鳥居直介さんのレビュー一覧
投稿者:鳥居直介
| 1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
糖尿病ケアの知恵袋 よき「治療同盟」をめざして
2004/05/27 03:15
編集者コメント
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本書で展開される「エンパワーメント・アプローチ」は患者の潜在能力を最重要視するアプローチである。だから極端な話、患者が「治ったのは先生のおかげじゃなくて、私ががんばったからだ」と思ってくれれば100点満点、という発想がある。
直すのは患者である。医療者は万能ではなく、その手伝いをするだけだ。それがエンパワーメントの基本的な考え方である。
医療者に限らず、多くの人は「ほめてほしい」し、「あなたのおかげだ」と言ってほしいと思っている。一生懸命やったことの成果が出てほしいと思っている。
感謝してもらえないのなら、成果がはっきり見えないのならやりたくない、と思う人がいてもおかしくはない。
しかし近年、糖尿病ケアの現場にエンパワーメント・アプローチは着実に浸透しつつある。石井氏が講演する会場は、常に立ち見であふれるようになった。
これは考えてみれば不思議な話である。
◆
本書の編集に携わっていて気づいたことは、石井先生からご紹介いただいた全国各地の糖尿病療養指導士、看護師、コメディカルの皆さんが、皆、「いい顔」をされていることだった。
彼らは患者さんが良くなることを、一心に願っている。しかし彼らは同時に、自分たちに「できること」は限られている、ということもよく知っている。
だから彼らは、患者さんがよくならなくても、「怒り」を覚えることはない。患者さんと一緒に落ち込んでしまうことはあるかもしれないが、患者さんを非難するモードになることはなさそうだ。
「相手をコントロールしよう」という願望を捨てることができたから、彼らは「いい顔」になったのではないか。そして、石井氏の講演に集まる人たちも、エンパワーメントアプローチにそういう可能性を感じているのではないか。今はそんなふうに考えている。
| 1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
