鶴田楡さんのレビュー一覧
投稿者:鶴田楡
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ダンス・ウィズ・キャット 上
2004/11/24 03:15
著者コメント
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歌手と殺し屋、どっちも本業—。
故郷に帰ってきたスタンレー刑事を待っていたのは、そんな風変わりな男、キャットとの出会いだった。相棒を殺害され、彼の逮捕に執念を燃やすスタンレーだったが……。
1940年の暗黒街を舞台に繰り広げられる、キャットの自在で危険なステップが、今夜も人々を翻弄する。スタイリッシュ・ハードボイルド前後編。
ジャズの流れるクラブ。ビリヤードと美女。胸のすく銃撃戦。そしてギャング映画につきものの、粋なボルサリーノ。
創作の発端は、脳裏につれづれに浮かんできた、若い殺し屋を主人公とする、往年の白黒映画のようないくつかのシーンだった。
それらのモチーフを繋ぎ合わせていく作業に没頭しているうちに、この長い物語が出来上がっていた、と言えるかもしれない。
スタンレーの言動と心情を媒体にして、いくつもの断片的なシーンを集結させていくと同時に、随所に用意した見せ場をいかにして独りよがりにならず、かつ鮮烈に伝えることができるか、常に読者の目になって推敲を重ねた。
展開のメリハリとモチーフ重視にこだわったせいか、何人もの方から、「まるで映画を見ているよう」な「視覚的な作品」という批評を頂いた。私にとって非常に嬉しい言葉である。
正義に惹かれる悪。悪に傾斜していく正義。
泥水に浸かった人間が見せる「最後の純情」や、潔癖な人間にふと「魔が差す」瞬間。
人間の持つ二面性は小説の普遍的なテーマのひとつだが、組織の殺し屋と熱血刑事という二人のポリシーある男達の、二極間で揺れ動く感情を、どこか懐かしい時代背景の中で描いてみたかった。
その願いが叶った今、作品は手元を離れていったが、主人公のキャットとスタンレーをはじめ、脇を支えるもろもろの登場人物と別れ難く、続編を書きたい欲求が高まっているこの頃である。
しかし、まずは本作をお読みいただいて、キャットの「粋」と「毒」をあわせ持った魅力の虜になっていただきたい。
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