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読者さんのレビュー一覧

投稿者:読者

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紙の本インストール

2006/08/27 07:02

前方へ

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

 こんにちは。三十代の男性です。
 たしか、二年ほど前だったか、別の作品『蹴りたい背中』に関して、少しばかり感想を書かせていただきました。
 今回も、あまり書評と呼べるものではございませんが、ちょっとだけ、面白かった点について、書かせていただこうかと、思います。
 『インストール』で、主人公の女子高生が、ませた小学生の男の子との最初の出会いで、「幾枚もの図書券」を扇の如く広げて見せる場面、とても高潔な印象を受けました。─その後、暗い押入れの中で、二人が中古パソコンを使って、風俗チャットでいくら大金を儲けても、けっして彼等は世間で路頭に迷うことはないだろうな、と思わせられます。
 小説の最後で、女子高生が、風俗チャットで稼いだ数十万円になんら執着せず、男の子の上着のフードに押し込んだあと、お札がヒラヒラと男の子の頭上に舞う場面、実に爽快でした。ちょっとキザな言い方になりますが、長い冬のあとの桜吹雪を見るようでした。
 『You can keep it』も、非常におもしろく拝読致しました。気弱な男子大学生の恋慕の情に、強い夏の光が降り注いでいるのを、読後、とてもうれしく感じました。けれども、この作品については、あまり多くを語らないことにします。
 ─綿矢さんの作品を拝読していると、どういうわけか、不思議と、「前方へ!」という言葉が心の中に浮かんできます。
 これからも、心より応援しております。

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