吉廣紀代子さんのレビュー一覧
投稿者:吉廣紀代子
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僕が妻を殴るなんて DV加害者が語る
2001/08/22 17:14
著者コメント
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「吉廣さんは男に殴られた体験もなさそうなのに、どうしてDVに関心があるんですか」
月刊誌の30代後半の女性編集者に聞かれて、私は「新刊を読んでもらえばわかると思うんだけど」と答えた。
数日後、彼女からメールが届いた。
「夫の暴力に苦しんでいた妻のインタビューを随分前からしていたんですね」
それでも、ドメスティック・バイオレンス(DV)をテーマに単行本をまとめることはなかなかできなかった。DVを前面に出すと、体験をつぶさに話してくれる被害者がいなかったのだ。やっと、実現できたのが5年前で『殴る夫 逃げられない妻』(青木書店)では十数人の被害者の事例を紹介した。
彼女たちの共通点は、夫とコミュニケーションがとれていないことだった。加害者の夫の心中を察して「どうすれば殴られないで1日が送れるか」に神経を尖らせていた。
私はDVの防止、克服の方法を探るには、加害者からも話を聞いてみなければと痛感した。ところが、これが難航した。アプローチしても拒絶されるばかりで、事例として紹介できたのは4件に止まった。
男はどうして話したがらないのか。
ひとつには、DVの犯罪性だが、男は自らの行動を妻を含めて他人に説明したりする必要性を感じていないのだ。「男は黙って・・」で済ませるし、その方がかっこいい。まして、とっさの攻撃行動である暴力をふるうとき、アタマは真っ白になっているから、妻からの非難がなければ、暴力をふるった自覚さえないし、「愛の鞭」と称して憚らない。
男社会は序列を重んじ支配関係を肯定しているから、社会的地位や収入の多寡に関係なく男尊女卑の思想を内面化していれば、所有感を抱く女が思い通りにならないとき、腕力を支配の手段に使ってしまう。
で、DV克服法は見いだせたか。イエス。 被害者、加害者の双方へのインタビューから明らかになったのは、暴力は人間の無意識、社会のあり方と深く係わっていて根が深いから、芽を摘むには、男女が互いに早期に取り組む以外にない。「いつかは殴らなくなる」と耐えていれば、暴力はエスカレートし、体力の衰えからおとなしくなったとしても、被害者の傷ついたこころはなかなか癒せない。
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