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武田徹さんのレビュー一覧

投稿者:武田徹

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紙の本新聞ジャーナリズム

2002/04/19 19:40

訳者コメント

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 わたくし、武田徹は、このたび日経BP社より、ピート・ハミル著「新聞ジャーナリズム」を翻訳いたしました。
 この本は、ピートハミルの「新聞」への想いの産物です。ニューヨークを拠点に小説家やコラムニストとして活躍し、日本では映画『幸せの黄色いハンカチ』の原作者として知られ、ファンの多いハミルですが、本職は40年間ニューヨークのタブロイド紙を中心に働きつづけた 筋金入りのベテラン新聞マン、でした。
 タブロイド紙業界は、90年代、メディア産業の構造改革の洗礼を受けます。ハミルが編集長を務めていたニューヨーク・ポストもメディア王マードックが買収。マードックは売らんかなのゴシップ中心の報道体制を貫こうとして、ハミルと激しく対立します。ハミルは古巣の同紙を出て、数年後、ライバルのニューヨークデイリーニューズの編集長となるのですが、そこでもまたオーナーにゴシップ報道主体の紙面作りを強要されます。「古き良きタブロイド紙の伝統——あくまでも生活に根ざした大衆的な目線で、社会問題を深く抉る」を守ろうとしたハミルは、経営者との間で壮烈な争いを繰り広げますが、結局、この新聞の編集現場からも去らねばなりませんでした。
 そんなハミルが「理想の新聞とはなにか」を語ったのが本書です。地域に根ざし、移民社会とも近いアメリカのタブロイド紙の世界は、メディア関係者も含め、日本の読者には未知の部分が多いでしょう。その意味でも一読の価値があると思います。本書でハミルが展開する、ジャーナリズムとビジネスをいかに両立させるかという視点(この視点に真剣に取り組んだこと自体、勇気のあることだと感心します。建て前と本音の乖離があって、みな口にするのを避けがちなテーマなので——)から、新聞広告や新聞漫画の在り方などについてまで論じる姿勢には、他のジャーナリズム論にはない幅広さがあります。
 そして日本語版だけの特徴として、新たな序文「9.11米国テロは、ジャーナリズムをどう変えたか」が書き下ろされています。原書が1998年執筆であったため、あの「2001.9.11米国テロ」とその後のアメリカにおけるジャーナリズムの混迷ぶり、偏向ぶりについて、ストレートな感想と、9.11以後のジャーナリズムがどうあるべきか について、ハミルに改めて加筆してもらいました。アメリカではニューヨークの「ローカルレジェンド」とまで呼ばれ、世界一の摩天楼がそびえる都市に根差し、あらゆる国からそこに集ってきた人々の暮らしの息吹を伝え続けたジャーナリストとして、伝説的な存在とさえなっているピート・ハミルが、日本語で9.11テロについて語るのはおそらくこれが初めてです。その点でも貴重な文章だと思っています。
 さらに豊富に付け加えた訳註にもぜひお目を通して頂きたいものです。アメリカの新聞業界、とりわけタブロイド紙の過去と現在についてここまで網羅的にフォローした訳註はおそらく前例がないのではないかと自負しています。
 既に新聞業界、メディア業界に関わっているひとや、これからそこで働こうと考えているひとはもちろん、新聞というメディアに日々接している全てのひとに広く読んでいただき、新聞について改めて考えていただきたい、“生涯現役新聞記者”ピートハミルの入魂の一作です。 (武田 徹)

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