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Misaさんのレビュー一覧

投稿者:Misa

7 件中 1 件~ 7 件を表示

腰布姿・槍を持ったアボリジニではなく・・・

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 著者、上橋菜穂子。児童書の世界では、ハイファンタジーの作家として、その名前をご存知の方が多いだろう。一度読みはじめたら、その不思議な世界に引き込まれ、やめられなくなる作品の数々(先頃、「夢の守り人」が出た!)。そんな彼女の、もうひとつの顔。それが、アボリジニを研究する文化人類学者としての顔である。

—— この本を、彼女は10年の歳月をかけて書いた。——

 文化人類学は、「カルチャーショック」を味わうフィールドワークを重要な研究方法としている。そこにこの学問の魅力があるそうだが、顔で笑って(?)共に生活しながらも、頭の中では、相手方の生活を常に観察し、書きとめ、分析するという作業。「まるでスパイみたい!」と心の中ではいつも泣いて(?)いるそうである。

 そんな彼女が、オーストラリアの小さな町に暮らすアボリジニたちに、どんな風に出会い、どんな事件を経て、どう彼らを理解していったか、それが、とてもわかりやすく、きちんと書かれている。

—— だから、この本は、文化人類学という学問の方法の入門書としても読める。——

 「アボリジニ」と聞いて思い浮かべるイメージは、「野生の知性をもった自然の民」
とか「自然淘汰される運命にあるマイノリティ」。

 しかし、今、オーストラリアの小さな町で、日々の暮らしを営んでいるアボリジニたちの生活のスタイルは白人と同じ。Tシャツを着て、ハンバーガーやケンタッキーが大好き。言葉も英語。伝統的な宗教儀礼をしているわけでもない。でも、一体に貧しく、時に厄介者。どことなく白人たちとは異なる「生活の匂い」を発散している。

—— それは何なのか?なぜなのか?——

 彼女が出会ったアボリジニたちが語ってくれた「現在」と、それぞれの「思い出の
中の歴史」から、見えてくるものは・・・

 著者の文化人類学者としての「語り」を楽しんでほしい。

 とくに、この夏、オーストラリアへ行く人にはオススメ!!

(Misa/図書館の学校)

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紙の本鹿よおれの兄弟よ

2004/04/30 22:06

シベリアの森を舞台に、人間・動物・自然の関係を朗々と謳い上げた壮大な叙事詩

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 シベリアの森でうまれたおれは猟師だ/おれのきるふくは鹿皮おれのはくくつも鹿皮だ/どちらも鹿の足の腱を糸にしてぬったものだ/おれは鹿の肉をくう/それはおれの血おれの肉となる/だからおれは鹿だ・・・一人の猟師が鹿を獲るために小舟をこいで川をのぼっていく。父さんや祖父さんが鹿を獲り、母さん祖母さんと共に焚き火を囲んだ幼い頃の幸せな光景を思い出しつつ…。銃口に口をあて牝鹿のこえをまねる。やがて静まりかえった森のなかに牡鹿の声、枝をふむ音。息をのみ、その姿にみとれ、やがて銃を放つ・・・。
 シベリアの森を舞台にした壮大な作品。朗々と謳いあげられる力強い詩と繊細に描きこまれた美しい細密画。サハリンで幼少期を過ごした児童文学者の神沢利子氏とシベリア出身でBIB金のリンゴ賞ほか数々の賞を受賞しているロシアの国民的画家G.D.パヴリーシン氏の見事なコンビネーションによる素晴らしい絵本の誕生である。
 神沢氏の少数民族の生き方やシベリアの大自然への熱い思いがパヴリーシン氏の芸術性の高い絵によって見事なまでに描き尽くされている。言葉は幼いこども達にもわかるように平易で、オノマトペも効果的に使われており、声に出して読むのが楽しい絵本でもある。

★★★★

(Misa/図書館の学校・児童書選書委員会)

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紙の本オー・スッパ

2004/04/30 12:25

1さつで12回すっぱい思いをさせてあげる!

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 新しいタイプの絵本が出た! どんなふうに新しいかって?
 この絵本、すっぱいんです、とっても。読んでいるだけ、見ているだけで、レモンのかおりとすっぱさが、ひろがってくるんです。心や頭が刺激されるんじゃなくて、ただただ、嗅覚と味覚が刺激されるんです。
 ゴリラが、ウマが、ブタが、カメレオンが、ダチョウが、カタツムリが…ついうっかり、レモンを口に! そのときの顔と表情、そして思わず出ちゃったことば(「ウオーッ スッパ」「ヒースッパ」「ウソウソスッパー」…)を、ページをめくってお楽しみあれ。
 きれいなレモンイエローを基調に、ピンク、オレンジ、黒、グレー。明るく洗練された色とデザインのとてもおしゃれな絵本。
 1さつで12回すっぱい思いをさせてあげる!

★★★★

(Misa/図書館の学校・児童書選書委員会)

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紙の本おぢさん

2004/04/30 12:23

絵本はこどもだけのものじゃない。人生の真実を語る「おじさんの、おじさんによる、おじさんのための絵本」誕生!

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 ある日、少年の部屋に突然やってきた素っ裸の小人くらいの大きさの小さなおじさん。まだ寝ている少年にキャンディーを投げつけ、言ったセリフが「おい、起きる時間だ」、「まったくよく寝るやつだなあ」、「なにか着るものをくれってんだ」、「早くしろ、いそげ」…こんな傍若無人のおじさんに、心優しい少年は、服を作ってあげたり、好みの食べ物を用意したりしてあげて、二人の秘密の生活が始まる。珍妙な侵入者に優しく好意的だった少年も、自分の生活スタイルや価値観を当然のように押しつけてくるおじさんに、いつまでもいい人でばかりはいられない。やがて二人の関係は…。
 人と人とが本音でかかわり合った一つの真実の姿がこの絵本には描かれている。
 訳者の林望氏が「あとがき」に、『子ども向けの絵本だと思って甘口のヒューマニズムなんかを期待すると、みごとに裏切られる。…人生ってものはきれい事ではなくて、その背後に必ずや辛く苦いものを内包しているのだよ、ということをこの本は教えているのである。そのことの代弁者が「おぢさん」なのだ。』『この本はあえて辛口の乾いた言葉で訳してある。それはけっして乱暴なのでも、言葉知らずなのでもない。それがこういうすぐれて社会批評的な児童文学の正統的な文法だと信じてのことである。』と書いているが、きっとその通りなのだろう。
 大人とこどもの意思疎通が難しい現代、絵本というメディアで、(等身大ではなく)かわいい小人の大きさになって人生の真実を語るというのは、すごいアイデアではあるが、ちょっぴり切ない感じがしないでもなかった。
・・・心やさしいおじさんたちに乾杯! そして辛口の「おじさんの、おじさんによる おじさんのための絵本」の誕生に拍手!
 でも、どうして「THE MAN」は「おじさん」でも「をぢさん」でもなく「おぢさん」なんでしょうねえ、リンボー先生?

★★★

(Misa/図書館の学校・児童書選書委員会)

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紙の本モギちいさな焼きもの師

2004/02/22 23:56

あなたの人生の、忘れものに気づくかもしれない、大切なものに出会えるかもしれない・・・そんな物語。

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 この物語、お芝居のプログラム風に紹介すると、
とき・・・12世紀後半。
ところ・・・韓国、高麗青磁で有名な西海岸の小さな村。
主な登場人物・・・モギ:幼い頃両親に死に別れ、橋の下でトゥルミじいさんと暮らす。高麗青磁のやきものの美しさに惹かれ、ミン親方のもとで焼きもの師になることを夢見る。           
トゥルミじいさん:橋の下で暮らす。貧しさの中でも人間としての尊厳と優しさを忘れず、モギに惜しみない愛情を注ぐ。
ミン親方:青磁作りひとすじの頑固な職人。モギの親方。
おかみさん:ミン親方の奥さん。口数は少ないが、あたたかくモギを見守る。

 もうこれだけ書いただけで、物語の輪郭が見えてくるものと思います。だからこれ以上は書きますまい。
 物語にすなおに身を委ね、モギ少年のひたむきさに胸を熱くして下さい。トゥルミじいさんの厳しさに襟を糺し、あたたかさに心癒されて下さい。
 あなたの人生の、忘れものに気づくかもしれない、大切なものに出会えるかもしれない・・・そんな物語です。2002年度ニューベリー賞受賞作。

★★★★

(Misa/図書館の学校・児童書選書委員会)

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紙の本ランスロットとパブロくん

2004/02/16 19:05

こどもよりむしろ大人にすすめたい。ランスロットとパブロくんの世界は、現代の桃源郷です!

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 わすれんぼうのロボット・ランスロットとおっとりやのくま・パブロくんは大の仲良し。ふたりは今日、ソーダ池に、大きな魚をつりにいく約束をしたんだ。ところが、ランスロットは、つりの道具をパブロくんに預けていたことを忘れて、つり道具探し。押し入れを開けたら、ずっと探していた汽車が出てきたので、汽車遊びに夢中になっちゃった。もう外は真っ暗。ごめんねとあやまるランスロットに「だいじょうぶ、なれっこだもん」と許してくれるパブロくん。そこでふたりは、丘の上で、星を見ることにしたんだ…と話は続いていく。この絵本はこども(幼児〜小学校低学年)が読むと、まあフツーに楽しい絵本だろう。
 でも、大人が読むと、時間に拘束されなかったこども時代への郷愁とか、何でも「だいじょうぶ、いいんだよ」と許してくれる友だちのありがたさとかに、胸がジーンとするかもしれない。また、片づけができなかったり、物忘れがひどくなっている人は、ランスロットをみて、・おんなじだ!・とちょっと安心するかもしれない。
 この絵本の中には、現代の桃源郷がある。
 さあ、あなたも「たむらしげるワールド」へ出かけてみよう!

★★★

(Misa/図書館の学校・児童書選書委員会)

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NURSERYCRIMES(ナーサリークライムズ)って意味わかる?

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 NURSERY CRIMES(ナーサリークライムズ)って意味わかる? 『植木畑の事件簿』って感じかなぁ。(nersery:託児所のほかに育種場という意味がある、crimes:犯罪行為)英語から遠ざかって久しい筆者は秘かに辞書をめくってしまった。副題とつなげると、この絵本の輪郭がおおよそ見えてくる。
 舞台は、アメリカ、アイオワ州エームズの南、ジャンボ一家の植木畑。ジャンボ一家は、夫婦と1ダースのこどもたちの14人家族だ。こどもたちはみなトピアリーの達人で、ある秋の日、感謝祭に売るための七面鳥のトピアリーを仕上げた。ところが、翌朝起きてみると、七面鳥のトピアリーがいない!あれこれ手がかりを調べて犯人の目ぼしはついた。しかし、証拠がない。そこで…。とまあ、こんな筋のミステリーなわけだ。
 ところで、トピアリーというのは、植物を人工的なかたちに整えたもの。ガーデニングばやりの日本では、盆栽の西洋版みたいな小さな「スタッフド・トピアリー」が人気だが、欧米では常緑の庭木を動物のかたちなどにデザインした大型のトピアリーが一般的。
 また、この絵本には七面鳥型のトピアリーや大きなカボチャが出てくるが、アメリカでは、11月の第4木曜日はサンクスギビングデー(感謝祭)に、一年の収穫を祝って、家族が集まって七面鳥の丸焼きとパンプキンパイを食べる習わしがあるんだ。
 実は、ナーサリークライムズというタイトル、ナーサリーライムズ(民間伝承)にひっかけてもあるんだ。凝ってるよね。
 著者は、「プレーリータウン」等の作品のある銅版画家のアーサー・ガイサート。アーリーアメリカンの古きよき時代の薫りを存分に伝えてくれる。
 まあ、とにかくこの絵本、ストーリーと絵を楽しむだけでなく、日本人には、アメリカの風習(英語も!)も学べちゃう欲張りな一冊というわけだ。 

★★★★

(Misa/図書館の学校・児童書選書委員会)

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