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海底で眠る貝のごとくさんのレビュー一覧

投稿者:海底で眠る貝のごとく

1 件中 1 件~ 1 件を表示

こんな上司が部下を追いつめる 産業医のファイルから

2006/05/26 20:38

ムダな残業を減らすことこそが、過労から身を守る手段、と教えてくれる一冊

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

過剰なノルマや成果主義のせいにする前に、意味のない「だらだら業務」をして能率が落ち、それが効率の悪い残業を生み出し、その過程にモラルの低下が入ってくると、社員は孤立して過労に至り、その最悪の結果として過労による死がある、と説く本書は、単なるビジネス書の域を超えて、秀逸である。
このところ、労働に関する話題は尽きない。ノルマと成果主義、パートやフリーターなど、非正社員と呼ばれる人たちの増加、「人材さん」と呼ばれる人たちを斡旋する派遣会社の台頭、そして過労問題。
いずれも討論するに値する題材である。
これらがすべてブレンドされた社会が、現代だろう。
それが果たして、よい方向に向かっているかどうかは、まだ誰にもわからない。
ただ、どこかがおかしいと多くの人が感じているからこそ、話題が尽きないのだと思う。
では、何から始めればよいのか?
国策は抽象論ばかりで、具体性に書け、現場が見えていない。労働者が置かれている実情や心情がわかっていないと、私には思える。
例えば、残業時間を減らせ! と国は言うが、簡単に減らせるものなら、とうの昔に減っているはずだ。
あるいは、過剰なノルマと成果主義こそが元凶と言ってしまうのは簡単だが、それを導入している会社はたくさんある。「目先の結果だけ見ているから、長期的な育成ができない。だから、人がたくさん倒れるのだ」といった意見も、そこから出てくる。
それはそれで、もっともだろう。
しかし、著者が指摘している「業務にメリハリをつけて、残業はしても、一日の就労時間をしっかりと守り、明日の宿題を一気にまとめて、気持ちよくシャットダウンせよ!」といった指摘は、実際的である。
メリハリをつけることが、なぜ大切なのかが、この本には根拠を添えて書かれてもいる。
こうした認識を共有した上で、では成果主義というシステムに問題はないのか、ノルマは本当に過剰なのかを、各職場で検討すべきではないか?
私の職場でも目標管理制度を導入しているが、成果は出つつあると感じている一方で、うまく稼動していない部署からは、システムを批判する声ばかりが聞こえてくる。
自らの職場の疲弊を、システムの問題や、労働スタイルの変革だけに還元してはいけないと思う。
混沌としている現代に、何ができるかを真剣に考えなければ、改善はないのだから。

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