くろさまさんのレビュー一覧
投稿者:くろさま
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紙の本ギャンブル依存とたたかう
2007/01/09 22:10
ギャンブル依存に警鐘を鳴らす
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作家である著者が、もう1つの顔である医者として、ギャンブル依存の問題を取り上げている。医者としての顔で本書を記したのは、”あえて”ということなのであろうか。
「ギャンブル依存は病気である」。本書の訴えはこの一文に尽きる。それはとりもなおさず、その認識が広まっておらず、第一歩も踏み出していないからである。
事例を取り上げつつ、依存が発生するメカニズム、医学的な対処法、社会的な問題についての概論を知ることができる。本書を読んで最もハッとさせられた部分を取り上げる。
ギャンブル依存になってしまった妻に対して、誓約書を書かせた上で「これで最後だ」と借金は肩代わりすることがよくある。だが、そのような対処法はとらないことが基本である。なぜなら、ギャンブル依存に人に対して、借金をなくすというやり方は、薬物依存の人に薬物を提供するようなものだ。
なるほど。
紙の本現代のエスプリ No.474 スペクトラムとしての軽度発達障害 1
2007/01/23 21:32
スペクトラム
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「スペクトラム」と「軽度発達障害」という興味深いキーワードを2つ並べた題名のとおり、注目度の高い論文が並ぶ。
1つの座談会記録と、26の論文が並ぶが、さまざまな視点からの軽度発達障害論であり、決して統一感はないが、それこそがまさにスペクトラム性を感じさせる。編者である石川氏が、スペクトラムとは「あるものさしで見ればそう見える」と述べているようにである。
広い知識を得るには適した著書である。続編である、パート2も期待している。
2006/12/28 22:41
虐待問題に取り組む方必携
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虐待に対応する際の、法的な問題に関するまさに「マニュアル」である。児童福祉法28条・親権喪失といった法を前面に出した対応も数多く見られているが、まだまだこれからも実務の積み重ねが必要なのであろう。
法的対応についての丁寧な解説はもとより、具体的な事例をもとに、対応例が記述されている。第一線の現場の方にとっては、もう一歩ほしい印象もあるのであるが、これからも改訂を続けながら、版を重ねるべき本である。
紙の本おこりんぼママ
2006/12/28 22:27
いいんだよ
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ある研修会で紹介されたので、即購入した。
「やり直せばいい」そんな勇気をもらえる絵本である。
子育てに奮闘している親にとっては、子どもを寝かしつけた後、こっそり読んでみるのも良し。または、少し大きくなった子と一緒に読むのも良し。
福祉・保健など、子育て支援に携わる人たちにとっても大切な絵本になるであろう。
失敗してもいいんだよ。
紙の本スクールカウンセリングモデル100例 読み取る。支える。現場の工夫。
2007/02/01 21:50
神田橋條治、スクールカウンセリングを語る
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おしゃれな帯には、神田橋條治氏の推薦文が書かれている。「臨床知の基底は理論図ではなく、さまざまなモデルである。それらが現場での発想を導く。」
本書は、神田橋氏のスーパーバイズや陪席による指導を受けながら、スクールカウンセラーとして活躍されている、かしま氏の経験を基に構成された事例が並ぶ。そして、その事例ごとに神田橋氏のコメントがつづられている。かなり厚い本であるが、内容はといえば、それが100例続くという珍しいものである。
神田橋氏のエッセンスの染み入ったかしま氏の事例も興味深いが、100字程度のコメントだけで全てを語る神田橋氏の刀はすごい。ゆっくりゆっくり味わっていけばよいのだろう。
まさに、理論ではなく「モデル」である。そうか、そうなのか!
2007/01/04 21:44
ホームベース
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「うつは増えている」。そのような言われ方はどこにでも耳にする。その事実や要因分析は他の専門書に譲ればよい。
本書は、医療現場にいないような者にとっても、「なるほど」と実感をもってうなずける要素を持っている。
「うつ」というとまず、あの「うつ」を思い浮かべる。高齢者や中年男性のそれである。それは大きな問題なのであるが、評者はもう1つの「うつ」の存在が気になっていた。それは女性に多い、周期の早いうつである。話を聞いたり、様子を見る限り確かに「うつ」なのだろうとうなずけるのだが、なんだか違う。もしかしてパーソナリティ障害なのだろうか?、と感じることが多いのである。そこで双極Ⅱ型障害が登場する。
本書は、双極Ⅱ型障害という視点から、これからの「うつ」を射程にした力作である。「躁」と「うつ」が繰り返される。その2つの極への転換点はどのような状態か。
双極Ⅱ型障害をホームベースにおき、「躁」と「うつ」という外野(レフト〜ライト)を眺めてみる。その風景を、本書を読んで捉えてほしい。
おすすめである。
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