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宇波彰さんのレビュー一覧

投稿者:宇波彰

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紙の本

著者コメント

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 現代思想は混沌とし状況にあるように見えるが、その錯綜した曼陀羅模様の構図を見つめていると、自然に浮き上がって見えてくるものがある。それは「力のある思想」である。かつてはアリストテレス、デカルト、スピノザ、マキアヴェリ、カント、ヘーゲルといった大哲学者がいつのまにか思想の系譜を作ってきた。それは長い思想の歴史の中で、自ずから形成された系譜である。21世紀を迎えた今、現代思想についてもようやく「力」を持つ思想がどこにあるのかが見えてきた。本書は、個別の思想家の思想を歴史的に追いかけたものではなく、いくつかの「概念」がどのような意味を持ち、相互にどのようにつながって、どのように力を獲得してきたかを論じたものである。
 本書は、次の12章からなる。「無限記号連鎖論」「ミメーシス論」「鏡像論」「アフォーダンス論」「凝視論」「崇高論」「不気味なもの論」「物語論」「メディカルチャー論」「知識人論」「イデオロギー的国家装置論」「読むことの危機」。いずれも現代思想の最先端の問題である。本書では、これらのテーマを論じているのではなく、それらの概念が「力」を持つものとして、相互に結びつくことによってさらに強力なものになることが考察されている。
 本書のサブタイトルは「崇高から不気味なものへ」である。「崇高」という、18世紀にカントによって論じられ始めた概念が、今日になってにわかに再評価・再検討されるようになったのはなぜかという問題設定から始まった考察である。カントは戦争さえも崇高になりうると書いた。それは200年前の話である。今日では「崇高な戦争」などありえない。現代の戦争は「不気味」としかいいようがない。その「不気味なもの」という概念は、1919年のフロイトの論文によって、始めて理論化され始めたものである。言語や映像などの記号ではもはや表現できないものがしだいに現実の中に溢れるようになってきたのが現代という時代である。それをいい表すには「不気味なもの」がもっとも適切である。本書では、この「不気味なもの」が、ひとつの重要なキーワードなっている。それは、現代という落ち着かない時代にぴったりの概念であると考えられる。
 本書は現代思想を論じたものである。しかし、思想は現実から遊離したものではありえない。本書は、思想を現実との関係の中で考えた実践の記録でもある。 

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