森まゆみさんのレビュー一覧
投稿者:森まゆみ
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アジア四十雀
2001/10/31 12:36
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次の日からの旅行を前に台風のゆくえを気にしてテレビを見ていたら、あの事件のニュースがとび込んで来た。それでも私は平気で中国へ出かけた。四川省の重慶や武漢や成都ヘ行って、「三国志」のあとをたずねて来た。
『アジア四十雀』は私のはじめての紀行の本。若い頃、知らない世界を知りたくてたまらなかった。18のとき韓国へ。23のときイタリアとギリシアへ行った。それから20年、海外へなど行くひまもお金もなかった。
やっと子供が育て上り、海外旅行も安くなったいま、パスポートを取りおずおずと海の外へ出はじめた。この本にはそんな、十三の旅について書いた。インド、タイ、バリ、カンボジア、韓国、ベトナム、モンゴル、北京・・・。本を書くつもりはなかったが、モノ書きのクセでメモをとり、絵を描いていた。写真もとるが、それより自分の手の方がよく風景を覚えている。それをもとに楽しんで作った本だ。
旅行にいくときは事前にガイドブックを読まない。行ってから考える。知る。地図を買い、方向を決めて歩き出す。体で感じる。
パスポートとカード、一万円札は首から下げる。ポケットに小銭。これでいざというときは身一つで逃げる。高価なアクセサリーなど亡くして困るものを持っていかない。服も少しだけ。それも捨ててきても良いものを。足りなくなれば買い足せばいい。
名所旧跡の観光地へはまず行かない。ふつうの町のふつうの人びとの暮らし。水はゴミは家はどうなっているか、どんなしぐさをし、どんなものを着て何を食べているのか。それを見れば十分。それこそ国により地域によって千差万別だ。その土地のものを怖れず食べる。そんな強い胃をくれた両親に感謝。アジアは近くて安く行けるだけではない。そこの人びとの大変な暮らしが、それでも輝く笑顔が、私の日本の日常を励ましてくれる。
(森まゆみ)
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