奥井智之さんのレビュー一覧
投稿者:奥井智之
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社会学
2004/07/19 03:15
著者コメント
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ゲーテの『ファウスト』でメフィストフェレス(知識の無力に絶望した学者ファウストを、現世の享楽へと誘惑する悪魔)は学生に対して次のように言います。「すべての理論は灰色で、生命の輝く木は緑だ」と。それはいまでも、社会学者にとって頂門の一針となるものです。というのも社会学は、理論偏重の傾向をもっているからです。
もっとも社会学が、理論を捨て去ることは考えられません。というのも理論は、社会学が現実の世界と切り結ぶためのほとんど唯一の武器であるからです。そのために社会学者は、武器を、いや理論を日々磨いています。そして社会学の入門者が求められることは、そのような理論のなかの主だったものを学ぶということにほかなりません。
本書は社会学の入門者のために著した、いわゆる概説書です。この手の本は最近では、共著で出されることが普通です。しかしプロフェッショナルの学者が一人で書き切ることができないものを、アマチュアの人々が一人で読み通すことができるでしょうか。少なくともそこに、明快な社会学のスピリットを読み取ることは難しいでしょう。
わたしが単著で社会学の概説書を書こうとしたのは、そのような昨今の安易な風潮になじめないものを感じていたからです。本書にはもう一つ、類書にはない特徴があります。それは各章に、平田利之氏の手になるイラストレーションがついていることです。わたしが章句を連ねて表したことを、氏はたった1枚の絵で表してくれています。
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