かなめちゃんさんのレビュー一覧
投稿者:かなめちゃん
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2006/09/04 01:08
面白かった
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これは日本人の研究者が出したスピノザ関係の本の中では、割とわかりやすいし、ためになるスピノザへの導入の本と言えるのではないでしょうか。
なぜかというと、上野さんの講談社新書の『スピノザの世界』も読みやすくてとても好きなんですけど、上野さんのはスピノザのエチカの合理的な側面に沿って解読しようとしていて、そのせいかもしれませんが、スピノザの思想の政治的な広がりの部分とかはあまり見られない気がします。でもこの本はスピノザの思想の裏面というか本質というか、スピノザが重視した感情とか身体の側面と、集団とか政治の側面にずっと焦点をあてていて、上野さんのとは違った方向からスピノザの思想を照らしていると思うし、その内容が哲学史の本なんかに出てくるスピノザ像しか知らないひとには、かなり驚きだと思います。
スピノザの初心者は、両方読むと、スピノザについて違った側面から見られていいんじゃないかなと思います。さすがにこちらのほうが新書よりは読むのに苦労はしますけど。
ドゥルーズのスピノザ論も理解するのはかなりしんどいけど、この本はドゥルーズのスピノザ論をかみ砕いて、翻訳だけでははっきり伝わらなかったポイントをずばっと言ってくれている感じがします。ニーチェを乗り越えているところの指摘とか、ヘーゲル批判とかも納得できるところがあるし、それからネグリとドゥルーズの違いなんかも最後のほうでは分析されていて、なるほどと思うところも結構あります。
今年の収穫の一つでした。
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