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  3. ざれこさんのレビュー一覧

ざれこさんのレビュー一覧

投稿者:ざれこ

8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

雪屋のロッスさん

紙の本雪屋のロッスさん

2006/08/15 16:22

ずっと、手元においておきたい本です。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

最初は図書館で借りたのですが、あまりにいい本なので、これは手元に置いておかないといけないと思い、買うことにした。装丁も素晴らしく、家に置いて少しずつ読み返したい本である。プレゼントにも良い。とりあえず、友達に送ってみたら喜ばれた。
もし娘とか息子とかが私に出来て、ちょっと大きくなって、ちょっと生意気になって、変な漫画とか読み出したら、それを取り上げて「いいからこれ読みなさい」とこの本を薦めて、そして私がその変なマンガを読んでやる。そう思うくらいの本。

いしいしんじさんの本はまだ一冊、「ポーの話」しか読んでなくて、一見して童話風のその物語から立ち上る、底なし沼みたいな奥の深さに、私は恐れを抱いていた。すごい本だと思ったけど、諸手をあげて「いしいさんをこれからがんがん読もう」と気軽に決められるような、そんな人ではなかった。そこはかとない恐れ多さを感じていたのですが。
この本は違った。短編というより物語、と言ったほうがしっくりくるけど、30の職業についている人たちの30の物語がここにはあって、確かにここにも底なし沼はある、深い話も哀しい話もある、んだけど、底からきらきらと発する光が柔らかくて、その光にあてられるようで、1話読むごとに私の中までが少しずつきれいになっていくかのような、そんな錯覚まで抱きました。
私にとって究極の癒し本。そこらの胡散臭い癒しよりか、よほど効きました。
たった2ページの物語もあるのに、あっというまにその不思議な、全部違う物語世界に、私はすぐに浸ることが出来て、それが驚きでした。全然凝った文章でもなんでもないのに、この吸引力、この心地よさはなんだろう。
で、いつまでもずっと読んでいたいような物語たち。
一気に読むには、あまりにもったいない。で、何度でも読みたい。そんな物語たちです。

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紙の本

重力ピエロ

紙の本重力ピエロ

2005/01/31 02:08

深刻なことは陽気に伝えるべきです。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

伊坂氏の作品は今まで3冊読みましたが、いまのところ一番好きかな?
どの作品も軽くおしゃれな文体の中にそれなりのメッセージがこめられていて
温かい作品ばかりですが、その持ち味が一番生かされてる気がします。

遺伝子を扱う会社にいる兄、弟の春は母がレイプされて産まれた子だった。
母はすでに亡くなり、兄弟の父は癌におかされ入院中。
落書きを消す仕事をしていた春、最近の連続放火魔と落書きとの関係に気づき…

なんかなあ、こうやってストーリーをかいつまむと凄い暗い話みたいなんだが、
兄弟のしゃれた会話、そして癌までも皮肉のネタに使う父親との会話、
そんなもの中心に話は進むので全然暗くない。無理して明るくしてるわけでもない、
「深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」という春の台詞どおり、
そこには底抜けの明るさ、ポジティブさが漂っていて、
読む側も、深刻な要素を暗くなく、だけど読み流すんじゃなくて受け入れることができる。
それはなんだか不思議な感覚だった。

兄は兄で何かたくらんでいて探偵を雇い、そして春が関わってくる連続放火、
春に絡む謎の美女、そして病院で父は放火魔について安楽椅子探偵もどきに推理し、
彼らがどんどん収束していって一つの結末に至るその筋書きは、相変わらず見事。
でも今回は先が読めましたね。私のような単細胞にも読めるってことは、
推理をして欲しい物語ではないってことじゃないかな。話は読めても面白いし。

でも最後まで読むと、予測不可能の温かさで心が満たされ、
不覚にも涙しそうになりました。
遺伝子を扱う仕事をしている兄、という設定、遺伝子が散々語られつつも
血のつながりを全く無視した彼ら3人の家族愛、ほほえましいし泣けます。

それでもラストには、完全に血のつながりを無視できなかった彼らの悲しみがにじみます。
結末はざまあみろなものでしたが、それでも一抹の切なさはぬぐえず…
でもおかげで3人がいかに強い絆だったかがわかって嬉しい気持ちもあり。

春がまた、なんだかとても魅力的です。私だって惚れるわよ。
細かいことですが春は犬が大好きで、道で出会うと落ち着かないほどらしく、
同じくそうである私はとても共感しました。犬好きに悪い人はいないのさー

それから会話の洒落っぷりはもう素晴らしいですね。
身もだえするほど洒落てます。

それから、伊坂氏の作品は仙台が舞台、そしてかなりつながりがあるようで、
今まで読んだ「オーデュボンの祈り」のあの人も、
「ラッシュライフ」のあの人も、今度は探偵で登場です。探偵がまたカッコいいのよ。
多分ほかの本を読めば、あ、あの本のあの人も出てた、って
ことになるんだろうな、とか思いつつ。
ますます彼の本を読む楽しさが増えそうです。

小説は話の面白さも大切だけど、キャラに惚れさせてなんぼ、ってとこがあると思うから、
そういう意味では彼の作品に出てくる人は(悪役除き)全員カッコいいし魅力的。
すごいことだ。

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紙の本

ぼくのミステリな日常

紙の本ぼくのミステリな日常

2005/01/31 01:55

幾重にも練りこめられた構成、連作短編は面白い。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

建設コンサルタントOL若竹七海は、社内報の編集を任されることになる。
そこで「小説を載せろ」と無理難題を言われ、大学の先輩に泣きついたら
彼に匿名作家を紹介される。正体は探らぬことを条件に、短編の掲載が始まる…

社内報の表紙がいちいち載っていてなんだか笑わせるのだけど、
(社内報では「小高女史」と「近松氏」が論争しているらしい。毎月返信送りあって)
そういう小技が本全体にちりばめられている。
月ごとに季節にちなんで社内報に掲載されるその短編がまた、どれもこれも面白い。
「ぼく」(正体不明の匿名作家なわけだが)は病気をわずらって
少しぶらぶらしていて、一人遊びが大変上手で、5人兄弟の4番目で、
飄々としつつ観察眼は確かで、毎回日常のささやかな事件、たまにはでかい事件、に
見事な推理を聞かせてくれる。

もうほんまになぞなぞみたいなささいな推理もあるんだけど、これがまたいちいち
「うーん」とうなるものばかり。ひねり鮮やかで、害がなくて、小粋でステキ。
短編全部読んでオチがわかってから「え?」と思って1から読み返したのが2つもあったし、
私などいちいち騙されてはにやにやしっぱなしだった。
それにホラー要素の強い話、幽霊話?など様々なトッピングで、
まるで「夏見が食べている果物やケーキがたくさん載っているカキ氷」みたい。
贅沢な短編集だ。

でも短編集と侮っていると、最後の最後、若竹七海がやっと匿名作家に
会いに行くくだりで、大どんでん返しを食らうことになる。
短編だと思っても、「ぼく」の話であり、「ぼく」が短編集全体に仕掛けた謎が、
まだ残っているのである。
なんて贅沢な味わいだろう。こうも何重に楽しませてくれるとは。

この、二重三重に塗りこまれた計算尽くの構成も魅力だけれど、
それだけではなく、些細なところで会話の妙が楽しめる。
ぽんぽんと会話が弾み、また「ぼく」周辺の人物が魅力的な人々ばかりで、
彼らが生き生きと泣いたり笑ったりする、つかのまの人間ドラマが
垣間見れて、それもなかなか。
ただのトリックだらけの推理小説ではないのだった。

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紙の本

ラッシュライフ

紙の本ラッシュライフ

2005/01/31 02:05

犬がね、なんかいいんですよ。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

伊坂氏の本の中でも格別評判がよかったので
楽しみに読みましたが、本当に面白かった。

様々な人々が犯罪に関わっていきます。
泥棒の黒澤は順調に空き巣を繰り返し、
リストラされた男は小汚い柴犬と、そして何故か銃を手に入れてしまい、
カウンセラーの京子は愛人の妻を殺そうと画策し、
新興宗教の信者は、神である教祖を「解体」しようともちかけられ、
画家は恩人の画商を裏切り金のある画商につき二人で電車に乗っている。
そんな彼らのエピソードがばらばらに語られるのだが…

複数のエピソードが一つになっていく小説、最近わりとあると思いますが、
それでもこれは見事と言うほかないですねえ。つながり方が面白すぎる。
表紙のエッシャーの絵のように、ぐるぐるなんですよ。ぐるぐる。

トリッキーな小説で、なおかつかなり陰惨な事件も扱ってるのも関わらず、
人物がちゃんと人間くさく、それぞれの悩みを持って普通に懸命に生きている。
それを描く視線が優しく、策におぼれない温かさが全編に漂っているのがまた、よい。
泥棒の黒澤がかっこいい。仕事に誇りを持ち?プロとしてこなしていく
その感じ。皮肉っぽくてでもいい奴。ステキ。
そして登場人物の会話がすごく洒落てて、またかっこいい。

あと、犬が重要ってのもいいですね。和む和む。
柴犬を見ると首輪が気になるようになった今日この頃…

それにしても神って何だろうねえ。なんて考える。
彼らを俯瞰する読者の私の立場とすると、
それぞれ必死にいろんな思惑を持って生きてる彼らがうごめく様が
まるで私とその周り(今日すれ違った人とか電車でいつも会う人とか)が
生きている様子と重なったりもして、不思議な感覚。
誰かが、私たちが頑張ってるのを眺めていてくれたらいいのにな。なんて。

軽くて洒落てて凝ってて、でもなんだか深い小説でした。
あと微妙なことなんだけど、場面が変わるたびに挿絵がちょこんとついてるのも好き。
犬と男の小さなイラスト、とか。ややこしい話がこれだけで断然わかりやすい。

読み終えてから表紙のエッシャーを眺めると感慨ひとしおです。

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紙の本

オーデュボンの祈り

紙の本オーデュボンの祈り

2005/01/31 02:01

とにかく洒落た会話。奇抜でさわやか。

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

伊坂幸太郎という名前は、最近あちこちの書評サイトで見かけていて、
どれもこれも面白そうなことが書かれていた。
しかし大多数の人間が面白いと豪語しても、
私の気に入らない作家はいる。もしそうだったら、この楽しみを
どうしたらいいんだろう。と思いつつ、初挑戦でこの文庫を手に取った。

私の心配は杞憂に終わった。
文体がすごく洒落ている。こういう洒落た文体は大好きだ。
まあ、正直言うとちょっと村上春樹に似てる文体だと思うけど、
似すぎてもないし、だから気に入ってるのもあるから、許す。

江戸時代から鎖国している荻島。
そこにはしゃべって、未来を予測するカカシがいる。
コンビニ強盗をやらかして逃げていた伊藤、いつのまにやらその島にやってきてしまう。
そして伊藤がカカシの優午としゃべった翌日、優午が殺される。
予知できたのに何故?
そして優午が言う、「島に欠けているもの」とは?
それを島の外から誰かが持ってくるらしいのだが…

島には変な人ばかり住んでいます。
人殺しが「島の法律」として許されている桜という男、
うそしか言わない画家、太って動けないウサギ。その他もろもろ。
変な人ばかりだけど、いとしいキャラたちが動き回って、
ありえない島が愛しい島になります。

そして、あまりにもありえない設定で(だってカカシが「殺される」のよ)
でもきっちりミステリになっていて、 何気ない出来事がすべてパズルのように
組み合わさっていくラストは、なかなか圧巻でした。
まあ、ちょっと拍子抜けした部分も正直あるけど…

最後の展開は私は好きでした。ざまあみろやで。

そして、聞き逃してはいけないのです。主人公の皮肉を。
それも一番くだらない皮肉を、です。
そこらへんの伏線、すごく洒落てるなあと思いました。

最後に島に欠けているもの、それが最後にわかったとき、
ああ、この作家さんはこういうことをかけがえがないと思う人なんだ、と思い、
それが嬉しくなり、また島がそれを手に入れたときにどれだけ楽しくなるかを
想像すると、またほくそえんでしまいます。

オーデュボンって、実在の人物らしい。
そういう人が絡むのも、しゃれてるよなあ。

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紙の本

漢方小説

紙の本漢方小説

2005/02/24 23:21

軽やかで等身大。負け犬必読の癒し小説。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

芥川賞候補作の中で私はこれが一番気になったんで、読んでみました。
表紙もなんだかかわいいし。

31歳みのりは、元カレが結婚するという話を聞いた後、胃が暴走して
救急車で運ばれる。そして医者をいくつもはしごしたが原因不明、
「ストレスはないか」と聞かれ、「呼吸をしているか?と聞かれてるのと同じ」と思うほど
ストレスと仲良くしていると自負しているみのり、最後の砦で東洋医学に頼る。
そこの若くてかっこいい(でも10円はげの)お医者さんが漢方薬を処方してくれ、
彼女は東洋医学を学んで、自分の心身のバランスについて考えていくが、
なじみの居酒屋でも周りが動き出し…

いやあ、見事な負け犬文学でしたわ。
リアルだし。いやあ、かなりリアルでしたよ、生活感出ててさ。
身につまされたー。そう、私達はストレスの塊で、結婚できないっていうストレスまで抱えていて、日々何かが降り積もっていく。
そしてバランスが崩れていく。そんな一人の女性を描いて、文体は軽やかでとても等身大。

多分この作家さんは普段から自分を客観的にみてられるんだろうなあ、って思う。
比喩とかいちいち笑えてからっとしてるんだけど、でもちょっとなんか切ない。

結局彼女は男に頼ることもせず、東洋医学を知って自分を知ることで、
自分で自分のバランスをとろうとする。そして、すっくと一人立ち、しようとする。
まあ、言ってしまえば「だからこそ負け犬」なんだけど、悲壮感や頑張ってる感はなくて、
一人で自然に立ってバランスとってやってけたら、それだけでいいよなあ、
かっこいいよなあ、って思える。私もそうあれればいい。
そういう風に、ちょっとささやかな元気をもらえる、私にとってはそういう小説でした。

慣れた筆致でさすがに脚本家、読ませ方は上手だし、ちょっと熟練した作家が軽く書いてみた短編、くらいの域に達していて、読みやすい。
いやあ、いいですよこの作家さん。なんか、まっすぐで気持ちがいい。お薦めです。

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紙の本

猛スピードで母は

紙の本猛スピードで母は

2005/02/24 23:25

そろそろ、な気がする。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

芥川賞受賞の表題作「猛スピードで母は」と「サイドカーに犬」収録。
芥川賞選考会で某選考委員がこのタイトルに難色を示していたらしいが、
私にはどちらも恐ろしくセンスのいいタイトルに思える。
すごく読みたくなる気がしません? 私だけ?

2編とも子どもの視点で描かれてます。

「サイドカーに犬」は、小学生の姉と弟がいる家族、
母がある日大喧嘩して出て行き、すぐに洋子さんという謎の女性が
晩御飯を作りにくるようになります。カッコいい自転車を颯爽と乗り回す洋子さんに
姉は次第に懐いていきますが。洋子さんは父の愛人でした。
そんなことを、大人になった兄弟が思い出話として語る、そんな話。

「猛スピードで母は」は、離婚して一人で慎を育てる母を、慎の視点で書いたもの。
母がつれてきた新しい恋人は、今度は慎も懐けたのだが、しかし彼はある日を境にこなくなり…
母は車をぶっ飛ばして、督促の仕事をして、かっこよく生き、息子に弱みを見せない。
そんな二人の日常を描いたもの。

なんていうんだろ、子どもがいても男と女なんだな、って当たり前のことに気づきます。
大人は大人でじたばたしていて、懸命に生きてる、その不器用さが、子どもの視点で描くことで違ったものに見えてくるというか、そんな感覚の小説。

子どもと大人の距離感も素敵です。
小学生に「私たち友達よね」と言う洋子さん、保母さんになってすぐ辞めて、子どもに「あんたみたいな子ばっかりで楽しいかと思ったのに」と愚痴る母。彼らの関係はなんだか対等で、こんな風に子どもと過ごせたら楽しいんだろうな、なんて思ってしまいます。そして、子どもはそんな対等なつきあいを楽しく思いつつも、自らは体験していない大人の世界のいろいろを感じて哀しくなったりしている。
淡々とした日々をそういう関係で繰り返す、とても温かい2編です。

そして、描かれている女性達が不器用なりにかっこよく生きていて、
なんだかとても素敵でした。
「サイドカーに犬」の最後、結婚はそろそろ?と聞かれたときの、
「何か、他のことがそろそろなんじゃないか」って独白、気に入りました。
彼女は洋子さんの面影を思い出し、自分は洋子さんみたいに懸命に生きたころがあったろうか、なんて考えますが、それはそのまま私の感想でもありました。

私にも、何かが「そろそろ」であってくれたらなあ。

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紙の本

葉桜の季節に君を想うということ

だまされたい人に。

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本、面白そうとずっと思ってたんだが、どこの書評サイトみてもあまりストーリーがわからないので、
あーみんなストーリーかけないんだな、ネタが割れるんだなと思いつつ、
でも「とにかく読んで騙されてみて」的スタンスの書評を読むにつけ、
だんだん悔しくなってきた私。「畜生、読んだからってえらそうに。」

しかし、です。読み終わった私はにやりと笑ってこう書くのでした。
「とにかく読んで騙されてみてね。」
っつうか、単に仲間に入りたかったのです。
言いたいけど言えない、と、もだえる人たちの仲間に。

「なんでも屋」の成瀬将虎が主人公、彼は自殺を助けた麻宮さくらと恋が芽生え、しかし謎の悪徳商法が絡む謎の死を探ることになります。
探偵をしていてやくざの内偵に入り込んだ頃のことや、そういう過去も交互に出てきつつ、そして事件の真相は?

過去と現在が交差する凝った構成、スピード感ある文体、皮肉や笑いも洒落ていて、登場人物もなかなか魅力的、何も考えなくてもぐんぐん読ませます。

何度もこういう系統の推理もので騙されている私は、かわいくない読み方をしました。
これまで騙されたパターンは全部これにあてはめてみて、検討しつつ読んだわけです。でもそれでも騙された。あー悔しい。

でもねえ、明らかに読者を騙そうとしてるよねー。という箇所が数箇所あって、
ちょっと気に入らないです。でも最後の「補填」で、そこの解説もしっかりされていて、
騙されるほうが悪いのよ、的スタンス。(絶対最初に読まないようにしましょう。)
だから余計に悔しいんだけど。
それから、このエピソードは物語の流れ的にいるのかなあ、ってのもありました。
ちょっと腑に落ちない感じもするから、あっさりこてんぱんに騙される、という快感はちょっと減りましたが、十分にやりとさせられる内容でした。
私みたいに疑心暗鬼に読むのもよし、なーんも考えずに読むのもよし、
とにかく楽しみましょう。

人間の先入観の怖さ、そしてなんていうかなあ、
所詮私たちは自分の立場でしか世の中を眺められないのだなあ、なんて
そんなことを思い、反省したりもしました。

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