斎藤美奈子さんのレビュー一覧
投稿者:斎藤美奈子
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紙の本趣味は読書。
2003/02/10 21:27
著者コメント(その1)
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<今度の相手は天下無敵のベストセラーですからね。>
斎藤美奈子さんが、読書探偵業を開業(?)し、またまたやってくれました。前の『文章読本さん江』『文壇アイドル論』も過激でしたが、もっと過激な書評集『趣味は読書。』(平凡社、2003年1月刊)が出ました。書名は「趣味は読書ですのよ! オホホホホ」ってな感じなのに、読むとこれが超激辛。そのくせに「お笑い本か、これは」と驚くほどの面白さ。ベストセラーの解読をここまでの芸で読ませるとは……。そこでさっそくインタビューに。
——「つかみはオッケー」だと思っているんですってば!——
Q1.タイトルから伺いたいのですが、『趣味は読書。』という書名から想像したものと中味とがあまりにも違っていて、のけぞりました(笑)。これはお笑い本に近い。ずっと笑いっぱなしでした。タイトルで損していません?
斎藤:連載中は「百万人の読書」というタイトルだったんです。100万部売れている本の書評という意味で。このまま書名にする案もあったのですが、それだと過不足なさすぎて、インパクトに欠ける。で、いろいろ考えた結果、ちょっとひねってこうなりました。「どうせ斎藤の本だから、まともな書評集のわけがない」と邪推してくださるだろう確信犯的な読者のほかに、「ん? 趣味は読書って私のことかしら」と思って手に取ってくださる新しいお客さんもいるんじゃないかと。これでも一応「読者層の拡大」をねらったのです(笑)。
Q2.冒頭の「本、ないしは読書する人について」を読めばどうして、この書名になったのかが、わかる仕掛けですが、それにしても『文章読本さん江』に引き続き過激な本ですね。
斎藤:そうですか? でも、このくらいのことって、だれもがふだん感じていたり、友達同士でしゃべっているような内容じゃないかと思うんですよ。書くか書かないかだけの話で。もしも過激に見えるとしたら、それはほかの書評がお行儀よすぎるか、署名入りでの批判が少なすぎるせいです。ただ、この本に関していえば、わかったふりして評論家ぶるのはやめようと思った。特に今度の相手は天下無敵のベストセラーですからね。「なぜ売れたか」の客観的な分析だけなら、マーケティングのプロに任せたほうがいいわけで、一読者としての主観も多めに入れた。当たって砕けろの特攻精神。そのぶん多少、過激に見えるのかもしれません。
Q3.この本はもともとは平凡社の小冊子「月刊百科」に3年間にわたって連載されたものだそうですが、「インテリ」「教養人」が読者のこの冊子の連載時の評判はいかがでしたか?
斎藤:取り上げている本を、「月刊百科」の読者はほとんど誰も読んでいなかったんじゃないかと思います(笑)。でも、そうですね、回にもよりますけど、評判はそんなに悪くなかったかな。「よくぞ言ってくれた」とか。でも、そう言ってる人も、元の本は読んでないんですよ(笑)。いや、もともと、教養人のみなさまは誰も読まないベストセラーを私が代わりに読みましょう、という趣旨ではじめた連載なので、読んでなくても全然かまわないんですけれど。
Q4.タイトルに関して、しつこく聞いてしまいますが、4章の『話を聞かない男、地図が読めない女』(A・ピーズ+B・イーズ著、主婦の友社)のところで、<小憎らしい表題ですよね。「そういえば、うちのダンナも全然人の話を聞かないわね」「そうそう、うちのカミサンも道路地図が全然読めないもんな」と思う人はきっと少なくないだろう。その時点ですでに「つかみはオッケー」である。>と言及されていますが、斎藤さんはご自分の本には「つかみはオッケー」的な書名はつけないのですか?
(その2へ続く)
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