小林 泰三さんのレビュー一覧
投稿者:小林 泰三
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秘神界 現代編
2002/08/25 21:54
著者コメント
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神話とは神々の物語である。だから Cthulhu 神話も神々の物語であること
は間違いない。そして、それはまた恐怖の物語でもある。
では、神に対する最も恐ろしい考えとは何だろうか?
神は存在しない——幼い頃から神を信じ、そして頼ってきた人間にとつてそ
れは耐え難い恐怖かもしれない。しかし、元より神を持たなかった者にとって、
そのような考えは馴染み深く、決して恐ろしくはないはずだ。
神は存在する——神を信じることなく、自らの欲望のみを追及してきた人間
にとっては、神の実在こそが恐怖なのかもしれない。だが、善良な無神論者に
とってはいずれにしろ大きな問題とはなりえない。
神は悪意を持っている——これはかなり酷い状況である。もっとも論理的に
考えて絶対的な悪などは存在しない。人間が作り出した概念である善悪という
基準に縛られるとしたら、その時点でそれは神とは呼べない存在なのであろう。
それに悪意を持っているということはすなわち人間との係わり合いを求めてい
ることであり、現に文明が存続しているところからして接し方にさえ気を付け
れば、さほど絶望的ではないのは明らかだ。
神に対する最も恐ろしい考え。それは Cthulhu 神話に何度となく繰り返し
語られている。
神は存在し、そして人間には関心を持っていない——人類が存在したこと、
そして、あなたが生を受けたことは神の意思とは無関係なのである。もし、次
の瞬間、神が地球を邪魔だと考えたら、そこで歴史は終わる。
そして今、わたしは不安に包まれている。はたして「C市」は読者に宇宙的
恐怖のたとえ片鱗でも垣間見せることができるのであろうか、と。
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