阿部和重さんのレビュー一覧
投稿者:阿部和重
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シンセミア 上
2003/10/23 10:16
著者コメント
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長篇小説『シンセミア』はまず、一つの物語として書かれました。その物語とは、数多の出来事の集積として形を成す、網目状のものとして想定され、四年間に亙って書き進められました。わたしはいつも、ということは過去に発表したいくつかの作品においても、網目状の構成に取り組んできたつもりですが、とりわけ『シンセミア』では網目織りの編み目を確かなものとするためにことのほか念入りに言葉を編み込まねばならず、大変に苦心しました。また、今回の網目織りはこれまで以上に際立った複層を成すものに仕上げることを理想としてもいたため、完成までに永い年月がかかってしまいました。完成に到った現在、わたしはわたし自身の仕事ぶりから大変な満足感を得ることが出来ました。
長篇小説『シンセミア』は、どちらかといえば生肉のようなものであってほしいと、今のところわたしは願っています。生肉はとりあえず三つの可能性を孕んでいます。一つは生食、もう一つは調理食、そしてさらには腐食です。それぞれの可能性が同程度に、あるいは最大限に開花してくれることを期待して、わたし自身もまた『シンセミア』のさらなる可能性を探り続けてゆきたいと思っています。(二〇〇三年一〇月二二日)
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