郎の著書を読んだことがなっかったのですが、本当に読み出したら止まらなくて、驚いてしまいました。他にやらるべきことがあるにもかかわらず、4巻を読了するまで、頭の中はこの本のことでいっぱいでした。読み進めることに夢中になり、他のことに手がつかなくなる方も多いでしょう。連休など、時間のあるときに読むことをオススメします。そしてこの感動の物語をじっくり楽しんで下さい。

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紙の本

紙の本オルフェウスの窓 1

2004/09/15 04:19

何度でも読み返したくなります。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『オルフェウスの窓』は激動の時代に流されそうになりながらも必死に生きた人々の物語です。まずこの物語には本当にたくさんの人々が登場しますが、中でも特に中心となっているのがユリウス、クラウス、そしてイザークの三人でしょう。もちろん、ユリウスとクラウスの恋も感動したのですが、私が一番惹かれたのはイザークでした。ピアノを弾くことに情熱を傾け、そしてピアノの前で苦悩する彼の姿に、胸が痛むほど感動しました。また物語の中にでてくる曲も各々のシーンにぴったりのものが多く、それが物語を盛り上げているな、と感じる所もありました。一番の例はイザークがベートーベンの「皇帝」を弾くシーンだと思います。あの華やかな場面にふさわしい曲はこれ以外にはない、と感じましたし、この場面を読むと本当に「皇帝」が聴こえてきそうなくらい盛り上がります。イザークの葛藤は彼が成功をおさめた後も続くのですが、本当に目が離せないのです。また、音楽や芸術に携わっている方はイザークに共感できる部分が多いのではないかと思います。
 『ベルサイユのばら』を読んだ時もそうだったのですが、この物語でも著者の池田理代子さんの知識には驚かされます。音楽の面では実在のピアニストであるヴィルヘルム・バックハウスが登場したり、歴史の面ではロシア革命が大変分かりやすく描かれていたり……と例を挙げればきりがないのですが、本当にすごいと思います。実際、私はボリシェビキとかメンシェビキの勢力関係の複雑なロシア革命が苦手だったのですが、『オルフェウスの窓』を読んで興味が湧き、好きになってしまいました。
 『オルフェウスの窓』は本棚に手をのばして、何度でも読み返したくなる本です。そして読み返す度に感動してしまう物語です。それはこの物語に純粋な心を持った登場人物が多いからかもしれません。

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紙の本

紙の本だれが君を殺したのか 新装

2004/08/09 00:06

将来の進路を悩んでいる人に読んでほしい本。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 「児童文学」と聞いて思い浮かべるのは、まずファンタジーや冒険モノではないでしょうか? 私はこの本に出会うまで「児童文学」といえば、10代前半くらいまでを対象としている、という先入観をもっていました。しかし『だれが君を殺したのか』は、将来の進路に迷っている人達、皆が感情移入できる物語です。
 『だれが君を殺したのか』という題名から、推理小説かな?と想像してしまうかもしれませんが、これはいわゆる推理小説ではありません。主人公の少年マルティンはギターが得意なのですが、それを将来の仕事にできるような天才的な才能をもっているわけではありません。そして、大人に対する反感をもった「普通の少年」です。こういうことは10代後半から、たいていの人が悩むことではないでしょうか? 幼い頃は自分の得意なこと、好きなことを見つけることが大切なのですが、ある程度の年齢になって自分の進路を決めなくてはならなくなった時、はたして自分はそれで生活していけるのか、ということを考えなくてはならなくなるのです。マルティンはまさにその年齢にさしかかっている少年なのですが、彼は友達のクリストフが死んだことをきっかけに周りに目を向けはじめます。素晴らしいピアノの才能を持っていたクリストフ。大人が嫌いで、そして大人がつくっている社会にも失望していたクリストフ。マルティンはクリストフに対して憧れのようなものを抱いていたのですが、彼は突然死んでしまいます。クリストフの死は事故死だったのか、それとも自殺だったのか。マルティンの物語はここから始まります。いろいろな大人達に目を向けていく過程で、マルティンの、大人に対する感情は徐々に変化していきます。
 しかし作者はここでマルティンの、大人に対する反感を完全に消したりはしていません。完全に無くしたのでは、結局、この話が物語の中のきれいごとになってしまうからでしょう。そして作者はマルティンの将来に対して安易な解決法を示してはいません。ここがこの本の素晴らしいところだと私は思います。私達、読者は本の主人公に感情移入することはできますが、主人公の悩みが解決したからといって自分の将来の進路の問題が解決するわけではありません。それなのに、安易な答えを示して主人公を解決に導いてしまえば、読者は、やっぱりこれは物語の中の話なんだ、と感じてしまうでしょう。
 自分の進路を決めることができるのは自分だけです。でもこの本には、同じ悩みを抱えている主人公がいます。そして、将来に対する不安を理解してくれる、この本の作者コルシュノウがいます。将来の進路を悩んでいる人に読んでほしい本です。この本は、悩んでいるのは自分一人じゃない、と気づかせてくれるはずです。

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紙の本

紙の本ベルサイユのばら 1

2004/03/04 03:16

不朽の名作だと感じました!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 『ベルサイユのばら』は私が生まれる前に書かれた作品ということもあり、私がこの作品に出会ったのは、つい最近です。もともと市民革命に興味があったので、なんとなく読みはじめたつもりが、物語に引き込まれてしまい、一晩で全巻読んでしまいました!                        
 私はフランス革命とは、悪女アントワネットや贅沢三昧の王室をたおした、市民が主役の革命だと信じていました。しかし、私は『ベルサイユのばら』を読んで、一概にそうは言い切れないと感じました。この作品ではフランス革命を主に王室側から見ており、アントワネットやルイ16世の心に共感できる部分がたくさんあります。一言に『悪女』とは言うことのできないアントワネットは凛としていて、最後の時まで毅然とした女性だったこと、王宮の中にも、フランス市民のことを思っていた人々が確かにいたこと、など学校の教科書には載っていない歴史が、この作品にはつまっています。           
 オスカルは実在しないし、この作品にはフィクションの部分が多いかもしれません。でも、忘れてはいけないのは、この作品にはノンフィクションの部分も多く含まれているということです。『ベルサイユのばら』はフランス革命のなか、必死に生きた人々に触れることのできる物語です。            
 こんなにも楽しく歴史に触れられる本はなかなか無いと思います。実在した革命家達(ロべスピエール、ラファイエット、ミラボーなど)も登場するので物語を読んでいるうちに、いつのまにかフランス革命の勉強になっているという、まさに一石二鳥!                          
 少し前に書かれた作品ですが、古臭さはあまり感じないのではないでしょうか? ちょっと昔の作品だし、と思って、まだ読んでいない人にオススメです。

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紙の本

紙の本魔性の子

2004/02/24 01:23

おすすめです!

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 人間の「ここではない、どこかに自分が住むべき異郷があるはずだ」という気持ちや、人間の醜い部分であるエゴや異端を迫害しようとする心を、見事にとらえ、登場人物に感情移入してしまい、読みはじめると止まらなくなる作品です。
 また、「祟り」や「神隠し」といった言葉から、ホラー小説か、と思いがちですが、『魔性の子』は単にホラー小説と言ってしまうにはあまりに切ない物語です。またファンタジー的作品なのでホラーが苦手な私にとっても、とても好きな作品になりました。
 『魔性の子』の話は十二国記シリーズ『風の海 迷宮の岸』と『黄昏の岸 暁の天』の外伝になっています。十二国記シリーズを読んでから『魔性の子』を読むと高里の周りで起こる奇妙な現象やラストの場面などの謎めいた部分がすんなり理解でき、大変読みやすいと思います。しかし、登場人物の行動などが読んでいる途中であまりに理解できすぎてしまい、ラストも予想がついてしまうので、この作品の謎めいた部分を感じながら読むためには、十二国記シリーズを『魔性の子』のあとで読んで、この作品の謎を解いていくのも、おもしろいかと思います。

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