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おおきさんのレビュー一覧

投稿者:おおき

2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本安徳天皇漂海記

2006/11/12 22:46

歴史ものが苦手でもオーケー

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

壇ノ浦の合戦に敗れ、祖母に抱かれたまま入水した幼帝安徳天皇が、実はそこで死んでおらず、神器に封じられたまま海を漂いながら、源実朝、そして南宋皇帝や元の皇帝クビライ、マルコ・ポーロらと関わっていくという壮大な歴史ファンタジー。
歴史ものを読み慣れないため、最初はその語り口にとまどいつつ、といった感じで読んでいったのだが、第一部後半から第二部以降はかなりのめり込んで読んだ。
鎌倉幕府第三代将軍源実朝の前に現れた平家残党と思しき一味から見せられた琥珀様の玉、この中には入水したときのまま安徳天皇が眠っていた。その後実朝は不思議な夢に苛まれることになる。
第一部は、思いもかけず巻き込まれることになった実朝の側近の述懐という形を取っており、歌の人であった実朝の将軍としての悲哀、琥珀玉を見た実朝がどのような思いを持って行動したかが克明に語られる。側近の述懐という形が、入水せざるを得なかった安徳天皇の無念に対する、実朝の共感をより伝える効果を持っているように思う。
第二部は、実朝の時代から60年余、元の皇帝クビライ・カーンの巡遣使マルコ・ポーロの視点で描かれる。元によって滅ぼされ、逃亡の身のままで即位した南宋皇帝。彼もまた幼帝だった。その南宋皇帝もまた、琥珀様の玉と出会うことによって、ひとつの運命を選び取ることになる。そして巡遣使マルコ・ポーロに与えられた役割とは……。
ここに平家物語と東方見聞録の幻想的な融合が果たされ、読み手はただただ圧倒されるばかり。
歴史もの、ファンタジー、SF、そういうジャンルを超越して読み手を堪能させうる。オススメ。

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紙の本鴨川ホルモー

2006/06/28 23:33

とても奇妙な青春小説

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

よくわけのわからないタイトルと、ひと目では何と読んだらいいのかわからない著者名がかなり気になって、書店でジャケ買いした1冊。しかしこれが大当たり。ボイルドエッグズ新人賞なるものはまったく耳にしたことはないが、その第4回受賞作なのだそうである。つまり新人さん。しかしこの作品のおもしろさはもう新人離れしているといってもいいだろう。
この本を手に取った、あるいはタイトルを見た人が100%感じることは「ホルモーとは何ぞや?」であろう。もちろん私もそうなのだが、作中の主要人物らもそうなのである。ホルモーというものが何なのか、実は早い段階で説明はあるのだが、それでもなお、彼ら京大青龍会に入会した1回生たちには意味不明の事柄なのである。
ホルモーというのは競技の名前で、京大青龍会というのは、つまりホルモーをやるサークルなのだが、競技自体は京大を含めた京都にある4大学の対抗戦で行われる。ホルモーは1チーム10名プラス各人につき100体のオニ、つまり1000体のオニとともに戦われ、10名は各々の100体のオニを操り、相手のオニたちをつぶしていく。最終的にオニが全滅するか、チームの主将が参ったを宣言すれば競技は終わる。
と書いてみても、読んだ方は要領を得ないだろう。この辺りはとりあえず読んでいただくしかないし、実際このホルモーという架空の競技が、さも存在するかのようなディテールの描き方、作り方はうまいと思うので、読めば納得いくと思う。しかしながら、この作品の本当のおもしろさは、ホルモーという競技のディテールなどではないのだ。
いつのまにか巻き込まれるようにして、京大青龍会に入ってしまった主人公たち1回生が、ホルモーに関するアレコレを会得するという物語に、大学生ならではのほろ苦い人間模様が絡んでくるという作り。それはともすれば、ありがちな恋愛模様だったりして、そういう時期を過ぎた私にとっては、まあなんとも気恥ずかしいような感じもするのだが、これがたとえば普通のスポーツが絡む青春小説だったらありきたりな印象しか抱かないだろう。しかし彼らを結ぶのはホルモーであり、そのなんとも知れないいかがわしさと、大学生の恋愛模様のすがすがしさとが妙に絡み合うおもしろさ。そしてラストのあざやかさ。このラストは余韻と広がりを残す、とてもうまい終わらせ方だ。
この文章ではホルモーとは何なのか、ということはある程度説明したが、なぜ「鴨川」なのかは説明しなかった。さすがにここまで説明するとネタバレになるだろう。鴨川の意味はお読みになって確認していただきたい。ここにこの作品が並みではない秘密が隠されているといっても過言ではない。
ということで、青春小説好き、コメディ好きには絶対読んでいただきたい、オススメ作品なのである。

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