パパ山中さんのレビュー一覧
投稿者:パパ山中
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虚栄の掟 ゲーム・デザイナー
2000/07/10 00:50
虚栄の掟
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頭はいいらしいが使い方を知らない。話の流れを読めないから、発言する度会議が止まる。自分の正しさを疑わず、照れもなにもなく前向き。悪意は全くないのがさらに迷惑。
そんなおバカさんが同僚にいて、毎日ひどい目に遭ってる人は、『虚栄の掟〜ゲーム・デザイナー』を一読あれ。
主人公は全社員で21人しかいないゲーム会社に勤めている。会社を支えているのは、全ての嗜好が対立する2人のゲームデザイナー、伊達と西城。ある日主人公は社長から、この2人のどちらかが独立を目論んでいることを聞かされる。伊達か、西城かを探り出せ。そうすれば、次のデザイナーは君だ…。
この犯人探しに、大手の引き抜き、盗作騒動などなどがからんでいく。ゲーム産業の内幕話としても読めるけれど、ま、97年(プレステとサターンが国内500万台突破、ちなみに3DOは撤退)の小説だから、今の業界のウラを知るためには、ちょっと古い。
なのに推奨するのは、そう、隣の席のおバカさんに心底うんざりしている貴方の、ストレス解消に役立ちそうだからだ。正直言って本筋より、中盤の、社内のおバカたちをまとめて叩きつぶす部分こそ本書の白眉では、と思う。痛快だ。
筆者の佐藤大輔氏は、『レッドサン・ブラッククロス』(徳間書店・中央公論新社)などの著作で知られる、架空戦記の大家。ご当人も「ウォー・ゲーム(紙の駒と地図、サイコロを使う戦争のシミュレーション)」のデザイナーだった。氏の最大の持ち味は、物事の構造の解説のうまさ。例えば私は『レッドサン…』を読んで、戦艦の砲戦の仕組みと凄みが初めて分かった(敵の至近弾を浴びた場合、進路を変えれば敵の砲撃はかわせるが、こちらの照準データも無効になる。自分の弾が先に当たると信じて砲撃を続けるか、逃げ出すか、技術と度胸のチキンランなのだ)。その筆力で、バカの傾向と対策を語ってくれるんだから、面白くないわけがない。
「気持ちは前向き、でも人前では後ろ向き」な、ヒネクレた貴方にぜひ(この小説、文体もひねくれてます)。すっきりしたら、自分が潰されないように、お互い、ちょっとだけ自分のバカさも自覚し直しましょうか。
(パパ山中・謎の編集者)
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