藤水名子さんのレビュー一覧
投稿者:藤水名子
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紙の本覇王残影
2001/12/24 18:36
著者コメント
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本当は、正統派ヒーローによる、正統派の活劇を描いたはずだった。
ところが、暗い宿命と闘う孤剣のヒーローは、いつのまにか、昔の女をいつまでも忘れられない女々しい男になってしまった。この物語を書きはじめてから、足かけ六年の歳月のあいだに、どこでどう間違ったのか。
シリーズの第一作が小説新潮誌に掲載されたのは、デビュー四年目の一九九五年。それから数えれば六年だが、男にも女にも強い(はず)のこの手の主人公は、私の最も好むところで、物語の原型はデビュー当時から構想されていた。してみると、十年のあいだ、一人の主人公(おとこ)とつきあったことになる。はじめは理想の男に見えても、つきあううちには粗が目につき、生身の等身大の存在と化して当然。憧れるだけだった恋も、相手の人間的な弱さや欠点を知ったときから、より親密な愛情に変わる。まあ、別れた女に対する執拗な未練を、愛すべき人間味と解釈できるようになるまでには、私のほうにも、相応の心境の変化が必要なんだけどね。
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