あるえさんのレビュー一覧
投稿者:あるえ
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東京タワー
2004/08/25 21:51
見えないものに恋焦がれ
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ある人に、とても気に入っている本があると聞き、出会ったのがきっかけだった。その人は、まるで、江国さんの小説に出てくる人々のようで、掴みどころがなく、そしてとても魅力的な人です。元々江国さんの小説は好きですが、読む前から、すでに私の中の特別な一冊に近かった気がします。江国さんの小説の魅力は、読むときの自分自身の状態によって、全く違う捉えかたが出来る所ではないでしょうか。これを読む前に読んだ、「ホリーガーデン」では、自分によく似た主人公、果歩に共感しつつも、同情すら覚えたのに、気付けば、果歩の様に傷つくやも知れぬ透を、とても羨ましく感じていました。詩史は透以上に深く相手を想っていたのではないでしょうか。だからこそ夫との別れを選ばないのです。恋とは、やっぱり何事にも変えがたく、それでいて脆いもの。現実の中では理解しがたいものなのではないでしょうか。だから私は、自分の感情に正直なこの物語に苦しい程の共感を覚えます。そしてそんな風には生きられない自分と葛藤しています。恋とは、当たり前ですが、見えないものです。だから人は見えるもの、触れる事の出来るものに安心を覚え、頼るんではないでしょうか。それが当たり前なんです。透のように、ただ、自分の感情を信じられる、そんな出会い、何人の人間が出来るんでしょうか。
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