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akiraさんのレビュー一覧

投稿者:akira

3 件中 1 件~ 3 件を表示

骨董的価値ではなく、そこに宿る魂に価値がある

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

建物の記憶が見えるようになってしまった大学生(土神)が、同じように建物の記憶が見える女性(真百合)と共に、かつての建物の主の思いを読み解いていく物語。
主人公が建築家の学生であり、幼なじみの女の子が建築部品マニアであったりするので、建物に関する蘊蓄が日常会話的であり、押しつけがましくない雰囲気です。
また、建築士であった祖父の残した建物に住むところから始まっているために、家に住む人の想いを推し量ることに対する指向性が、主人公の中に(ということは、それを読む読者の側にも)出来上がっていることも、自然に物語世界に入れる下地になっているのではないかと感じました。
「建物の記憶を読み取る」というのがサイコメトリー的にSFっぽく書かれているのではなく、建物に心があるかのように擬人的に描かれているのが、冬目さんの絵柄やストーリーの雰囲気に合っているように思えます。

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「小説家」だからこその心理描写

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本を読み終わった時、僕が感じていたのは、胃を締め付けられるような感覚でした。得体のしれない不安感と、焦燥感のようなものが、その中にあったような気がします。頭で情報を受け取って、それに対して理性的な判断を下し、それが感情を動かす、というのではなく、読んだ言葉によって、そこに表現されたものが自分の中に巣食っていく感じ。映像や写真で見る被災地の様子は衝撃的だけれども、それとは違う何かを与えられたような気がします。
小説ではなくドキュメンタリーであるからには、そこで起きた出来事や状況を描くというのが本来の姿なのかもしれませんが、僕がこの本に心動かされたのは、おそらくそういう部分ではなく、そこにいた人々(筆者やその周辺にいた人々)の心の動きが描かれているからなのだろうと思います。直接心理描写をしているところはもちろん、出来事や状況を描くにしても、言葉の選び方や語り方で、見ている側の感情が透けて見える感じがするのです。
教科書的に言えば、災害時というのは感情的にならず、冷静に状況を判断するのが望ましいのは当然のことですが、やはりそこには容易にコントロールすることのできない人間的な感情が、どうしても蠢いてしまうということなのです。

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紙の本東京物語

2004/10/14 23:39

時代性と普遍性を合わせ持った青春小説

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

21歳のかけ出し広告マン、18歳で上京したての浪人生、演劇サークルに属する大学1年生、初めて部下をもった22歳、母親に嵌められてお見合いをする26歳、バブル景気の世の中を渡る29歳…
田村久雄という1人の青年の、さまざまな年代の人生の1コマを描いた物語です。
ただ、その1コマの選び方が非常にうまい。
誰もが、何らかの形で経験するであろう、人生のステップを象徴するエピソードを、ごく自然に共感できる形で描いています。
さらに、物語のクライマックスに重なるエポックメイキングな出来事。
ジョン・レノン射殺、キャンディーズ解散コンサート、江川初登板、名古屋オリンピック落選、新日鉄釜石日本選手権7連破、ベルリンの壁崩壊…
時代を象徴するできごととして登場するだけではなく、物語と微妙にリンクする描き方に、自分たちの生きざまは、確かにその時代の息吹を受け継いでいるのだと、実感させられます。
その他、さまざまな固有名詞が、あの時代の雰囲気をよく伝えてくれています。80年代に青春を送った世代には、ことさら懐かしく感じられるのではないでしょうか。

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