稲本 雅之さんのレビュー一覧
投稿者:稲本 雅之
| 1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
境界に生きた心子
2005/02/25 03:15
著者コメント
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
境界性人格障害の女性と恋人として過ごした日々、その実体験を真実のままに描いたノンフィクションです。
本書まえがきより抜粋
『愛くるしく楽しい心子(しんこ)。
純粋で限りない理想を求め、我が身の犠牲も厭わない。
しかしひとたびキレると、その怒りは相手を致命的にこき下ろす。
そして、嬰児のように寂しがり屋で傷つきやすい心子。
正に万華鏡のように、心子は陰と陽の境界を狂おしくさまよい歩いた。
心子との付き合いは、すこぶる魅力的で愉快な一方、壮絶な葛藤の日々だった。
激しい感情の起伏に自他を巻き込みながら、心子は天国と地獄の間を往き来する。
彼女が欲するのはただ、際限のない愛情だけだったのだ。
しかし1%でもそれが満たされないと、深い悲しみが痛烈な怒りとなって襲いかかる。
彼女を救うことができるのは、ひたすらな愛情でしかなかった。』
境界性人格障害(境界例/ボーダー)は若い世代を中心に増えている、ボーダーレス時代を象徴する心の障害です。
感情の起伏が激しく衝動をコントロールできないなど、本人も周りの人もすさまじい葛藤に巻き込まれてしまいます。
愛する人に対して過大な理想化をするかと思うと、一転して致命的なこき下ろしを繰り返します。
それは相手に無際限の愛を求める、根源的な愛情飢餓からくるものなのです。
境界例の原因は、幼少時に親から適切な愛情を得られなかったことによって、人格の核が形成されなかったためと言われています。
反面、境界例の人は極めて純粋で人を魅了するものを持っており、共に付き合うのはすこぶる楽しい時間でした。
昨年世を風靡した純愛物を凌ぐ、波瀾万丈のラブストーリーになりました。
親の愛情の欠如や家庭の崩壊が問われる現在、境界例の姿を人々に訴えることは大変重要であると愚考いたします。
専門家による境界例の本は多数出ていますが、体験者自身が描くドキュメントは非常に少ないので、その点でも意義深いものでしょう。
境界例の人を理解し寄り添うことによって、互いに少しでも苦労が和らげることができればと願っています。
どうぞぜひご覧になってください。
| 1 件中 1 件~ 1 件を表示 |
