箪笥さんのレビュー一覧
投稿者:箪笥
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体の贈り物
2004/12/08 23:48
感動的な物語を語るのではない
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この本の内容を要約すると、こんな感じになる。
「エイズ患者のホーム・ケアワーカーである<私>が見つめる、彼らの最後の日々」。
訳者あとがきで柴田元幸氏も書いているが、上のような要約を見て、読んでみようと思う人がいる一方で、読みたくないと思う人も、きっと多いだろう。ほかならぬ私自身がそうだ。
この本を薦めるいくつかの文章を読んだけれど、気乗りしなかった。
紹介された内容から、この本の中身は容易に想像がついてしまう、と思った。
たぶん、ある人は孤独や絶望の中で死んでいき、ある人は死に面して、閉ざしていた心を開き、ある人は穏やかに命を終えるのでしょう?と。
そしてそんな想像は、あながち外れてはいない。
しかし本書の内容を漠然と、そしてステレオタイプに想像したとき、決定的に欠けているものがある。それは体の感覚だ。彼ら一人一人の、生きている体だ。
もう思い通りに動かせない体。食べものを受けつけなくなり、だんだん空っぽになっていく体。そこに最後に残されたもの。残していったもの。
<私>はドラマチックな物語、感動的な物語を語るのではない。ただ彼らの生活、その営みを綴るのだ。そこには、並みの想像では決して及ばない力があった。
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