飴子さんのレビュー一覧
投稿者:飴子
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紙の本その名にちなんで
2004/11/07 02:07
きっと今年のベスト
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デビュー作「停電の夜に」は非常によくできた短編集だった。本作は短編集の最終話「最後の大陸」の続編ともいえる内容になっている
ラヒリは、インド系アメリカ人またはインド人を描く。一見、私たち日本人とは縁のない設定のようだが、普遍的なテーマを大げさではなく的確に、時にユーモアを交えて描くため、深く共感を覚えることができる。本作は、インド系アメリカ人青年ゴーゴリが、名づけられた名前に象徴される、自分の雑多なアイデンテティから逃れ、再び受け入れるまでの日々を物語る。彼が幾つかの恋愛を通して、家族との関係や仕事、人生観を見つめ、選び、時には傷つき、それでも生きていく姿は、誰もが経験し、感じた気持ちや悩みを、浮き上がらせる。この作品は、私たちの過ぎてきた時間とこれからの人生を、今一度、震わせてくれるだろう。
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