菅浩江さんのレビュー一覧
投稿者:菅浩江
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紙の本永遠の森
2004/03/16 11:15
著者コメント
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
——〈ムネーモシュネー〉、接続開始。bk1へのメッセージを。
……『永遠の森 博物館惑星』の文庫版が発売されました。と、bk1をご利用のみなさんに向けてこのお知らせをするのは感無量です。
ハードカバー発売時、発足直後だったbk1は、この作品の予約受付をしてくれました。私にとってこの作品は、本格SFとしては初のハードカバーであり、7年かけて書いた大切な世界であり、休筆復帰の意味合いも含めた出版でありました。要するに、常にも増して「気に入ってもらえるだろうか」とドキドキの状態だったのです。早川書房の塩澤さんの熱意とご尽力を無にしないためにも、なんとかソコソコは売れてほしい。天に祈るような気持ちでいたところに、bk1のこのご厚意。本当に本当に、嬉しく思っていました。
お陰様で『永遠の森』は、2000年度ベストSF第1位、第32回星雲賞日本長篇部門に選出され、第54回日本推理作家協会賞・長篇および連作短編集部門という身に余る大きな賞までいただくことができました。この怒濤の幸運も、一番最初にbk1が大切に扱ってくださり、それによって多くの読者のみなさんがこの作品を手に取り、支えてくださったためだと思っています。同じサイトでまたこうして文庫版のご案内をさせていただくのがいかに嬉しいことか、マシューならずともあの世界の情動記録に無理矢理にでも残したいくらいの気持ちです。
文庫版と親本との違いは、さしてありません。なぜか見落としていた間違いや、誤解を招きそうな箇所の修正を少ししたくらいです。でも、この文庫版もぜひみなさんのお手元に置いてやってください。高校時代からのSF仲間である三村美衣さんの解説でスガヒロエという作家をもっと知っていただきたいのはもちろんのこと、文庫といういつでも手に取れる小さな物体に〈アフロディーテ〉という世界が精密な細工物のように詰まっているのは、とても似合うような気がするからです。手前味噌が続きますが、メーリングリストにいらっしゃる女性読者さんが「ハードカバーを持ち歩かない友人に、白い花を添えて贈りたい」と言ってくださったのが、私が装幀をしたわけでもないのに涙が出るほど嬉しかった……。
みなさんに愛されたハードカバー版と同様に、この文庫版もひとりでも多くのかたに愛される存在であってほしい。今はただ、そう願っています。
——〈ムネーモシュネー〉、メッセージ送付ののち、接続終了。いや、待て。追伸を。
「感謝をこめて」。
以上だ。ありがとう。
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