えび太さんのレビュー一覧
投稿者:えび太
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2005/12/07 01:02
職人なんて、頑固で、偏屈者で・・・格好いい。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
イタリア・ナポリの泥棒市で、仕立て屋の看板を掲げる日本人が居る。
伝説の巨匠の認めた唯一の弟子、ユウ・オリベ。
けれど知名度、年齢、又その他の厄介ごとにより彼の元へくるのは、おかしな注文ばかり。
その、まともな店で門前払いを受けてしまうような注文を、客の抱えた事情と共に受け入れてしまう。
ユウは針糸しか使わない。
けれどその一着が人生をも左右する。「裸の王様」の話を知っているだろう。
”仕立て屋は王様でも手玉にとれる”のだ。
行った事も無い異国の地が、これを読むと何故か懐かしくなるような錯覚を覚える。
興味も無かった筈のスーツが親しみ深くなる。
新しいものが持て囃される中、伝統を「堅苦しい」ものではなく意味あるものと教えてくれる漫画。
紳士のお洒落とはどれだけ奥の深いものかを思い知らされる。
1巻では娘から父へのプレゼント・マフィアのスーツ勝負・サッカー選手に似合うスーツ、などの1話完結形式。
ちょっと胸の温かくなくいい話と、クスッと零してしまうような笑いをお求めの方にオススメ。
紙の本ヤサシイワタシ 1
2005/01/23 11:59
真っ直ぐだから澱む感情もある。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大学の小さな写真サークル。
その中の男女二人の恋模様のお話。
とは言っても、そこらに並ぶ恋愛漫画には程遠い内容だったりする。
それらはひどく日常にありそうな事柄で
憧れ交じりの感情移入というよりも、深い既視感に囚われる。
挫折、執着、自棄を繰り返してドロドロと生きる彼らは
恋愛に悩んでいるのではなく
生きる事そのものに悩んでいるように思えてならない。
だからきっと、こんなにも憎らしいのに同調してしまうのだ。
正誤決めかねるいくつもの主張
ぶつかり合う感情に読み手の心も揺れ動くが
決してこの物語は分かりやすい正解の道を与えてはくれない。
生きる姿勢を自分自身で確認させられる作品。
漫画本にしては少々一冊が厚いけれど
全2巻なので是非挑んでみて欲しいです。
「目の前暗くなればぶり返すよ
思い出の善し悪しって現状の満足度で決まるからね」 (本編より)
紙の本おおきく振りかぶって Vol.1 (アフタヌーンKC)
2005/01/16 13:25
オレらのエースは暗くて卑屈。(裏表紙より)
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
埼玉県のとある公立高校。
今年新設されたばかりの硬式野球部が舞台の青春漫画。
野球漫画と聞いて想像するものを
端からなぎ倒していくような、新鮮なストーリー展開が読み手を掴んで離さない。
登場人物が非常にリアルな高校生達で
暗くて卑屈という意外性抜群の主人公ならば
彼の周りを取り巻くのは、心優しいチームメイトかと思いきや
普通にウザがられる入学当初(笑)
そりゃそうだ、こんなの居たら誰だってウザいと思う。
それが段々と変化していく過程にしっかりと「野球」が関わっている。
野球の説明的な部分も、未経験者に読み飛ばしをさせるような単調さは無く、逆に野球を勉強したくさせるパワーがある。
決して「野球」という題材を疎かにせずに
時に笑わせてくれながら
等身大の球児達を描いた新鋭野球漫画。
スポコンものが苦手な方にも是非読んで欲しい本です。
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