レイナさんのレビュー一覧
投稿者:レイナ
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一般言語学第三回講義 エミール・コンスタンタンによる講義記録 1910−1911年
2003/06/20 03:15
出版社からのオススメ
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ソシュールは、晩年、ジュネーヴ大学で「一般言語学」の講義を三回行いました。講義が終わるとメモを破り捨てていたため、没後、講義を一度も聴いていない編者による「一般言語学講義」が、学生のノートをもとに書き下ろしで刊行され、世界中に衝撃を与えると共に誤解をも招く事態となりました。
最も重要な第三回講義は、コンスタンタンのノートが質量ともに傑出し、ほぼ全容を伝えていると考えられます。それは当時、編著者のセシュエとバイイが目にできなかったものです。残念ながら学生によって残されたノート以外、自身の手で公表された彼の言葉を持たない以上、講義で何が語られ、何が語られなかったか、一切の憶測と独断を慎んで、私達はその思索に耳を傾けることしかできません。
このノートにより、ソシュールの言語に対する全体、視点が明確に説かれ、曲解に曝されていた彼の思想が、どんな解説書よりもわかりやすく、正確に、自身の展開によって甦ります。言語学の見事な入門書でありながら、それをも超える到達点が示されています。言語学の原点であるとともに、開かれたその無限の可能性の中で、読者の読みが試されているともいえるでしょう。
読売新聞、朝日新聞の文化欄でも大きく取り上げられました。今後、言語に携わる者の必読書となるにちがいありません。
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